ママ達にとって、こんなことはないでしょうか。
「平日は幼稚園、学校に子どもは通って、終わったら習い事。休日は屋外活動と家族でお出かけに行きまた平日に」パンパンに詰まったスケジュール、大人も子どもも疲れますが「子どものためだから!」と頑張りすぎていませんか?
さまざまな育児法やノウハウが見つかる現代ですが、今回はなんと「何もしない」ことの大切さを解説します。なぜ何もしないことが良いのか、子どもの休息についてじっくり考えてみましょう。
本記事は心理学者ウィリアム・スティクスラッドと教育者ネッド・ジョンソン著『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』を参考にしています。
- 子どものためにあれこれしたくなるママ
- 最近「何もしない日」がないママ
- 休息とは何をしたらよいか分からない方
- 「休息」の適した取り方
- 休息がもたらすメリット
- ママ自身が止めてしまう子どもにとって大切な休息を解説
詰め込みすぎてしまう現代の子どもとの生活

現代を生きる子どもは、「時間がない」と言われていますよね。特に子どもが小学校に上がったママ、宿題や課題、習い事やお友達との遊びで毎日のスケジュールが詰まっていないでしょうか。
まずは今の子どもの現状を振り返ってみましょう。
気づけば1週間の予定がぎっしり
1週間の予定を見返してみたことはありますか?
平日は学校もしくは幼稚園に。これが終わったらお友達と遊ぶ、習い事への送迎をして帰ったら急いで宿題をこなす。夜に自由な時間もなく明日の準備をして、また学校へ。土日がやってきたら家族で出かけて屋外活動もして、思えば「何にもしない日」なんてないかも…。
過密スケジュールをこなすのは、ママとしては「子どものため」かもしれません。しかし、子どもに少し目を向けてみると本当にそのお出かけは子どものためになっているでしょうか。
毎日を過ごすことが精いっぱいで、1度も休息できる時間がない…。そんな家庭も今では珍しくありません。
子どもに必要な「休息」とは?
子どもにとって必要な「休息」とは、何もしないぼーっとした空想の時間です。
決して家でくつろぎ動画やテレビを見る時間でもなく、宿題をせずにゲームで遊ぶ時間でもありません。この休息は身体的な癒しをもたらすだけでなく、特に常に動き続けている「脳」に対して大きなメリットがあるといいます。
意図的に何もしない時間は大切
意図的に何もしない時間がどういうメリットを持つのかというと、
- 脳が休息することで新しい情報とこれまでに身につけた情報を整理できる
- 脳が健康になり、活発な状態に戻りやすくなる
- 脳にあるたくさんの機能がアクティブになる
など、働かせる頭や脳内が休憩によってかえって活発化します。
子どもに対して「頭を働かせて!」と思うがゆえに、つい「ずっと稼働させてしまう」のが現代の育児の悩ましいポイントです。また、子どもだけでなくママ自身も常に休息なしで走り続けているかもしれません。
ついママが止めてしまう子どもの休息

