育児休業給付金の支給はいつまで?延長あり?|期間や延長制度を徹底解説!

育児休業給付金の期間と延長の方法を分かりやすく解説します。産後休業が終わったあとも、育児休業で仕事を休むことができます。さらに、育児休業中には、育児休業給付金が支給されます。

育児休業中に給付金があることで、生活費をある程度カバーすることができ、子育てにも安心して専念できます。

とはいえ、育児休業給付金を、複雑な制度だと感じる人は多いのではないでしょうか。また、小学生に上がるまでは子供にも手がかかるので、「いつまで支給されるのか?」「延長はできるのか?」といった疑問の声も聞かれます。

さらに、最近は夫婦で育児休業を取得する家庭も増えてきたため、「母親と父親の育児休業時はどうなるのか?」と気になる人も多いことでしょう。

そこで、この記事では、

  • 育児休業給付金は支給されるのはいつまで?
  • 延長できる期間は?
  • 母親だけでなく父親も育児休業を取る場合はどうなるの?

といった疑問にお答えします。育児休業給付金についてしっかり学んで備えたい場合は、ぜひこの記事をご覧ください。

育児休業給付金が支給されるのはいつから、いつまで?

育児休業給付金が支給されるのは母親の出産から57日後から子どもの年齢が1歳になる前日までです。ここは、いったん子どもに関わる休業を整理しておくと理解しやすいでしょう。以下のようになります。

  • 産前休業は、出産予定日の42日前から出産まで
  • 産後休業は、産後から56日後まで
  • 育児休業は、産後57日後から子どもが1歳になる前日まで(延長あり)

産前休業と産後休業で貰えるのが、出産手当金。育児休業で貰えるのが、育児休業給付金です。つまり、産後56日を境に、出産手当金から育児休業給付金へと移行することになるのです。

出産手当金と育児休業給付金は混同しがちですが、手続きや支給額の計算方法に違いがあるため、分けて覚えておきましょう。

さらに、育児休業給付金は条件をクリアすれば期限の延長が可能です。次に、どれくらい延長できるかについてお伝えします。

育児休業給付金はどれくらい延長できる?

育児休業給付金の期間延長パターンは以下の通りです。

  • 子どもが1歳2ヵ月になる前日まで
  • 子どもが1歳6ヵ月になる前日まで
  • 子どもが2歳になる前日まで

育児休業給付金の支給延長は、最長で子どもが2歳になる前日まで可能です。とはいえ、いっきに1歳から2歳まで延長されるわけではなく、いったん1歳6ヵ月で区切られます。そして、1歳6ヵ月以降も条件を満たすことが確認されれば、2歳の前日まで延長できるのです。

延長期間を決定する条件は、やや複雑。とはいえ、条件について把握しておかなければ、延長の機会を見過ごしてしまいます。結果的に、延長できたはずなのに延長不可いなる可能性もあるため注意してください。

次に、延長のための諸々の条件について、分かりやすくお伝えします。

育児休業給付金を延長するための条件

ここからは、延長するための条件を5パターンお伝えします。複雑なので整理しながら、理解していきましょう。まずは、自分がどの条件に適合しそうかを確認してみるといいです。その後、自分が当てはまる条件について詳細に確認するといいでしょう。

育児休業給付金を延長するための5つの条件

条件 期間
入所を希望申請した認可保育所に空きがない場合 子どもが1歳6ヵ月になる前日までだが、1歳6ヵ月を過ぎても条件を満たす場合は2歳まで延長が可能
養育者が病気やケガ、死亡した場合
離婚などで一人で子どもを養育する場合
養育者が下の子を出産予定か出産して日が浅い場合
父母が育休を取った場合 子どもが1歳2ヵ月になる前日まで

表中の養育者とは多くの場合、母親や父親のことですが、養子など実子以外でも該当する場合があります。ハローワークに問い合わせると、丁寧に教えてくれるでしょう。以降で条件ごとに詳しく解説します。

なお、ここでは1~4番目までの条件を解説します。5番目の「父母が育休を取った場合」は複雑なため、次項でお伝えします。

認可保育所に空きがない場合

認可保育所に空きがない場合の延長について認められるには以下の点をチェックしておきましょう。

  1. 保育所への入所申し込みを行っていること
  2. 保育所への入所申し込みを1歳の誕生日以前に行っていること
  3. 申請を希望する保育所は無認可ではなく認可保育所であること
  4. 保育所への入園希望日は子どもの1歳の誕生日以前であること
  5. 保育所とは保育園や認定こども園のこと

まず重要なのが、必ず入所申込書を出して保育所への入所の意思を役所に表明しておくことです。たとえば、市区町村に問い合わせた時に入所は厳しいと言われたとしても、申込書は提出しておきましょう。入所申し込みをしていないと、どんな理由があっても支給金の延長は認められません。さらに、入所申し込みをする際も、②~④の条件を満たす必要があります。

