乳児期を過ぎると、子供は歩くようになり簡単な言葉をお話できるようになり、行動範囲やできることの幅がぐっと広がります。赤ちゃんの頃はとにかく「お世話」が大変だったけれど、成長すると違った育児の大変さがやってきますよね。
「子供の要求が複雑になった」「いやいややこだわりが出てきてどう接して良いのか分からない」
こんな悩みを持つママも増えます。これは子供に「自我の芽生え」が起きたからかもしれません。
そこで今回は「自我の芽生え」とは何か、いつから始まるのか、子供の自我とママはどう向き合えばよいのかを一緒に考えてみましょう。
自我の芽生えは生まれた時から始まっている
2歳ごろの子供には、第一次反抗期がおとずれます。イヤイヤ期とも言われているこの時期は、これまでの「赤ちゃんとの向き合い方」ではうまくいかず、要求が複雑になったり難しかったり、なかなか泣き止まないといった育児の困難さを感じやすいものです。
これを「自我の芽生え」と呼ぶことがあります。みなさんも「自我が芽生えたから子供がわがままを言うようになった」と聞いたことはないでしょうか。
ただ、この自我の芽生えは実は生まれた時から始まっています。自我の芽生えというのは「子供が自分に気付くこと」。例えば人見知りが始まって「ママじゃないとイヤ」と後追いが始まるのも自我の芽生えです。
- おもちゃではなくリモコンや調理器具など、生活用品で遊ぶようになった
- 寝返りができず悔しくて泣く
- 食べ物の好き嫌いが出てきた
これもすべて、自我の芽生え。ママの中には「心当たりがある!」という方も多いかもしれません。
1~2歳ごろに自我の芽生えで育児が難しくなることも
とはいえ、「自我の芽生え」は1~2歳ごろの子供に起こるとよく言われています。なぜかというと、先ほどご紹介したように2歳までの子供の要求はいくらわがままだといっても、他の遊びに誘ったり嫌いなものは工夫して与えたりして、対策を取りやすいからです。実は自我の芽生えが始まっており、自我をしっかり持っている子だとしても、ママやパパや周りの大人のサポートが的確だと「自我の芽生え」が分からないこともあります。
2歳になると、子供は使える言葉も増えて簡単な受け答えならできるようになります。体力もつき行動範囲も広がる時期ですよね。幼稚園や保育園に通い、お友達やママ以外の大人とコミュニケーションを取ることも増えるでしょう。
この時期に先ほどの「自我の芽生え」によって子供のこだわりやわがままが重なると、ママは育児が難しいと感じやすくなります。さらに、たくさんの人とかかわることで自我の存在に気付きやすくなり、これまでにない要求も増えるのです。
自我の芽生えで子育てが大変!
1~2歳ごろの子供と過ごしていると「これまでにない育児の壁にぶつかった」「子供が最近わがままになったように感じる」と思うママが多いです。
前提として、この時期は育児の困難を感じやすくどのママも悩みます。「うちの子だけおかしい」のでは決してないため、一緒に自我の芽生えが始まった子供との向き合い方を考えてみましょう。
自分の思い通りにならないことに「イヤ!」と泣き出す
イヤイヤ期とも呼ばれる自我の芽生えが目立つ時期。これまではあやせば気分を切り替えてくれた子供も、「自分」に気付いたことで「イヤなものはイヤ」とこだわります。
ただし、自分の気持ちを上手に話すのはまだまだ先。2歳ごろの子供だと「何がイヤなのか」をうまく伝えられません。
ママは可能な限りで子供の気持ちを汲み取ってあげて、イヤの原因を探してみましょう。原因が分かれば子供の不快感を取り除いてあげて、もしわからなくても「ママは決して見捨てたわけじゃないんだよ」と抱きしめてあげましょう。
こちらの記事でもイヤイヤ期との向き合い方をご紹介しています。▼
なんでも自分で!とやりたがる
朝の準備や夕方の家事が溜まった忙しい時。「早く済ませたいのに」子供が自分でやりたがるようになり、倍以上時間がかかることもあります。これまではママの言う通りにお洋服を着替え、おもちゃで遊んでいたのに「成長したはずなのになぜ?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、これこそが自我の芽生えです。なんでも自分で「自分のやりたいように」やりたがるようになります。大切な成長過程なので、子供の「挑戦する気持ち」「やりたがる気持ち」はできる限り尊重してあげましょう。
ただ、ママ自身に余裕がない時もあります。何かひとつやらせることを決めてお手伝いとして子供にお願いしてみたり、ママの時間が持てるときだけ好きにさせてみるなど、無理のない範囲で子供との暮らしを工夫してみましょう。
