育児ストレスが原因で離婚はできる?思いつめたママに考えて欲しいこと

育児ストレス 離婚

ママの中には、強い育児ストレスを感じて「もう離婚したい」「家族でいられない」と思う方も珍しくありません。育児ストレスとは主に子どもが原因ではありますが、育児に関してパパが無関心だったり何もしてくれなかったりすると、夫婦関係そのものもストレスに感じてしまうこともあります。

この育児ストレスとは、離婚の原因になるのでしょうか。今回は「子育てで感じるストレス」が夫婦関係を悪化させるケースについて、離婚を考えてしまうママに今一度冷静に思い直す方法をご紹介します。

育児ストレスが原因の離婚とは?起こり得る2つのパターン

イライラ 夫にあたる

育児ストレスとは、子育てへの不安や悩み、子育てそのものが引き起こす負担や疲労が重なって起こるものです。育児に対してイライラすることもあれば、「子どもと向き合うのがつらい」「こんなにつらい思いをしているのに、パパが分かってくれなくて悲しい」と家族に八つ当たりしてしまうこともあります。

ママだって人間であるため、育児ストレスを感じるのはおかしなことではなく当然です。しかし、育児ストレスが行き過ぎてしまい「パパとの離婚を考える」のは、早急に対応する必要があるでしょう。

育児ストレスが離婚の原因になる場合、2つのパターンが考えられます。まずは状況を整理する意味でも、理由をチェックしていきましょう。

育児に疲れて夫の態度が受け入れられず、子どもを引き取り離婚したい

まずは、育児ストレスが重なりパパにまで気が回らず、育児をするのにパパの存在が負担になっている場合です。夫婦共働き世帯が増え、男女の活躍の場も平等になっているとはいえ、育児は基本的にママを中心として行われます。

そのため、ママの中には「全部私が一人でやって、パパは何もしてくれない」と感じる方も多いかもしれません。また、パパ自身も育児への理解がなければ「なんで家事ができていないの?どうしてうちの子のしつけができていないの?」と理不尽にママを攻めることも考えられるでしょう。

この場合は、子どもを引き取って離婚したいと考えるパターンがほとんど。原因は育児ストレスかもしれませんが、根本には「夫婦関係の悪化」があります。

育児をしたくない、子どもと離れるために離婚したい

次に、育児をしたくないために離婚したい場合です。子育てや育児は、誰でもすぐにできるものではありません。言うことを聞かない子どもや、予想通りにならない育児にママ自身が疲れてしまい「一人で暮らしたい」と考えることも想定できます。

もちろん「ママなんだからそんなことを思ったらダメ」というわけではありません。ただ、冷静になれば子どもとずっと離れて暮らし、子どもに「ママのいない寂しさ」を与え続け、決して安くない養育費を支払うというのは、あまりにも現実的ではないことに気づけるはずです。

今回は想定されるパターンとして事例をご紹介しましたが、育児ストレスとはこのように「ママから冷静な判断力を失わせる」ものです。思い付きで行動しないように、育児ストレスのあまり離婚の二文字が頭に浮かんだら今一度考え直す必要があります。

育児ストレスが原因で離婚はできるの?

子育て なぜ疲れる

次は、現実的に育児ストレスが原因で離婚はできるのかどうかを考えます。育児ストレスは避けられないこととはいえ、「育児が負担になるから離婚したい」という思いは通るのかどうかを解説していきましょう。

双方の合意が得られると可能

夫婦の離婚とは、成立するには条件が必要です。その条件のうちの一つが「双方の合意」であり、この場合は理由がなんであれパパとママが納得していれば離婚できます。

双方の合意を得るには、まずは離婚の話し合いをしなくてはなりません。これを「協議離婚」といい、国内で離婚する夫婦のうち9割が協議離婚を成立させています。

「理由はなんでもいい」ために、

  • ワンオペ育児ばかりさせるパパとは一緒にいたくない
  • 仕事ばかりで子どもにも悪影響を及ぼすパパとは別れたい
  • 子どもと離れたいから離婚する

などの原因でも互いの合意があれば離婚は可能です。離婚届けを記入し、役所に提出すれば完了します。

ただし、離婚する場合にどちらが親権を持つのか、養育費や財産分与の割合や、自宅や自家用車などの金銭に代えられない所有物の権利をどちらが持つのかなど話し合うことはたくさんあります。離婚の合意が得られても、離婚後の分配で話し合いが長引く場合がほとんどです。

