下の子が上の子を叩く!子供の乱暴を収める方法とは?

きょうだい育児は何かと悩みがつきもの。その中でもきょうだい同士の関係性に不安や悩みを抱えるママは少なくありません。特に下の子が上の子を叩く行為は、「止めるべきなのかな?」「どう対応すればいいんだろう」とママを悩ませます。

下の子が小さいうちは、上の子に「我慢しなさい」と言いがちですが、上の子への影響も気になりますよね。今回はうちの子、乱暴?と悩む方に向けて

  • 下の子が上の子を叩く原因
  • 子供の乱暴を防ぐときの対応法

などをご紹介します。
どう叱ってよいのか悩む場面の参考にしてみてください。

下の子が上の子を叩く原因は?

下の子が上の子を叩く

きょうだい仲良くして欲しいけれど、時にはケンカをするときもあります。年齢差がどの程度離れていても、きょうだい喧嘩で相手をときに叩いてしまうことも。下の子が上の子を叩く理由をまずは考えてみましょう。

感情を言葉で言い表せないから

下の子は上の子よりも幼いため、比べると上の子よりも言葉を自由に使えません。上の子に対して怒り理不尽さを覚えたり、主張したいときだったりに、感情が言葉にならず手が出るときがあります。

また、「上の子が怖い」「自分のおもちゃを取られそう」などと不安を覚えると、威嚇のように叩いてしまうこともあるでしょう。いずれもまだ言葉をうまく扱えない小さい子にはよく見られることで、決してその子が特別乱暴なわけではありません。

何か伝えたいことがあるから

こちらも先ほどと同じように、伝えたい気持ちを言葉にできないからです。ママや上の子に何かを伝えたいけれどうまくできず、大声を出したり叩いたりしてしまいます。

最終的に自分の気持ちを理解してもらえないと、わっと泣き出すことがほとんど。小さなうちはこのように言葉にはできないものですが、次第に状況を自分で声にすることができるようになります。

叩くことが「悪い」と理解できていない

例えば小さな子だったりまだ意思疎通のできない0~1歳だったりすると、叩くことが悪いと理解できていません。上の子が声を出したり動いたりする様子を面白がって、叩くケースもあるでしょう。

ただ、このとき大人にとっては下の子が「悪気がない」ことは分かりますよね。けれども上の子もまだ幼いと“赤ちゃんだから悪いことが分からない”これ自体が理解できていない場合があります。

さらに下の子に「叩いちゃダメよ」と言っても聞き入れてもらえません。この場合、どうしても上の子に我慢させることとなってしまい、ママも悩むことが多いでしょう。

下の子が上の子を叩くのを防ぎたいとき

下の子が上の子を叩くのを防ぎたいママ

では、下の子が上の子を叩くのを防ぎたいときはどうすればよいのでしょうか。ここからは対応をチェックしていきます。

叩く前に阻止する

下の子が上の子を叩いてしまうシチュエーションがある程度想像できる場合には、なるべくママが近くにいて、下のことが上の子を叩く前に、ママが下の子の手を握ったり、他のオモチャで気持ちを紛らわしたり、「叩かない時間」を作るようにしましょう。

下の子の月齢にもよりますが、意思疎通が出来るようになっていれば、子どもがわかる伝え方で「叩かないでお兄ちゃん(お姉ちゃん)と仲良く遊べたね」などと、叩かないで過ごせた時間を褒めてあげることも大切です。

子どもは同じ行動を何度も繰り返すことによって、その行動を習得します。なので、上の子を叩くことを続けるのではなく、叩かない関わり方を学ぶことで、叩くことが減っていくのです。

家事に育児に忙しいママにとって、四六時中下の子が上の子を叩くのを阻止することは無理ですが、10分でも30分でも、ママがしっかり子ども達と向き合える時間には、「下の子が叩かない時間」を作ることで、より効果的に下の子が上の子を叩くことを減らしていくことが出来ますよ。

根気強く「叩かないで」と教える

下の子が意思疎通できるのなら、「叩かないで」と根気強く教えるべきです。また、たとえ下の子が赤ちゃんで悪気なく叩いている場合でも、下の子に対して「叩いたらダメだよ」と教えてあげましょう。今は理解していなくても、この声かけを上の子が見て「自分が困っていることをママは分かってくれた」と感じる場合があります。

ただ叩かないでと教えるだけなので、誰でもできると思いますよね。ですが、叩いたことで下の子をひどく叱ったり、性格自体を否定したりするべきではありません。この加減は難しく、注意する親自身も根気が試されるでしょう。

一度注意したとしても繰り返すことはよくあります。その際も、根気強く繰り返し叩かないでと教えましょう。

下の子の気持ちに共感する

叩かれた方の上の子の気持ちに寄り添うことに注力しがちですが、叩くにも理由が必ずあります。なぜ叩いたのか、その理由を下の子に聞いて気持ちに共感しましょう。

例えば「おもちゃを取られた」「うるさかった」など理由を聞いたら、この時点でその気持ちを無視して「叩くのはダメ!」と強く怒るのはNG。下の子が「何を言っても聞き入れてもらえない」とあきらめてしまいます。

