自己認知と他者認知の違いとは?双方のギャップを埋める方法

自己認知 他己認知

自己認知や自己認知力を高めるという言葉、よく育児のシーンでも見かけるのではないでしょうか。自分のことを自分で認知する自己認知には、他者認知という言葉も使われています。

今回は自己認知とは何か、また他者認知とは?という「自己認知力」を深く知るための知識を掘り下げて考えてみましょう。自己認知と他者認知の違い、またこの二つにギャップが生じた場合どう修正するかをご紹介します。

自己認知、他者認知どう違う?

奇声 3歳

自己認知が頻繁にみられるのは、自己認知力を高めると

  • 物ごとに対して正しい判断ができる
  • 自分が何ができてなにが不得意なのか把握できる
  • 他人から求められている自分の特徴がよく分かる

など、育児やビジネスの面で能力発揮が簡単になるからです。

また、自己認知の理解を深めるためには、他者認知という言葉も知っておかなくてはなりません。まずは自己認知、他者認知とは何か詳しく見ていきましょう。

自己認知は「自分の知っている自分」のこと

自己認知とは、言葉の通り自分の知っている自分を指します。自分のこととはいえ、意識しないと「今この場面で自分ができることは何か」「こんなシーンでは自分はどう考えるか」が分からないこともありますよね。

自己認知ができていない=自己認知力が低いと、自分自身をうまくコントロールできません。反対に自己認知力が高いと場面に応じた適切な行動がとれるようになり、育児でも仕事でもうまくいきやすいと言われています。

子育て中のママとしては知っておきたい能力の一つで、大人だけでなく子どもにも自己認知力はあります。自分自身は忙しい育児中に見失いやすいのですが、できる限り自分のことを知ることが大切です。

他者認知は「他人の知っている自分」のこと

一方で、自己認知を深く知るためには他者認知も知っておかなくてはなりません。他者認知とは、「他人の知っている自分」のこと。つまり、どれだけ客観視できているかという部分を指します。

他人の知っている自分と考えると、「他人から見たら自分は迷惑な存在ではないのか」「自分の知らない自分を指摘されるようで嫌な気持ちになる」とネガティブな印象を抱くかもしれません。しかし決してマイナスな面だけではなく、他人から見て初めて気づく自分の長所もあります。こうした他者認知も含めて自分のことを考えられると、より公平な目線で自分自身を認識できるでしょう。

自己認知と他者認知にギャップが生じたら?

ママ友 団らん

自己認知=自分の考える自分には、時々他者認知と一致しないこともあります。「自分はこうであるつもりなのに、他人から見るとこう見られていた」とギャップが生じることは、決して珍しいことでもありません。

自己認知と他者認知にギャップが生じたら、どうすればよいのでしょうか。まずはこの二つの間に生じる溝について、詳しく考えてみましょう。

自分の知る「自分」と他人の知る「自分」は一致しない

自分の知る自分、そして他人から見た自分は必ずしも一致しませんそれはなぜかというと、人間は誰しも自分の尺度である「偏見」を持っているからです。

例えば自宅では結構手抜きをしているけれど、SNSにアップする写真や言葉遣いから「この人は育児、家事なんでもそつなくこなす人なんだな」と見られるかもしれません。在宅勤務中のママは時間の融通をつけやすいので、そのことを知らない他のママから「仕事していないあなたは楽でいいね」と思われることもあります。

こうした自己認知と他者認知のギャップはどんなときでも起こっており、さらに自分自身にも少なからず偏見があることは知っておきましょう。他人から見た自分と自分自身とのズレを感じたら、なぜそうなのかを冷静に判断し、また自分もそうしたギャップを生み出していると認識することが大切です。

他者認知を知ることは自己認知を高める方法になる

では、他者認知は自己認知と一致しないのだから、単なるノイズなのかというとこれも少し違います。他者認知を知ることで、より一層自己認知力を高めることもできるのです。

例えば他人から見た自分が、想像とは違った場合、「こうした見方もできるんだな」と自分の意見も柔軟に選べるようになります。また、先ほども説明したように「自分にも偏見があるんだな、他人を「自分」というフィルター越しに見ているんだな」と気づくきっかけにもなるでしょう。

他者認知とは、他人と比べることで自分を測るものでもなく、他者から見た自分を否定することでもありません。自分自身のものさしに正確性を持たせるための考え方であり、また自分には見えない部分を教えてくれる鏡です。

自分の偏見や偏った部分を認めるのは、とても難しいもの。とはいえこれを乗り越えると自分を客観視できるようになり、自己認知力を高められます

自己認知、他者認知で知っておきたいこと

働くママ

自己認知と他者認知について、今子育てをするママに知っておいて欲しいことを3つまとめました。一つずつご紹介していくので、一緒にチェックしていきましょう。

自分の意見と他人の意見は一致しない

当たり前ですが、自分の意見と他人の意見は一致しません。他者認知というと「周りのママ友」「仕事関連の人」といった身近な大人を想像するかもしれませんが、他者にはパパも子どもも家族も含まれます。

子どもの意見と自分の意見は、一致することもしないこともありますよね。一方的な考えになっているのは、他者認知を意識できていないからかもしれません。「子どもから見た私はどうなんだろう?」と他人の立場に立って考えることが大切です。

他人と比べて自分を見つめることはしない

他人の意見を取り入れる、知ることは大切ではありますが、他人と比べて自分を推しはかったり他人の意見に左右されるのではなく、自分自身を見つめ直すことだけが大切です。

他者認知として自分は○○だからダメな人間だ、ママ失格だ、と思うのではなく、自分自身のものさし・軸をしっかり持ち、ぶれないようにしていきましょう。

こうした自己認知力は突き詰めると「自分自身を肯定する」ことにも繋がります。ママの中には気づいた方もいるかもしれませんが、その通り「自己肯定感」にも影響するのです。

自己肯定感が高いと、子どもにも良い影響が出てママ自身も生きやすくなります。

ママがしっかり自己認知すれば子供の自己認知力にも影響が

自己肯定感でも言えることですが、ママがしっかり自分のものさしを持ち、自分自身を知る力を備えていると子どもにも良い影響が伝わります。子どもと一緒に過ごす時間が長いママだからこそ、影響が及ぶのは想像に難くありませんよね。

また、自己認知力が高いと「子どもは親がコントロールできる」という一方的な考えも持ちません。子どもの意思を尊重し、良い意味で自立した子育ても目指せるでしょう。

同じように、子どもも自己認知の発達過程において壁を感じることは何度もあります。そのたびにママが「自分」を確立していると、良い方向に導きやすくなるはずです。

まとめ

自己認知や他者認知、聞きなじみのない言葉なので難しく感じる方もいるかもしれませんね。ですが、子どもの心の成長や思考の発達において、ママが知っていると得することばかりです。

自分自身と向き合い、自分のすべてを認めるのは決して簡単ではありません。ですが少しずつ自己認知力を高め、自分自身を肯定できるママを目指してみましょう。

【参考】

自己認知とは?自己認知の定義と把握する方法を解説 – Well-Being Workers

自己認識と他己認識のズレを感じた話 | 若葉ペンギンは空を飛べるか

「自己を知る」は、よい関係性をつくるためのベース(前編)

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。