幼稚園に行きたくないと泣くときに必要なアタッチメントの強化とは?

朝、幼稚園に送っていこうとしたときに、「幼稚園に行きたくない」と子供が泣くと、ママやパパはびっくりしてしまいますよね。幼稚園に行きたくないと泣く子供は多く、特に入園してしばらくの間は、ほとんどのママやパパが子供の登園拒否を経験します。今回は、子供がなぜ幼稚園に行きたくないと泣くのか、子供が泣く主な理由や乗り越え方、パパやママができるサポートなどをまとめてご紹介します。

幼稚園に行きたくないと泣く理由はさまざま

なぜ泣くの?

入園当初や進級してしばらくの間は、多くのこどもが登園拒否で幼稚園に行きたくないと泣くため、ママやパパも大半の方が、不安や焦りでストレスを抱えています。子供が泣く理由がわかれば、ママやパパの心配も減り、対処法も見つかりやすくなります。子供が幼稚園に行きたくないと泣く期間は個人差が大きく理由もさまざまですが、ほとんどの場合で、泣く理由は以下の3つに集約されます。

最も多いのは分離不安

最も多いのは、ママやパパと離れることに対する不安、いわゆる分離不安によるものです。これまでずっと一緒に過ごしていたママやパパと、離れた場所で別々の時間を過ごすことがはじめてという子供は、特に分離不安を感じやすく、多くの場合で登園拒否をします。特に年少さんの場合は、「しばらくするとまた会える」という先の予測が立てにくく、パニックになって泣くケースが多く見られます。

分離不安で子供が泣いている場合は、毎日の幼稚園生活を繰り返すことで「お迎えの時間がくればまた会える」ということを自分の体験として理解できるようになっていきます。ゴールデンウィークごろに落ち着き、多くの子供がこれまでの登園拒否が嘘のように、元気に登園できるようになります。

園生活への苦手意識

年少さんに限らず、年中さんや年長さんにも見られるのが、園生活で苦手なことがあるため、幼稚園に行きたくないと泣くというもの。お外遊びをしたくない子供や、プールが苦手、給食が食べられないなどの不安を抱えていることが、これに当てはまります。

大人が聞くと「なんだそんな小さなこと」という内容でも、家庭と幼稚園が世界のすべてである子供にとって、不安要素があるというのはとても大きな問題です。子供とじっくり話し合い、苦手をどのように克服していくか、どんな対策がたてられるのかを考えてあげることで、幼稚園に行きたくないと泣くことが減っていくでしょう。

友達関係のトラブル

年中さんや年長さんに多いのが、友達関係でトラブルを抱えることで幼稚園に行きたくなくなるというケース。年中さんや年長さんになると、一人で遊ぶことよりも友達と関わって遊ぶことが増えてきます。そのため、年少さんのときにはあまり見られなかった友達が原因となる登園拒否が見られるようになります。

友達同士のトラブルは、ある程度は大人が介入せずに、子ども同士で解決したり、乗り越えたりすることが必要です。しかし、トラブルが続く場合や、子供が深刻に悩みを抱えている場合は、幼稚園の先生とも話し合い、何かしらの対策を取ることをおすすめします。

分離不安なときこそアタッチメントの強化が必要

アタッチメントを築く母子

前述したように、幼稚園に行きたくないと泣く理由の大半が、分離不安によるものです。子供が分離不安で登園拒否をしているときは、アタッチメントの強化をすることで、子供に安心感を与えることができます。

アタッチメントとは

アタッチメントとは、発達心理学の専門用語で、くっついたり抱きしめられたり、人から無条件に愛されることで、絆が形成され、本人の自信に繋がるというものです。乳幼児期に母親から無条件の愛を受け取ることで形成されるという考えがよくありますが、最近では、アタッチメントは、そのときの自分を丸ごと愛してくれる人に出会って共感してもらうことで、何歳でも強化できるという考え方が主流になりつつあります。

アタッチメントは日々変化する

アタッチメントには上限やこれで完全というものがなく、その時々によって状態が変わります。個々の子供によって求めるアタッチメントの大きさが異なるだけでなく、同じ子供でも、大きなアタッチメントを必要としているときもあれば、少しのアタッチメントで乗り切れることもあります。

