一人目の赤ちゃんの授乳期間を除いた月経再開後、2年程度夫婦生活を重ねても妊娠に至らないことを「二人目不妊」と言います。一人目をスムーズに妊娠・出産したにもかかわらず、二人目がなかなか妊娠に至らないケースは珍しくありません。二人目不妊はなぜ起こるのでしょうか?二人目不妊の原因や乗り越えるためのポイント、二人目不妊の病院の選び方を紹介します。
二人目の不妊の原因は?
一人目の赤ちゃんをスムーズに妊娠・出産できたのに、どうして二人目が妊娠できないのだろうと疑問に思う方も少なくありません。二人目不妊でよくある原因をチェックしてみましょう。
加齢による卵子や精子の変化
二人目不妊の多くは、加齢による卵子や精子の質が低下することが原因です。
二人目の妊娠は、一人目のときよりも必然的に、パパやママの年齢が高くなります。卵子は、女性が生まれたときにすでに、その素となるものが体の中に存在しているのをご存じでしょうか?容姿がどんなに若く見えても、女性が年齢を重ねるのと同じく、卵子も老化していきます。老化は卵子の質を低下させ、妊娠しにくくなることが分かっています。
男性にも同じことが言えます。精子は、男性が生まれたときから体の中にあるものではなく、常に新しいものが作られますが、年齢を重ねると作られる精子の量が少なくなったり、精子の動きが鈍ったりします。加齢により、作られる精子の質が低下することは、妊娠率を下げる原因のひとつになります。
多忙により夫婦生活の回数が減る
二人目不妊では、単純に夫婦生活の回数の減少が原因になっていることも多いものです。夫婦生活の時間を持ちたいと思っても、一人目の育児に追われていると、まとまった時間を確保するのは至難の業ですよね。
夫婦の時間よりも、疲れているので少しでも眠りたいと感じることも。最近では、一人目を出産したあとすぐに社会復帰する女性も多く、疲れの蓄積により、心身ともに夫婦生活を迎える余裕がないというケースもあります。
一人目の出産によって体の不調が出る
一人目の出産のあと、産後太りを解消するのに急激なダイエットをした方や、出産前よりも急激に太った方は要注意。自律神経が乱れてホルモンバランスが崩れると妊娠しづらくなってしまいます。
出産後に子宮内膜症や子宮筋腫になるなど、体の機能に何らかの支障をきたす場合も、二人目不妊になりがちです。
一人目の帝王切開出産の影響
一人目の出産が帝王切開だった方は、その影響を受けて二人目不妊になっていることがあります。帝王切開術後瘢痕(はんこん)症候群といって、帝王切開の際にできた傷が完全に治りきらず出血し、子宮内に溜まって妊娠できにくい体になるというものです。帝王切開術後瘢痕症候群の場合は、症状によって手術や人工授精などで妊娠を促します。
二人目不妊の原因で見落としがちな心の問題
二人目不妊の不妊治療を行なう際に見落とされがちなのが、不妊の原因に心の問題が関わっているという点です。不妊治療は、体の治療と同時に心のケアも行なうことがとても大切です。不安やストレスが大きいと自律神経を乱してしまい、ホルモンバランスが崩れてしまうことも。二人目不妊で抱えやすい心の問題を紹介します。
社会復帰したばかりで産休・育休が取れるか不安
二人目が欲しいけれど、二人目を妊娠しても大丈夫?という不安は、働きながら育児をする人が抱えがちな悩みです。
産休や育休を取得して一人目の妊娠&出産を迎えた場合、二人目の赤ちゃんを迎えたいけれど社会復帰したばかりで、再度産休や育休を再度申請したら、会社にどんな風に思われてしまうだろうかと悩んでいる間に時間が過ぎていくということも。
上の子育児での悩みが多い
二人目不妊の方ならではの悩みが、一人目の子どもの育児についての悩みです。初めての育児では、「これで合っているのだろうか?」「子どもの成長が育児本とは異なる気がする」「周りのような素敵なママになれない」「自分の時間がなくて辛い」など、さまざまな悩みを抱えてしまいがちです。
一人目の育児で悩みが多いと育児について自信が持てず、大きなストレスを抱えてしまったり、夫婦生活を持つことに前向きになれなかったりする場合もあります。
二人目不妊を相談できる人がいない
二人目不妊に悩む方のなかには、二人目不妊に悩んでいることを隠している方もいます。不妊について話す相手がいないと不安やストレスばかりが募り、ホルモンバランスをさらに乱すことにつながってしまいます。