こちらの記事は2歳半でできるお手伝いをご紹介しています。▼
言い聞かせをしてもまだまだ理解が難しい時期
自我が芽生えた子供に対して「言い聞かせ」でつまづく方も多いです。「危ないからやらないで欲しい」「今は時間がないから待って欲しい」そう伝えたいけれど、子供がうまく理解してくれず困るシーンも増えるでしょう。
2歳の子供は、
乳児は大人が言葉をかけても、それで心や身体を整理することができない時期です。だから大人にとってはややこしくて、頭にきてしまうこともあるものです。
第2回 イヤ!自分で!から始まる自我~大きくなるのは、楽ではない~年齢別に見る自我の発達と保育 岡村 由紀子
とも言われています。言葉を選んでも子供に伝わらなくて、それゆえにイライラすることだってあるでしょう。大切なのは我が子がどんな風に言えば理解してくれるかな、とママならではの目線でやり方を工夫し、子供に響く言葉を選び伝えることです。
次は、そんな自我の芽生えを迎えた子供との向き合い方を具体的に考えてみましょう。
自我が芽生えた我が子との向き合い方
自我が芽生えた子供との向き合い方。突然手がかかるようになって混乱し、「どうしてよいのか分からない」と思う方もいるかもしれませんね。
子供の自我の芽生えと向き合うには、3つのポイントがあります。ひとつずつ見ていきましょう。
決して感情的にならない
子供のわがままや何を言ってもご機嫌が直らない、泣き止まないことにイライラすることもあります。イヤイヤ期の子供は特に向き合い方が難しく、「怒鳴りたくなる、怒りたくなる」ことも当然あるでしょう。
しかし、まずは感情的にならないことをママの中で決意しましょう。感情的になっても子供は「怒ったママ」にびっくりするだけで、真意は何も伝わりません。
お店でぐずってゴロゴロしはじめても、その場で感情的に怒鳴っても子供の言動が収まるとは思えませんよね。その場で叱ることなく、静かで集中できるところに連れて行って1対1で落ち着いて話をするなど、感情が激高する前に時間を作りましょう。
自我の形成を一度ママの中で「受け入れる」
自我が芽生えたことは、子供にとって大切な成長を遂げた証拠です。しかし、この時期のわがままや要求は大人から見るとめちゃくちゃなことばかり。理不尽で言うとおりにするのも難しいものですが、一度「そうなんだね」「これがイヤなんだね」と受け止めてあげましょう。
先ほども紹介したように、子供はイヤイヤをするものの自分でも「何がイヤなのか」が分かりません。だからこそ自分のやりたいことと現実の理想が離れ、それを言語化できないもどかしさも相まって、ぐずってしまうのでしょう。
すぐに子供の気持ちが理解できるわけではありませんが、時間と状況が許せば子供の好きなようにさせてみるのも良いでしょう。子供もやりたいことをやりきったら、気持ちが落ち着くかもしれません。
「あえて向き合わない」のも一つの手段
これまでは自我の芽生えた子供とどう付き合っていくかをご紹介しましたが、手のかかるこの時期だからこそ大切にしたいのはママの気持ちです。どんな優しいママでも、子供が大好きだとしても、忙しい時間帯に子供のこだわりで振り回されるとカッとなることもあります。「大人だから冷静に」と振る舞える時と、そうでない時もあるでしょう。
怒りの感情はママだからといって抑えられるわけではありませんし、抑えるのが最善の手段というわけでもありません。「怒りそう」「叩いてしまいそう」と子供との向き合いに限界を感じたら、感情的になる前に適度に距離を取りましょう。
子供の安全が確認できれば、部屋を離れてママが一息ついてもかまいません。子供も泣いたりわめいたりする間は、どんなに言葉を尽くしても聞き入れてくれない場合もあります。周囲に迷惑がかかっていないか、子供に危険はないかだけをチェックして、あえて向き合わない時間も作ってみると良いでしょう。
まとめ
「乳児期を過ぎて落ち着くかと思ったら、新しい壁が……」と落ち込むママ、自我の芽生えが起こると確かに育児は大変になりますが、子供にとって大切な時期を迎えている証拠です。手がかかったとしても自我を強く持っている、「自分の自覚がある子」だということを、ママは忘れないであげてくださいね。
今回ご紹介した自我の芽生えとどう向き合うかを参考に、親子の信頼関係を少しずつ築いていきましょう。
【参考】
子どもの自我意識の芽生えのとき、大人はどう接したらいいのか|お役立ち保育コンテンツ|保育士の転職求人なら「保育ぷらす+」