子供は好奇心旺盛で、さまざまなことに興味を持ちます。子供の自由な行動は広い心で受け止めたいものですが、ママの中には「すぐに興味が移っちゃって、諦めることが多い」と子供の“粘り強さ”のなさが気になる方も多いのではないでしょうか。
今、子供の粘り強さややり抜く力は「GRIT」と呼ばれ、子供との接し方において注目を集めているのです。
GRITってどんな力?子供の粘り強さを引き出すには?そんな疑問に、今回は詳しくお答えします。
子供の「粘り強さ」は才能より大切!GRITとは?
育児情報や育児書でも語られることの多いGRIT。GRITとは簡単に言うと、「粘り強さ」「やり抜く力」を指します。
育児中、子供の諦めやすさやすぐ物事をやめてしまう姿勢が気になるママも多いかもしれません。できるなら、「最後まであきらめずに何事も取り組んで欲しいな」と思いますよね。この時、子供の粘り強さを引き出すためにはGRITを意識して接すると良いかもしれません。
まずはGRITとは具体的にどういったものなのか、一緒にチェックしてみましょう。
「成功する人間」になるために大切なGRIT
最近国内の育児でも注目を集めるようになったGRIT。GRITはフェイスブックの創始者であるプログラマー、マーク・ザッカーバーグが「成功の秘訣はGRIT」と明言し、元アメリカ大統領オバマ氏もスピーチで使った言葉として認知が広まりました。アメリカでは、教育の根本にGRITを意識することが常識となっています。
「GRITは初めて聞く言葉」というママも多いでしょう。慣れない言葉かもしれませんが、GRITは成功する人間になるために大切な要素であり、子供の非認知能力を育むためにも欠かせない能力です。
自己肯定感が高く、何事もやり遂げる力が強い
では、GRITを持つとどうなるのでしょうか。GRITは「G(度胸)、R(復元力)、I(自発性)、T(執念)」の頭文字を取った言葉です。GRITを構成する4つの能力については後ほど解説しますが、もう一つ英語のgritそのものには「歯をくいしばること」「困難にもくじけない気概」といった意味があります。
つまり、GRITを持つと粘り強く、何事も最後までやり遂げられる力が身につくということ。今意識しているママも多いかもしれませんが、GRITを持つと「自己肯定感」も高まります。諦めやすさが目立つ子こそ、GRITを育んであげたいですね。
GRITは「才能」は関係ない
ここまでGRITの説明を見ていると「特殊な能力で、一部の限られた子にしか与えられないもの」という印象を持つ方もいるかもしれません。ですが、GRITには才能や先天的能力は関係ありません。自己肯定感と同じく元々人間だれしも持っているものであり、何歳からでも意識次第で得ることは可能です。
記事冒頭でも説明したように、子供は好奇心旺盛でさまざまなことを吸収します。柔軟に物事を受け入れやすい幼少期こそ、GRITは育みやすいのです。
粘り強さ、根気を培うGRITを詳しく解説
粘り強さや根気を培う能力、GRIT。先ほどGRITには4つの要素があると説明しました。
次はこの4つについて、一つずつ解説していきましょう。
G:度胸
まずは度胸(Guts)です。度胸やチャレンジ精神がないと、何事も始まりませんよね。度胸を育むためには、リスクや失敗を恐れない強い気持ちを持つ必要があります。
これはママが日ごろから子供に身に着けさせることも可能。「危ない」と言い出したくなる気持ちを抑え、子供にちょっとした目標を作って挑戦させてみると度胸は次第についてきます。
R:復元力
二つ目は復元力(Resilience)。文字通り「元に戻す力」のことで、先ほどの度胸とも深く関係しています。
度胸のある子はなぜ失敗を恐れず、チャレンジできるのでしょうか。これは復元力があり「失敗してもやり直せる。元に戻せる」からです。度胸をもとに子供がチャレンジした結果、失敗することは多々あります。ですが復元力を養うためには失敗を指摘するのではなく、「もう一度やれば大丈夫だよ」「元に戻せるから大丈夫」と安心させることに注力しましょう。
I:自発性
次は自発性(Initiative)です。イニシアチブはビジネスシーンでもよく取り上げられる能力で、「イニシアチブを持って行動する」といった使われ方をします。誰かの指示を待つのではなく、自分で問題点を見つけて行動する力が自発性です。
もちろん子供が「言われなくても進んでお手伝いする」「身の回りのことを自分で行う」のはある程度の年齢でないと難しいでしょう。「この遊びがやりたい」「こっちの色がいい」と選んで自分で決めること、発信すること。これは自発性のある行動です。大人がつい口をはさんだり手を出したりしてしまいそうになる場面ですが、自発性を育てるためにも子供を信じて待つ姿勢も大切ですね。
