みなさんは育児放棄・ネグレクトとは何かをご存じですか?育児放棄は親から子供に起こる虐待のひとつ。ニュースやメディアでも取り上げられるため、知っているママは多いでしょう。
では、育児放棄は自分にとって無縁の存在だと思いますか?ママの中には
「子育てに疲れて、放置したい」
「もう育児したくない」
と育児放棄しそうになる心情になったり、これはもしかすると育児放棄かもと不安になったりしたことがあるかもしれません。
そこで今回は、育児放棄する母親の特徴と、「もしかして育児放棄?」と不安に感じるママが気を付けたいことをご紹介します。
育児放棄とは?
そもそも育児放棄とはどのような虐待を指すのでしょうか。まずは育児放棄とは何かを解説します。
ネグレクトとは?
育児放棄は英語でいうと「neglect(ネグレクト)」。メディアではネグレクトと呼ばれることもあります。これは訳すと
- 無視する、怠る、疎かにする
となり、言葉通り子供が必要な育児ケアや生活のサポートを放棄する虐待の一つです。
例えば、
- 子供に食事を与えない、不潔な状態のまま放置している
- 話しかけを無視する、会話を拒む
- 自動車など乗り物に置き去りにする
- 家に閉じ込める、反対に家に入れず戸外に追い出す
などが育児放棄です。
育児放棄は子供に害悪を加えるのではなく、子供に必要なものを与えないこと。発覚時には発育が不十分だったり学習能力や言語力など発達の遅れが見られたり、栄養失調や脱水症状に陥ることが多いです。最悪の場合子供の命をも奪ってしまう、あってはならない虐待行為です。
育児放棄は発覚しにくい
育児放棄を含める児童虐待の件数は年々増えています。これは児童虐待防止法によって、虐待が周囲で起きているかに注意を配るのは「国民の義務」と決められている背景も影響しています。
しかし、平成30年の児童相談所へ報告された虐待の件数を見てみましょう。
最も多いのは心理的虐待で、次に身体的虐待と続きます。育児放棄はなぜ上位二つに比べて報告件数が少ないのでしょうか。
例えば身体的虐待と違って、育児放棄は外傷が出るわけではありません。極端に痩せたり不潔な状態であれば周囲も気付けますが、育児放棄の特徴上「家に子供を閉じ込める」など周囲の目にさらさないこともあり、発覚が遅れてしまうケースも目立つのです。
心理的虐待は子供自身もSOSが出しやすく、「助けて」と相談もしやすいかもしれません。育児放棄では、親は「しつけの延長線上」だと思っており子供は「自分のせい」と思い込んでいて虐待に気付かないこともあります。また、先ほどお伝えしたように周囲から隠されているとどんな虐待も判明しづらいです。
このように周囲が気付きにくく、当事者である親子も虐待の自覚がない場合がある育児放棄は、ママにとって「だからこそ気を付けなければならない」と言えます。
育児放棄する母親の特徴
育児放棄をする母親を見てみると、特徴がいくつかあります。自分に当てはまるようなら解決策を見つけ、子供と自分の安全を確保してください。
情緒が不安定で感情のコントロールができない
気持ちが落ち着かず、情緒が不安定なママは自分で感情のコントロールができません。普段から気持ちの落ち込みが強いと思う方は、自身の心のケアに集中するのもひとつの対策法です。
気を付けたいのは産後すぐの情緒不安定な状態や、育児に対して強い不安を抱いているとき。これも、虐待につながる可能性の高い状態です。産後はママが気持ちをコントロールするのは難しいので、周囲のサポートをいつも以上に頼るようにしましょう。
自分自身もネグレクトされて育ってきた
ネグレクトを受けて育ってきた母親は、同じように子供にもネグレクトしやすいです。
- 正しい育児の仕方が分からない
- 子供は支配するもの、できるものだと思っている
- 子供とどう向き合えばいいのか知らない
などが理由として挙げられます。
虐待した側が悪いのは当然ですが、その加害者の育った環境にも問題はあるのです。しかし、ひとつ言えるのは「ネグレクトされたからといって必ずネグレクトを繰り返す」のではありません。虐待は連鎖するものですが、これを断ち切ることは可能です。
理想が高く完璧主義
子育てに対して理想が高く、「完璧な子供に育てなきゃ」と意気込みすぎるママは要注意です。最近ではSNSが広まっており、そこには理想的な子育てをさも簡単にこなしているように見える方も大勢いて、周囲と比べて「私はなんてダメなママなの」と自分を責める方も多いです。