養育者が病気やけが、死亡した場合

母親や父親などの養育者が以下にあてはまる場合は、子どもが1歳6ヵ月~2歳になる前日まで給付金の支給を延長できます。

  • ケガや病気をした場合
  • 精神的な障害があり子どもを養育できない場合
  • 死亡した場合

ケガや病気、精神疾患で仕事に復帰できないときは、育児休業給付金の延長について会社やハローワークに相談しましょう。

離婚などで一人で子どもを養育する場合

離婚をして、母親か父親のうちの片方で子どもを育てなければならないときは、子どもが1歳6ヵ月~2歳になる前日まで給付金の支給を延長できます。

兄弟姉妹を出産予定か出産して日が浅い場合

育児休業給付金の支給を受けているときに妊娠をした場合です。たとえば、母親が42日以内に二番目の子どもを出産予定か、出産後に56日が経っていないときは、一番目のが1歳6ヵ月~2歳になる前日まで給付金の支給を延長できます。

育児休業給付金の延長は、父親と母親がともに育児休業を取得した場合でも可能です。以降で、詳しく解説します。

育児休業給付金は父母ともに育休を取った場合でも延長される?

父親と母親の両方が育児休業を取得する場合にも育児休業給付金は延長されます。可能な延長期間は、子どもが1歳2ヵ月になる前日。いわゆる、パパママ育休プラスという2010年からスタートした制度です。

ここでは、パパママ育休プラスの条件と、具体的なパターン別に分かりやすく解説します。

パパママ育休プラスの条件とは

パパママ育休プラスの条件は以下の通り。

  • 父親が子どもが1歳に達するまでに育児休業を取得していること
  • 母親の育児休業開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前であること
  • 母親の育児休業開始予定日は、父親が取得している育児休業の初日以降であること

文章だけでは、とても分かりにくいですよね。そこで、ほとんどの人が当てはまるパターンを3つ紹介します。さらに条件を満たせない場合も紹介するので、参考にしてください。ここからは制度名に合わせるために、父親をパパと母親ママと表現します。

パターン① パパとママが切れ目なく休業を取る

出典:厚生労働省のプレゼンテーション資料

たとえば、ママの1年間の育児休業のあとに、すぐにパパが育児休業を取った場合は、子どもが1歳2ヵ月になる前日まで給付金が貰えます。ただし、子どもが1歳になる前に、パパは育児休業を始める必要があります。

パターン② パパとママの育児休業期間が重なる場合

出典:厚生労働省のプレゼンテーション資料

パパとママの育児休業期間が重なった場合。ママが育児休業を終えた後もパパが2ヶ月間を超え育児休業すれば、子どもが1年2ヵ月になる前日まで給付金を貰えます。つまり、夫婦の両方が育児休業で仕事を休んでも、夫婦のそれぞれが支給を受けられます。

パターン③ パパとママの育児休業期間がまったく重ならない場合

出典:厚生労働省のプレゼンテーション資料

パパとママの育児休業期間が重ならない時期があった場合でも、子どもが1歳になる前にパパが育児休業を取得すれば、子どもが1歳2ヵ月になる前日まで給付金を貰えます。たとえば、両親ともに働きに出ている時期に、祖父母が子どもの面倒を見る場合が考えられます。

パターン④ 【注意!】育児休業が延長されないパターン

出典:厚生労働省のプレゼンテーション資料

たとえば、ママが育児休業を延長する場合、ママの育児休業がパパの育児休業開始の前になってしまうと、給付の延長が認められません。この場合、パターン②のようにママではなく、パパの延長であれば認められます。

また、子どもが1歳になった以降に育児休業を始めても、給付金が貰えないことも注意しておいてください。

ところで、ママ産休の8週間中に「パパが育児休業を取ってくれらうれしいなー!」と思いませんか?実は、ママの産後すぐにパパは育児休業をとれるのです。パパママ育休プラスとは別の制度で、パパ休暇というものがあります。パパ休暇であれば、ママの出産直後から育児休暇が取れますよ。

育児休業給付金の延長は会社かハローワークに相談しよう

育児休業給付金は、とても複雑な制度です。自分で把握する場合は、かなり細かく調べなければ、重要なことを見落としてしまうことも。

そこで、育児休業給付金の受給を受ける際は、可能な限り会社の人事や社会保険労務士に相談した方がいいでしょう。わからないことは細かく質問して、疑問は残さずにしっかり解消しておくことが大切です。

もしも会社に育児休業を取得した前例が少なく不安な場合は、ハローワークにも相談してみるといいでしょう。

参考元

厚生労働省 Q&A~育児休業給付金~

育児休業給付金申請者及び事業主のみなさまへ

パパママ育休プラス

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ABOUT US
【監修】 公認心理師YUKA久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。