離婚事由に当てはまる場合は可能

双方の合意以外で離婚する場合は、「離婚事由」に当てはまれば離婚可能です。この離婚事由とは法律で定められており、

  • 配偶者が不貞行為(不倫)を行ったとき
  • 配偶者から悪意のある遺棄をされたとき
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病になり、回復が見込めないとき
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

以上のどれかに当てはまれば離婚を切り出すことができます。

この離婚事由は、例えば協議離婚では解決できない場合に離婚調停へと進む際に重要です。離婚調停とは「なぜ離婚するのか」を調停員が夫婦それぞれから聞き出し、離婚するか関係回復が妥当かを決定します。ここでも合意が得られない場合は離婚裁判へと進みますが、離婚事由があれば有利に話し合いを進められるのです。

育児ストレスの場合は「そのほか婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」に当てはまるでしょう。とはいえ育児ストレスから発生した「不倫」や「モラルハラスメント」「家庭内暴力」が原因の場合のみ適応されるので、育児ストレスそのものが離婚の理由にはなりません。

育児ストレスで離婚を考えているママが考えたいこと

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育児ストレスでは離婚できるかどうかは、夫婦の話し合いによります。また、離婚とは夫婦がこの先の人生を誰と一緒に過ごすのかの選択であるため「子どもは関係ない」のが基本です。

今一度、育児ストレスで離婚したいと思っているママは、以下のポイントを考えてみましょう。

「子どもと離れたいママ」は誰かに相談して決定を

子どもと離れたいために離婚したいママ。先ほども説明しましたが、ママだって人間なので「誰のお世話もしなくていい一人暮らしに戻りたい」と思うことがあって当然です。毎日自分のことができず、子どもとパパを優先して生きていると疲れる日もあります。

ただ、本当に子どもと一生離れて「ママ」でいることをやめてもよいのでしょうか。また、その思いは誰かに相談すると気が楽になることもあります。

パパに一度も相談していないという場合は、夫婦で話し合いの時間を設けてもよいかもしれません。「ママが離婚を考えるほど思い詰めているとは知らなかった」というパパもたくさんいます。

まずは話し合って、パパにどうして欲しいのかを伝えることから始めましょう。話し合いの結果、離婚となってもこれもおかしいことではありません。重要なのは安易に決めないことです。

パパが原因の場合は「話し合って解決できないか」検討を

パパが離婚の原因となっている場合、育児のさまたげになっている場合は、離婚を考える方も多いです。ママにとっては「子どもの養育環境」こそが大切で、優先する場合がほとんどです。

パパの態度で離婚を考えている場合は、まず話し合って解決できないかを検討しましょう。どんなに今つらいと思っていても、長い目で見てパパと一緒に暮らす方が子どもにとってもママにとってもよい選択かもしれません。

こちらも、話し合いの末に離婚を選択しても当然構わないでしょう。ただ、意思疎通が図れていないまま離婚だけを押し切るのはおすすめできません。

優先すべきはママの育児ストレス解消

離婚とは「子どもは関係ない」とお伝えしました。家族であるためもちろんママとパパが別れるのは大きな影響があるものですが、基本は子どものために夫婦がいるわけではありません。

離婚を考えると「子どものために我慢するべきじゃないか」と思う方も多いのですが、優先すべきはママの育児ストレス解消です。

もしパパと一緒にいることでストレスが重なり続けるのであれば、子どもと笑顔で過ごすために離婚を検討するのも仕方ありません。パパと話し合って落としどころを見つけられるのであれば、関係再構築もできます。

今冷静な判断ができていないと思ったら、まずはママの育児ストレスを解消する方法を探りましょう。そのあとで夫婦関係を話し合うのでも遅くはありません。

まとめ

育児ストレスで引き起こる「離婚するかどうか」のお悩み。悩んでいるママから見ると周りの家庭はずっとうまくやっているように思えますが、実は多くの家庭でこうした問題は起こりがちです。

考えておきたいのは、離婚を考えるほど「育児ストレス」とは大きな影響を与えるものだということ。ママ一人が我慢してもいずれ限界は訪れます。まずは自分が心地よく思える未来に向かって、どうすればよいのかを一歩ずつ考えてみましょう。

【参考】

ワンオペ育児で離婚危機⁉しんどいと感じる理由や離婚の回避法、離婚の可否を解説 | 離婚・不倫慰謝料相談 弁護士ほっとライン

子供と離れたくて離婚したい | 妊娠・出産・育児 | 発言小町

子育てママが離婚したい…と思ったら考えるべき3つのこと | ママびよりウェブ

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。