すると、周囲から子供を隠そうとしたり、周りの子育てと自分の子育てが違い過ぎて辛くなり子供を無視したりと、育児放棄が生まれやすくなります。
子育てに正解はありません。周りと違ったとしても、ママは我が子なりの成長ペースをしっかり見守ることが重要です。
良好な夫婦関係が築けていない、一人親家庭である
別居中や仮面夫婦で良好な夫婦関係が築けていなかったり、シングル家庭だったりすると虐待の可能性は高くなると言われています。
なぜなら、夫婦関係の悪さを子供のせいにして、育児放棄が起こるかもしれません。シングル家庭ではどうしても育児の負担は一人の親に大きくかかってしまい、子供を育てきれないことも。また、依存心が強いと子供より夫・恋人を優先し、育児放棄につながるケースも多いです。
どんな状況でも言えるのは、育児放棄以外の虐待が起こることも考えられ「子育てできる環境」が整っていません。
「もしかして育児放棄かも?」不安に思うママが気をつけたいこと
上記の特徴にも心当たりがあり、「いつか自分が育児放棄してしまうかも」と不安に感じる方もいるでしょう。ママの中には育児が辛くて子供に手を上げた経験がある方も多く、虐待は意外と身近な問題だったりします。
では、こうした不安を感じるママができることを考えてみましょう。3つのポイントにまとめました。一つずつチェックしていきます。
「こうあるべき」と周囲の育児と自分の状況を比べない
育児書を読めば「6か月から離乳食を始めて、1歳までに完了させましょう」と書いてあります。ネットで調べると「9か月ごろからハイハイを始めます」と成長の目安を知ることができますよね。
今、私たちは情報社会の中を生きていて、育児に対して「こうあるべき」という意見は簡単に見つけることができます。しかし、育児のペースややり方は子供の数だけ存在し、誰一人「基準通りに育つ」ことはありません。基本通りに育てようとすると、我が子との成長速度の差が気になって疲れたり、「私の育て方が悪いんだ」と責任を強く感じてしまいます。
まずは周囲の育児と自分の状況を比べないようにしましょう。子供が「うまく育っていない」と感じるかもしれませんが、ひとつも成長しない子はいません。ママの目線で見るとたくさんの成長過程を感じられるのではないでしょうか。
一つ一つの成長したポイントは、すべてママが育児したからこそです。子供の成長を感じ取り、一緒に喜びを分かち合いましょう。
時間がある時だけでOK、子供との時間を積極的に持つ
次に我が子に愛情を持つ方法です。子供を愛すると虐待が起こらないのは当然ですが、いつ、いかなるときも子供のことを考えて過ごすのは、現代では不可能に近いです。
ママが疲れている日はもちろんあります。気分・体調が優れないときも、これまでの育児に疲れて「もういやだ」と弱音を吐きたいときもあるでしょう。それでも気持ちを殺して子供と向き合い続けると、いつか限界が訪れます。
子供と向き合うのは、時間があるときだけでOKです。忙しい朝や夕方を除いて「昼間の数時間は子供と過ごせるから、一緒に思い切り遊ぼう」と決めてみてはいかがでしょうか。働いているママなら、お休みの日だけで良いのです。
ママの負担にならない程度で、子供との時間を見つけて作ってみましょう。
いざとなった時の相談場所を確認しておく
もし必要なくても「虐待しそうになる!」いざという時のために、相談場所を知っておくだけでも気持ちは軽くなります。子育ての壁にぶつかったら、パパにまず相談すると決めておくのもおすすめです。他にも、
- 児童相談所
- 保健センター
- 地域の子育て相談窓口
- 児童館
- 産院 など
では育児の相談ができます。このとき「育児がうまくいかず、子供がかわいそうだから」と助けを求めるのではなく、「私が辛いから助けて欲しい」と自分を主語にして相談しましょう。求めてもいない育児アドバイスや「ママがしっかりしなきゃ」などママを責めるような意見を避け、正しくSOSを出せます。
まとめ
育児放棄する母親の特徴をまとめましたが、意外と当てはまることのあるママも多いかもしれません。そもそも、育児は母親一人がこなせるものではなく、育児放棄を防ぐにはママの精神が安定しており十分な養育環境が整っていなくてはなりません。
不安に感じる方は、できる限りで環境を整えましょう。いざという時の連絡先を事前に知っておく、限界が来る前に相談するといった対策法を身につけておくのが大切です。
【参考】
ネグレクトの定義とは?子どもに与える影響と支援する方法をご紹介 逆境にある若者を応援するビヨンドトゥモロー