分離不安により子供が幼稚園に行きたくないと泣く場合は、アタッチメントを強化することで、離れていても自分が愛されているという安心感を得られるようになり、泣かなくなります。

幼稚園に行きたくないと泣く子供への対処法

幼稚園に行きたくない

アタッチメントの強化で、子供に安心感を与えるという考え方のもと、幼稚園に行きたくないと泣く子供には、どのように対処していけば良いのでしょうか。分離不安により、幼稚園に行きたくないと泣く子供への対処法を紹介します。

お守りを渡す

分離不安の子供には、いつでも絆を感じられるものをそばにおいてあげることで、安心感を与えることができます。たとえば、「ママの代わりに○○ちゃんのそばにいてもらうね」といって、マスコット人形をお守りとして幼稚園の制服のポケットに忍ばせたり、キーホルダーをカバンに付けてあげたりするのがおすすめ。

子供はマスコットをみるたびに、自分が愛されていることを実感し、不安を乗り越えられる力を自分の力で引き出せるようになります。

お弁当にメッセージを付ける

お弁当を持参する幼稚園の場合は、お弁当箱にメセージカードを貼りつけておくのもおすすめです。ひらがなが読めない子供の場合、にっこりマークのイラストや子供が好きなキャラクターの絵を描いてあげるのも良いでしょう。毎日イラストを変えてあげると、幼稚園に行く楽しみが増え、登園拒否が減るきっかけにもなります。

持ち物に内緒のマークを付ける

子供は内緒や秘密が大好きです。例えば、幼稚園で使うコップや歯ブラシ、ティッシュケースなどに、「元気が出る内緒のマーク」を付けてあげるのもひとつの手です。ママと自分しか理由を知らないという内緒、秘密のマークに子供は、ママとの繋がりを感じて見る度に元気がでます。

アタッチメントを幼稚園の先生に引き継いで

アタッチメント

アタッチメントは、身近な人との繋がりで形成されるものですが、それは1人の人に限定されて形成されるものではありません。例えば、ワーキングママの場合、日中保育をしてくれる祖父母と子供の間でアタッチメントが形成されるのも、ごく一般的な話です。アタッチメントが家族だけでなく、幼稚園の先生に引き継がれるようになると、幼稚園で過ごす時間も安心できるものへと変わり、子供が幼稚園に行きたくないと泣くことがなくなるでしょう。

バトンタッチのきっかけ作りを

幼稚園の先生とのアタッチメントが強化されにくい子供の場合は、バトンタッチのきっかけを、目に見える形で作ってあげるのもひとつの手です。

例えば、幼稚園に行く前日に、ママと一緒に幼稚園の先生に渡すお手紙やおえかきをしたり、手作りの折り紙プレゼントを作ったりするのは、すぐにできておすすめです。家庭で育てているお花を教室に飾る切り花として持って行ったり、登園途中で幼稚園の先生にプレゼントするお花を摘んだり、どんぐりを拾うのも良いでしょう。バトンタッチを形として表すことで、子供の気持ちの切り替えをサポートできます。

まとめ

子供が幼稚園に行きたくないと泣く理由の多くは、これまでずっと一緒に過ごしてきた家族と離れて時間を過ごすことに不安を感じるという分離不安によるものです。分離不安は、アタッチメントを強化することで、離れていても愛情を感じられるようになり、家族と離れて過ごすときも、自信をもっていられるようになります。子供を抱きしめたり触れ合ったりする時間を増やしてアタッチメントを強化し、楽しく登園できるサポートをしてあげてくださいね。

【参照サイト】

(一社)日本アタッチメント育児協会「なぜ、子育てに「アタッチメント」が必要なのでしょうか」

焼津市乳幼児教育推進会議「第7回 保育とアタッチメント ~集団保育の中で育つ人間として生きる土台~

相愛大学人間発達学研究「アタッチメント(愛着)理論から考える保育所保育のあり方」

江刺保育園「アタッチメントについて」

AllAbout「幼稚園の登園時に泣く子供への心理学的対処法」

ABOUT US
【監修】 公認心理師YUKA久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。