大切なのは「〇〇がいやだったんだよね」と声に出して気持ちを代弁し、共感しましょう。その上で、「その気持ちはよく分かるけれど、叩くのはよいやり方ではない」と教えてみるのはいかがでしょうか。上の子のケアももちろん大切ですが、同時に下の子への対応も十分に行ってみてください。

まだ小さいなら上の子へのケアを優先する

下の子が小さく言い聞かせても分からない場合は、いくら叩くのはいけないことと教えても伝わりません。下の子が赤ちゃんであり、悪気がないのならなおさらですよね。その場合は下の子への対応ではなく、叩かれた上の子のケアを優先させましょう。

上の子の気持ちにも共感してあげ、かといって下の子を完全に悪者にしてはいけません。「なんで叩かれたのかな?」と一緒に考えてあげると、上の子も叩かれた理由やどうしてトラブルが起きたのかを理解しやすくなります。

上の子が下の子を叩いた理由を考えることで、上の子は「他の人の気持ちを理解する」練習にもなります。思いやり共感力を育むもととなる力です。そして、叩かれた理由を上の子なりに推測出来たら、さらに「どうしたら叩かれないかな?」という【対策】を考えることが出来るでしょう。

これらのプロセスは、上の子の非認知能力を育む上でもとても大切な要素ですので、上の子の年齢に合わせて、取り組んでいけるといいですね。

下の子が上の子を叩く…ほかの子にも暴力的になる?

下の子上の子関係なく、叩いたり引っかいたりといった乱暴な行動を取ったら「ほかの子にもしないかな?」と心配になることもありますよね。ただ、家庭内で乱暴にふるまっているからといって必ずしも外でも暴力的な子になるわけではありません。

しかし、繰り返される行動はその子の「癖」となり、家の中でも外でも同じように表れることもしばしばあります。ほかの子も叩くことのないよう、親として対応を心がけていきたいですね。

家の外・中関係なく暴力には毅然とした態度を

叩く行為を禁止するときに、「きょうだい喧嘩だから」と放っておくパパママは多いです。しかし、ほかの子に叩くとなると話は別。きつく叱る方がほとんどですよね。

実はこの大人の対応は、ダブルスタンダード(二重規律)になっている可能性があります。同じ行動に対して、こっちの時はいいけれど、あっちの時はダメ、というのは子供にとってわかりにくく、混乱してしまいます。「叩くのはダメ」というルールを決めたのであれば、相手がきょうだいでなくてもお友達でも、平等に「叩いてはいけない」というルールに一貫性を持たせましょう。

小さい子どもは大人のように状況や相手によって行動を変えるということは出来ません。子供が混乱しないためにも、家の中でも家庭外でも、同じように「叩くのはいけないこと」と教えてあげたいですね。

乱暴な行動ではなく、ほかの手段で思いを伝えられること、その伝え方を親として繰り返し教えてあげるとよいでしょう。

子供を安心させる声かけをする

下の子が上の子を叩く理由のひとつに、「うまく言葉にできないから」を挙げました。このうまく言葉にできないものをママやパパ、大人が代弁してあげて安心させましょう。叩く事態になる前に防げることもあるかもしれません。

例えば上の子のおもちゃを取ろうとしていたら「これはお兄ちゃん、お姉ちゃんのだよ」と事前に教えてあげたり、「そんなに叩かなくても大丈夫だよ」と安心させてあげたりすると効果的です。

繰り返しになりますが、叩く以外に感情を表す方法はいくらでもあります。叩くのはダメと教えるのと同時に、「では叩く以外でどうすればよかったのか」をセットで言い聞かせすると、自然と自分の感情を伝える手段を身に着けるでしょう。

まとめ

下の子が上の子を叩くシーン、どう注意してよいのか分からず悩むママは多いでしょう。とはいえ、叩くのをそのまま見過ごすわけにはいきません。

きょうだい喧嘩はどちらの気持ちも尊重したうえで、うまく収める必要があります。上の子を叩くのが続くようなら、下の子がなぜ叩くのかをしっかりと理由を考え、大人が気持ちを分かってあげましょう。

ほかの子への影響も気になるかと思いますが、家庭内と家庭外で態度は変えてはいけません。下の子が上の子を叩くのはその子が乱暴な性格ではなく、何か言いたいことがあるはずです。いずれは乱暴な態度ではなく言葉を使って自己表現できるようになるので、それまで大人がサポートしてあげられるとよいですね。

【参考】

NHK すくすく子育て情報 うちの子 乱暴?

足立区「気になる子のQ&A『子育てと保育』

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。