この記事では、育児休業給付金を受給するための条件や計算方法をお伝えします。育児休業給付金は、育児中の家計を支えるための大切な制度です。
特に夫婦共働きの家庭やひとり親の家庭にとって、育児休業給付金はなくてはならない存在ですよね。給付金があることで、母親もしくは父親が育児で仕事を休んでも、家計を支えることができます。
そのため、「支給条件を満たせるのか?」、「いくら支給されるのか?」、「いつ支給されるのか?」といったことには、子どもを育てるご家庭であれば、きっと興味があることでしょう。
そこで、この記事では、
- 育児休業給付金の条件とは?
- 育児休業給付金の計算方法は?
- いつから育児休業給付金を貰えるのか?
といった疑問を解決します。育児休業給付金を貰うための条件や、金額がわかりますので、この記事を参考にしてください。
育児休業給付金を受け取るための条件とは?
ここではまず、育児休業給付金を受け取るための条件を解説します。さらに、2人目、3人目の子どもの育児休業給付金を受給するために知っておきたい重要なポイントも解説します。
育児休業給付金を間違いなく受け取るために、就業日数の条件には特に気を付けたいところ。2番目、3番目の子どもを出産するタイミングによっては就業日数の条件を満たせないこともあるため注意をしてください。
育児給付金を貰うための条件
育児休業給付金の受給資格について、まずは以下の4点をおさえておきましょう。
- 雇用保険に加入していること
- 過去2年間に12ヵ月以上、働いていること
- 育児休業後に退職の予定がないこと
- 育児休業中の就業日数が1ヵ月に10日以内であること
育児休業給付金を貰うためには、雇用保険に加入して保険料を支払っている必要があることは、まず理解しておいてください。以降で、申請時に見落としやすい重要なことを解説します。
要注意!「過去2年間に11日以上働いた月を12ヵ月以上確保」の条件
最も注意したい受給条件は、「過去2年間に11日以上働いた月を12ヵ月以上、確保している」ことです。つまり、働いた日数が少ないと、給付金を貰えないことになります。諸々の条件の中でも、特につまずきやすい条件です。つまずき易いポイントは以下の2つ。
- 雇用保険への加入期間が短いと受給条件を満たせない可能性がある
- 子どもの数が増えると受給条件を満たせない可能性がある
雇用保険に加入して1年も経っていない場合には、育児休業給付金を受けとれないので注意が必要です。
さらに、子どもの数が2人、3人と増えていった場合は、育児休業給付金の条件クリアのハードルが高くなります。以降で、詳しく解説します。
2人目の育児休業給付金は貰えるか?
2人目の育休行事の給付金は、過去4年間にわたり雇用保険に加入して働いていれば、高い確率で育児休業給付金を貰えます。なぜなら、2人目の場合は働いた日数をカウントするさいに、さかのぼる期間が2年から4年に延長されるからです。
そのため、1人目出産時の産前産後休業や育児休業で就業日数が減っていることを心配する必要はさほどありません。ただし、雇用保険に加入して働いた期間が2年とか3年といった短い期間の場合は、さかのぼれる期間も短くなるので注意が必要です。
3人目の育児休業給付金は貰えるか?
3人目と2人目との出産の間隔が狭いと、育児休業給付金を貰えない可能性があります。というのも、3人目の場合はさかのぼる期間が4年間のままだからです。
3人目の育児休業開始日から過去4年間には、出産の間隔が短いと1人目と2人目の育児休業期間が含まれる場合があります。つまり、3人目の場合は、何十年も休みなく働いていたとしても、「過去4年間に11日以上働いた月を12ヵ月以上確保」の条件を満たせなくなることが十分にあり得るのです。
3人目の育児休業給付金の条件未達成を防ぐ対策として、2人目と3人目の出産の間隔を空けることが考えられます。
育児休業を取ると、必ず育児休業給付金を貰えるわけではないことを知っておきましょう。さらに子どもの出産間隔が狭い場合は、給付金の条件をクリアできるかを会社の人事、社会労務士、ハローワークにしっかり聞いておくことをおすすめします。
育児休業給付金の計算方法|いくらもらえる?