T:執念
最後は執念(Tenacity)。これはこの記事で伝えたい「粘り強さ」そのものです。子供が何かを諦め、途中で投げ出すことは多いでしょう。執念や粘り強さがあれば、物事を最後までやり抜くことができます。ただ、子供は基本的に興味がたくさんあり、気持ちは移ろいやすいものではあります。執念を引き出すためには「子供が好きなことを見つける」「集中して取り組める環境を整える」といった条件を揃えるのが大切です。
4つの要素を見てみると分かるように、それぞれの能力は互いに関係しあっています。この4つを高め合うとGRITが身につくので、ぜひ意識して子供と接したいですね。
粘り強さ、やり抜く力を培うための子供との接し方
では、GRITを育むためにはどう子供と接すればよいのでしょうか。粘り強さややり抜く力を身に着けるためには、3つ気をつけるべきポイントがあります。
GRITは才能ではなく、何歳からでも意識すれば培えるもの。今、子供の能力を引き出してあげたいと感じるママはぜひ試してみてください。
ママは上手に「褒める」
粘り強さを引き出すために、子供が頑張ってやり遂げた時には褒めてあげましょう。気をつけたい点は、「褒める」というのは簡単なようで難しいもの。褒め方次第では子供の意欲を削ぐ結果にもなるので正しく褒めるのがポイントです。
褒める時に意識したいのは、
- 子供の個性に合わせて褒める
- 結果ではなく過程を褒める
この2つ。例えば子供が絵を描いたとしましょう。描いた絵が大人の目線で見ると「正直大したものではない」と思っても、絵を描いたこと自体を子供が見せてくれたのは褒めてあげたいですよね。また、色使いが上手、特徴をよく捉えているなど、ママの目線から見て褒めるべき点はたくさんあると思います。
さらに褒めるのは、完成した絵に対して「出来栄え」を評価するのではありません。頑張って描いたその姿勢、過程を褒めると子供も「また絵を描こう」と次に挑戦する気持ちを持てます。結果として、粘り強さを育てることに繋がるため上手に子供を褒めましょう。
こちらの記事には「正しい子供への褒め方」をまとめています。参考にしてください。▼
大人は手本を「見せる」
GRITを育てる指南本の著者である、アメリカのキャロライン・アダムス・ミラーさんはこう語っています。
「大人があきらめずにがんばる姿を見せるのが何より効果的」
お子さんは「GRIT(やり抜く力)」を持っていますか? 保育と暮らしをすこやかに【ほいくらし】
子供は大人が思っているよりも、ずっと大人のやっていることや仕草を見ています。ママ、パパは子供に「粘り強く育って欲しい」と思うのなら、自分自身がお手本になってあげましょう。頑張るのは何も仕事だけではありません。日々の暮らしを整える家事や、家族のことをケアするママの姿だって、立派なお手本です。もちろんうまくいく日ばかりではありません。落ち込む日や悲しい時だってあるけれど、それも隠さず子供に見せましょう。
一緒に暮らすママ、パパなど身近な大人をお手本にすることは大切です。同時に、伝記などもお手本になります。本だけでなく分かりやすく漫画にもまとめてあるので、子供が伝記に触れさせる機会を作るのもおすすめです。
目標は少しだけ「高め」に
粘り強さを引き出すためには、何かに取り組み努力することが大事です。目標を決めるのは前提として、その目標は少しだけ「高め」に設定しておきましょう。
GRITを高めるためには、「高い目標を設定する」と提唱する方もいます。当然目標は高いほど達成感があり、粘り強さも培われますが、子供にとって「難しすぎる目標やハードル」は諦める要素になることも。そのため目標は「ちょっと頑張らないと達成できない」ラインが望ましいです。
目標の高さは子供それぞれ異なります。よく子供を観察して、ママならではの目線で「この子が諦めないぎりぎりの目標」を見つけてみましょう。その目標が一般的には簡単なものでも、取るに足らないものでも構いません。できなかったり壁にぶつかったりしたら、大人がお手本になってあげます。そして達成できたら、努力した過程を褒めて一緒に喜んでくださいね。
まとめ
粘り強さややり抜く力、今話題のGRITについて解説しました。育児の悩みは尽きませんが、特に子供の非認知能力や根気を高める方法はどうすればよいか分からないママも多いです。
大切なのは、粘り強さ・やり抜く力というのはすべて「元から備わっており、いつでも高められる」ということ。子供が何歳でも、今からGRITを意識して遅いことはありません。
親子にとって適した方法で、子供の能力を引き出してあげてくださいね。
【参考】
才能よりも大切な「GRIT」! 子どもの “やり抜く力” の育て方 ~家庭内ルール~