メタ認知という言葉を、教育やビジネスのシーンで見かけたことはないでしょうか。特に子育て中において、「メタ認知能力を高めよう」といった使われ方をします。
馴染みのない言葉かもしれませんが、今回はメタ認知をわかりやすく解説。驚きの能力を発揮するメタ認知を正しく理解して、育児に活かしてみましょう。
メタ認知をわかりやすく解説
早速、メタ認知をわかりやすく解説していきます。育児書にも登場することの多いこの言葉を理解し、子育てに活かしましょう。
「知っていることを知っている」という思考回路のこと
メタ認知とは、端的に言うと「知っていることを知っている」と理解することです。少し混乱してしまいますが、もっと詳しく説明すると、
がメタ認知です。
自分の力を発揮するためには、自分の力がどのような強み・弱みを持っていて、どんな使い方をすれば良いのかを知っていなくてはなりません。どんなに優れたツールを持っていたとしても、その機能がどう使われるのか分からなければ「宝の持ち腐れ」ですよね。
メタ認知はその優秀なツールが自分自身です。そして自分自身を熟知すると、上手に自己発揮ができるというのがメタ認知能力の根本的な部分だと覚えておきましょう。
メタ認知の具体例とは?
メタ認知が発揮される場面が想像できないという方のために、育児中で起こるメタ認知能力をご紹介します。
例えば料理を作るとき、最初からフライパンに火をつける方は少ないです。最初に何を作るか決めて、食材を用意して下ごしらえをしてから調理しますよね。このような「どう動けば効率的に作れるか」を考えることこそ、メタ認知です。
また、小さな子どもに「道路に飛び出さないで。車が通るから危ないでしょ」と注意するママも少ないです。子どもがどんな言葉を知っていて、どう伝えれば子どもに危険を知らせるのかを考えるのもメタ認知。「ぶーぶーがくるよ。ママと手をつなごうね」と言えば、年齢の低い子にも伝わります。
メタ認知力はどんなメリットがある?
メタ認知が次第に理解できるようになったら、「なぜ育児中にメタ認知が注目されるんだろう?」と疑問に思いますよね。ママがメタ認知力を高めると
- 感情に振り回されず、冷静に意思決定ができる
- 新しいことを学習するスピードが速くなる
- どう行動すれば子どもに響くのか、体感的にわかるようになる
というメリットがあります。さらに子どもはママが思っている以上に親の背中を見て育つため、子どものメタ認知力を高める効果も期待できるでしょう。
これを踏まえて考えてみると、ビジネスの世界でもメタ認知が注目を集める理由がわかりますよね。自己の持つ能力を最大限に発揮する手段こそ、メタ認知です。
メタ認知力が低いとどうなるの?
では、反対にメタ認知力が低いとどうなるのでしょうか。次はメタ認知力の低下によって起こることをご紹介します。
場当たりな行動が増える
先のことを見据えた行動ができないため、場当たりな行動が多いです。「とりあえずやってみる」というよりも、自分の持つ能力をどう使ってよいのか分からないケースがこれに当てはまります。
先ほどのメタ認知の具体例でも料理の完成形を考えず、思い当たったところから作り始めると失敗しやすいです。メタ認知力がないために物事に行き詰まったり、失敗したりすることも増えるかもしれません。
思い込みが激しくなる
メタ認知という「自己を見つめる能力」が低いと自分の行動が客観視できず、思い込みが激しくなります。主観的な考えが強いため、「みんなは私の言うことが分かるだろう」と思い込んで行動してしまうのです。
なぜ友人が傷ついたのか、なぜ周囲となじめないのか、他人の気持ちを理解しようとしないため分かりません。また他人の行動は「絶対にこういう意味がある」と思い込んでしまいがちなのも、メタ認知力が低い特徴です。
メタ認知力を高めるためには
メタ認知力は低いとデメリットばかりが目立ち、そして高いとメリットが多いことがわかりました。では、メタ認知力を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。
ここからはメタ認知力を高めるためにできることをご紹介します。
思考をメモする癖をつける
思考をメモするのは「フリーライティング」と呼ばれ、自分の持つ課題や考えを言語化するトレーニングができます。難しく考えなくても「○○があると私は機嫌が悪くなる」「○○があって嬉しくなった」とメモするだけでOK。
こうして思考を書き出してみると、自分の持つ思考の癖や思考方法が見えてきます。メタ認知を意識するまさに「自分を客観視」ができるわけです。すぐメモする時間が取れなくても、子育て中のママなら日記を付けるだけでも良いでしょう。
寝る前の数分で、手を止めずに思考を書き出してみると精神が安定する効果も期待できます。
瞑想して意識を「今」に向ける練習をする
集中力を高める方法として知られている瞑想。このブログでも、育児中のストレス解消や集中力を高める手段としてマインドフルネスをご紹介しました。
瞑想はさまざまに絡まる思考を整理し、意識を「今」に向けるトレーニングです。感情や思考を自分でコントロールできると、メタ認知を発揮しやすく「場当たり的な行動」も防げるでしょう。
自分自身を観察する
最後に自分自身を観察することです。これは心理学の世界では「セルフモニタリング」と呼ばれており、自分を俯瞰的・客観的に見る能力を高めるために必要な方法です。
自分自身を観察するといっても、なかなか意識したことないため難しいですよね。まずは自分の欠点と良い点を書き出してみましょう。欠点の方が多かったとしても、まずはその欠点を認めて受け入れることが大切です。
また、直すべきポイントが見つかったらどのような手段で改善すれば良いのかも考えてみましょう。例えば「毎日1度は子どもに怒ってしまう」と自分のイライラが気になるママは、
- いつ怒ってしまったのか?朝?夜?忙しいとき?
- なぜ怒ってしまったのか?子どもがご飯をこぼしたから?仕事に遅れそうだから?
- どうすればよかった?もっと時間に余裕を持てばよかった、「○○」という言葉を使わなかったらよかった
このように自分自身を客観的に見たうえで観察すると、次第にモニタリング力が高まります。最初からできるわけではないので、少しずつ自分の行動を振り返る時間を作ってみると良いでしょう。
まとめ
よく目にする「メタ認知」。一見難しそうな言葉ですが、実は育児中の私達にとって大切な力でもあります。育児のしづらさを解消し、より良い子育てを目指せるメタ認知を、日々の育児に活用してみてくださいね。
【参考】
「メタ認知」とは?教育、ビジネスで大注目の能力を具体例でわかりやすく解説! | HR大学
メタ認知をわかりやすく具体例で解説~ビジネス、学習に必須のスキル~ | ビジネス英語習得の本質
メタ認知とは?メタ認知能力の高い人・低い人との特徴とトレーニング方法 – あしたの人事オンライン
【わかりやすく解説】メタ認知とは?メタ認知能力の高い人の特徴や高める方法まとめ | クラウドシエンLAB | 企業と支援をつなげる経営支援情報メディア
自己の活動(知る、思う、記憶するなど)を客観的に捉え評価し、制御すること