不妊治療をしている人に相談しても、「一人目の子どもがいるのだから、二人目不妊はぜいたくな悩み」だと言われたというのはよくある話です。しかし、実際には赤ちゃんが欲しいのに妊娠しないという悩みに違いはありません。不妊治療は悩みが多い治療です。治療や体について相談できる相手を作ることは、心身の支えにとても重要です。
仕事で責任を負う立場になりストレスが増加
二人目不妊についての直接的な悩みやストレスでないものも、ホルモンバランスや精子の状態に関わってきます。男女とも年齢が高くなると、職場で責任のある立場に立たされることも多く、仕事でのストレスが負担になっていることも少なくありません。
二人目不妊を乗り越えるためのポイント
二人目不妊を乗り越えるためには、不妊治療をすること以外にもいくつかのポイントがあります。二人目不妊を乗り越えるポイントを紹介します。
すぐにできる生活の改善から
不妊治療は自身の生活の見直しからスタートします。タバコやアルコールなど、体の負担になることはやめ、運動習慣や食事内容など、すぐにできる生活の改善からスタートしてみましょう。生活習慣の見直しは、不妊治療以外でも自身の健康的な体作りのためにも役立ちますよ。
家族の協力が必要
二人目不妊の不妊治療は、家族の協力が不可欠です。治療で通院する際に、上の子どものお世話を頼んだり、今後の治療のために夫婦で取り組んだりすることも増えてきます。治療をスタートする際には、しっかり話し合う時間を持つことをおすすめします。上の子どものお世話を頼める身内が身近にいない場合は、預かり保育や公的なサポートなどを調べておくと安心です。
カウンセリングを上手に活用
悩みの多い二人目不妊の治療では、心のケアを充実させ、体の状態を整えることも重要なポイントです。カウンセリングや悩み相談などを上手に活用して心の負担を軽くし、ホルモンバランスの乱れを整えることをおすすめします。体の悩みや心のうちは、友達や家族には話しづらいことも多くあります。第三者であるプロのカウンセラーであれば、安心して相談できるケースも少なくありません。安心して悩みやストレスを打ち明けられるカウンセリングを探してみましょう。
二人目不妊に合う病院選びを
二人目不妊は病院選びの際に一般的な不妊治療の病院の選び方とは、少し異なるチェックポイントがあります。病院が合わないと、通院の度にストレスを抱えてしまうことにもなりかねません。二人目不妊を乗り越えるためにも、入念な下調べで自分に合う病院を探しましょう。
二人目不妊の合う病院選び4つのポイント
不妊治療専門の病院でも、子ども連れでの受診は断られることが珍しくありません。二人目不妊を治療する病院は、どのようなポイントで選べば良いのでしょうか。
専門外来や専門フロアのある病院
ベストは二人目不妊外来や二人目不妊専用フロアがある病院です。二人目不妊を専門に扱っているため、子ども連れでも患者さん同士、嫌な気持ちになることもありません。同じ悩みを抱える人同士が集まるため、悩みが共有できる雰囲気があるのも魅力です。
ファミリールームがある
二人目不妊の不妊治療を行っている病院のなかには、パパやママと上の子どもが一緒に過ごせる専用のファミリールーム(待合室)を用意しているところがあります。子どもが不安がることもなく、子どもを預ける費用もかからないため、治療費のかさむ不妊治療中はとても嬉しいサービスです。
併設の託児所で子どもを預かってくれる
一般的な不妊治療と子ども連れで受診する二人目不妊の患者さんが一緒になったときに、お互いが気を使い合うことがないよう、病院が託児所を併設していることも多いものです。専門フロアやファミリールームを備えた病院が近くにない場合は、託児所付きや、病院近くに託児施設がある病院を選ぶのもひとつの手です。病院併設や病院近くで託児できれば、上の子どもも待つ時間が少なく済みます。
子ども連れOKか要確認
病院によっては、一般の妊婦健診や不妊治療、二人目不妊を分け隔てなく受け入れているところもあります。子どもを連れて受診しても良いかどうかは、病院によってさまざまに異なります。受診前には病院に子ども連れで受診できるか確認しておくことをお勧めします。
まとめ~二人目不妊は心と体をケアしながらすすめよう~
一般的な不妊治療とは状態も悩みも異なることが多い二人目不妊。二人目不妊の原因は夫婦によってさまざまに異なりますが、スムーズに不妊治療を進めるためにも、体の治療だけでなく、心のケアも充実させることがポイントです。悩みの多い二人目不妊だからこそ、カウンセリングを上手に活用して、内側から体の状態を整えていくことをおすすめします。
【参考サイト】
医療法人明日香会 Aska ladies clinic「帝王切開後の不妊」