この記事では「子どもの休息」について注目しますが、実はママが働きかけなくても子どもは上手に休息を取っています。しかし、その子どもの脳が回復する時間を知らず知らずのうちに大人が止めてしまうことも…。
ここでは、子どもの休息の取り方とついママが止めてしまう行動を解説します。
空想、妄想を楽しむ時間
子どもは空想が大好き。妄想も楽しい遊びの一環になり、特に「ごっこ遊び」は子どもの脳の発達を促す良い習慣ともいわれています。
この空想を思い切り楽しむ時間、ママが「子どものために」と思ってスケジュールを詰めてしまい、そのひとときを奪っていませんか?また、「この習い事をしなさい」「この遊びをしなさい」と多数の体験を並べてしまい、子どもが自由に考えたり選んだりする余地がないかもしれません。
空想や妄想は子どもにとって遊びであり自分を守ることです。震災などで強いストレスを受けた子は、空想の中で震災を再現し「地震ごっこ」として遊びに昇華して受け入れようとします。この遊びも「くだらないからやめなさい!」「そんな不謹慎なことしないの」と大人が止めてしまうと、子どもの脳が休まらないことがあります。
マインドフルネス
マインドフルネスとは瞑想ともいい、「呼吸などに集中し何も考えないひとときを過ごす」ことです。
このマインドフルネスはママにとっても効果的で、子どもと一緒に行うマインドフルネスもあります。こうした「自分自身と向き合う瞬間」も、次から次に子どもに課題を与えるとなかなかうまく時間が作れません。
子どものためを思うとついアクティブな遊び方やお出かけを提案してしまいますが、こうしたマインドフルネスの習慣もできれば身につけたいものです。
自分一人で何も考えない時間
最後は自分一人の何も考えない時間です。子どもの年齢にもよりますが、子どもが一人きりでぼうっとする時間はあるでしょうか?この「何もしない時間」が脳内を休息させ、次に働くときの準備ができます。
例えば車で移動中、子どもに動画やテレビを与えることも多いですよね。もちろん長時間の移動では必要なことかもしれませんが、ほんの数十分であれば「景色を楽しんでみない?」と声かけをしても良いのかもしれません。
休息はどんなメリットがある?

休息の大切さ、それらを知らず知らずのうちに奪ってしまうことをお伝えしましたが、実際に休息にはどんなメリットがあるのでしょうか?
ここでは休息が持つメリットを3つにまとめています。子育てを頑張ろうとして「なんだかうまくいかない…」と思うママこそ、ぜひ参考にしてくださいね。
脳を活発化させる
脳は様々な機能やネットワークを駆使して働きます。脳を働かせるには、勉強や遊びなど「何かをさせるトレーニング」ばかりに注目されがちですが、実は「アクティブ」「ノンアクティブ」のバランスで活発化します。
つまり、ずっと脳を働かせていても効果が薄れてしまうことに。ここに「休息」というノンアクティブ状態を作ることで、また脳が動きやすくなるのです。
具体的にいうと、休憩は
- 新しいアイデアが湧きやすくなる
- 心配ごとやネガティブな感情が気にならなくなる
- 次への挑戦や意欲が湧くようになる
という効果が期待できます。
孤独に耐えられるようになる
「一人でぼうっとする時間」がなぜ大切なのかというと、自分と向き合うことで孤独に耐えられるようになるからです。どうしても「家族やお友達と一緒にいることこそ大切」と考えてしまいがちですが、どんなシーンでも孤独になることは起こり得ます。
このとき、孤独に耐えられず誰かの意見を聞かないと意思決定ができない子は、コミュニティに依存し自分を見失ってしまうでしょう。“一人で”ぼうっとする時間に慣れている子は、例え孤独が起こっても「一人の時間はいずれ終わる」「適切な休息を持てたらさらに行動できる」とわかるために、孤独を恐れなくなるのです。
ママにとってもストレス解消になる
これまで子どもの休息を解説しましたが、以上で説明したことはすべてママにも当てはまります。
予定を詰めて忙しくすることを美徳とし、自分のことを見失っていないでしょうか?子どもが疲れて休息を求めているのに、気付けずどんどんスケジュールを過密化しているかもしれません。
こうした慌ただしさは子どものためになるどころか、ママ自身も「こういった育児であるべき」と首を絞める結果になるのです。1人でぼうっとする時間がなく孤独に耐えられなければ、SNSなどでつながりを求めて他人と比較するかもしれませんね。
ママが休息を持つメリットはもう一つあります。それは、「子どもに休息の大切さを見せられること」。ママが適切なお休みを持ち日々心に余裕があると、子どもも同じようにのびのびと過ごせるはずです。
まとめ
親子にとってかけがえのない「休息」。育児を頑張ろう、子どもにとって良いことをたくさん用意してあげよう、と頑張ってしまうママこそ休息を見逃しがちです。
たくさんの体験や勉強の機会を与えているのに、なんだか寂しくって効果が出ない…。そんなときは休息にも目を向けて、今一度自分自身と向き合う時間を親子で作ってみましょう。
【参考】
『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』 ネッド・ジョンソン、ウィリアム・スティクスラッド著