ここでは、育児休業給付金の計算方法を分かりやすく解説します。具体例も交えてお伝えするので、参考にしてください。
育児休業給付金の額は給料と期間で決まる
計算項目 | 計算式 |
休業開始時賃金日額の計算 | 育児休業を開始前6ヵ月間の給料の合計÷180 |
育児休業開始から180日までの計算 | 休業開始時賃金日額×30日×0.67 (67%) |
育児休業開始から181日以降の計算 | 休業開始時賃金日額×30日×0.50 (50%) |
育児休業給付金の支給額は、日ごろ職場から支払われている賃金と育児休業開始から経過した日数によって決まります。具体的な計算方法は、表を参考にしてください。
育児休業給付金の月額を計算する場合、表中の計算式に当てはめるといいです。まずは、「休業開始時賃金日額」を計算。さらに、賃金日額を180日までと181日以降の計算にそれぞれ当てはめてると、育児休業給付金の1ヵ月当たりの支給額が計算できます。
表からもわかるように、半年を境に支給額が減少するのもポイントです。次に具体的に計算をしていきましょう。
一日当たり育児休業給付金の支給額を計算
賃金日額は一日当たりの給料のことです。手取りではなく、保険料などが差し引かれる前の給与全体の額で計算します。残業代も含まれます。ただし、ボーナスは含まれません。
ここでは、育児休業開始までの直近6ヵ月の給料を以下のように仮定して計算をします。
- 残業ありの16万円の月が2ヵ月=32万円
- 残業なしの14.5万円の月が4ヵ月=58万円
以上を計算式に当てはめると、次のようになります。
休業開始時賃金日額=(32+58)÷180=0.5万円
次に、180日までと180日以降に支給される月額を計算しましょう。
育児休業開始から180日まで
0.5万円×30日×0.67=10.05万円
育児休業開始から約半年間は、給料の67%が支払われます。
育児休業開始から181日目以降
0.5万円×30日×0.5=7.5万円
育児休業開始から半年後は、延長期間も含めてすべての期間で、給料の半分が支給されます。つまり、半年後は育児休業給付金が減ってしまうことを覚えておきましょう。
なお実際には、毎月支給されるのではなく、2ヵ月に一度の間隔で2か月分が給付されることになります。
育児休業給付金の上限と下限
育児休業給付金の限度額は、以下のように決められています。
- 育児休業開始から180日(67%):~305,721円
- 育児休業開始から181日目以降(50%):~228,150円
上限額は、年単位で頻繁に見直されています。ここで紹介しているのは、令和2年8月1日改正後の給付金の限度額です。
次は育児休業給付金が、いつ手元に届くのか?と言った疑問にお答えします。家計がギリギリのご家庭にとっては、支給額の次に気になることでしょう。ぜひ、参考にしてください。
育児休業給付金はいつ貰える?いつまで申請OK?
ここでは、育児休業給付金が銀行に振り込まれる日や、申請の期限をお伝えします。家計にも直結することなので、重要ですよね。わかりやすく解説します。
育児休業給付金はいつ銀行口座に振り込まれるのか?
育児休業給付金が銀行口座に初回の育児休業給付金が振り込まれるのは、育児休業開始から約3ヵ月後です。思ったよりも遅いと感じた人もいらっしゃるのではないでしょうか?初回の振り込みまで3ヵ月かかる理由は、以下の通りです。
- 給付金の振り込みは2か月分をまとめて支払われるから
- 初回の給付金申請は育児休業開始の日から2か月が経過した後に行うから
- 給付金申請の審査に約半月かかるから
- 審査が終わって銀行振り込みの手続きまでに約1週間かかるから
貯金がぎりぎりで、育児休業給付金を休業中の生活費としてあてにしている場合は、給付金が振り込まれるまでに約3ヵ月を要することには注意してください。
育児休業給付金はいつまで申請できる?
育児休業給付金は、育児休業を開始した日から4ヵ月後の月末まで申請できます。たとえば、3月10日から育児休業が始まった場合は、7月31日まで申請することができます。
給付がはじまったあとも、2ヵ月に1回の申請が必要です。
育児休業給付金の条件をしっかり確認しよう
育児休業給付金の条件を満たせないと、まったく給付金を貰えないことになりますので、注意してください。
特に、3人目の子どもの育児休業給付金は、支給されない場合もあります。そのため、会社の人事や社会労務士、ハローワークの職員に、給付されるのかどうかをしっかり確認しておきましょう。
支給されることを期待していたのに、不支給となってしまうと、家計へのダメージが大きく精神的にもつらい思いをしてしまいますよね。
確実に育児休業給付金を受け取りるために、早めに行動して重要なことは確実にチェックしておきましょう。
育児休業給付金は延長することができます。気になる方は、こちらも要チェック!
【参考】
育休手当の支給日は?申請期限はいつまで?覚えておきたい「育児休業給付金」の基礎知識