子どもには自分で選択し、自分で自由に表現できる子になって欲しい。多くのママがそう望みますが、こうした育て方が難しくなるタイミングがあります。
それは「しなくちゃならないこと」が一気に増える小学生の時期。これまで保育園や幼稚園でのびのびと遊んでいた子どもたちは、学習指導要領に従って適切な知識を学ぶようになります。
何となくママの中でも「小学生になると自律性を与えるのは難しい」「今さら自律性を育んでも遅い」と思ってしまいがちなもの。今回はそんな小学生のコントロール感を“家庭で”養うことを解説します。
- 小学生になってからの育児、教育に疑問を持つ方
- 家庭での過ごし方に難しさを感じる方
- 漠然と小学生のわが子に不安がある方
- 小学校での生活をしながら子どもに自律性を高めてもらう方法
- 小学校の子どもが家庭でできること
- 小学生の子どもを持つ親が知っておきたい心がけ
現状、学校でコントロール感を養うのは難しい

小学校を始めとする学校では、当ブログがお伝えしている「コントロール感」を養うのはとても難しいといえます。
これは「日本の教育システムがすべて悪い」というわけではありません。
まずは、現状の子どもたちが持つ課題についてチェックしていきましょう。
学習指導要領は「みんな」に適応するものだから
小学校などの学校では全国共通して「学習指導要領」に従った教育を行います。簡単にいうと学校のカリキュラムであり、基本はこのカリキュラムに従って授業を組み、学校ごとに特色をプラスするのが学校のシステムです。
この基本の学習指導要領はもちろん子どもにとって悪いものではありません。ただし、「どの子どもにも適応できる」ように作られており、一人ひとりに適したものではないのです。
子どもの自律性、コントロール感を高めるにはその子に合う方法があります。教え方や考え方はその子自身にカスタマイズしなくてはなりません。しかし、現状の小学生は「みんなに合わせる」必要があり、最適な環境が作りにくいのが実情といえます。
社会的に学校の教育システムは改善が難しい
「学校の教育システムがダメなのだから、小学校に改善を求めればいい!」と極論を持ち出しても、すぐに改善は難しいものです。よくネット上でも「小学校はわかっていない」「教員のレベルが問題だ」「地域によって差がある」などの意見が飛び交いますが、実際にこの意見をすべて受け入れるのは不可能です。
また、小学校では学区が決められています。家庭の経済状況や住んでいる地域によっては、この決められた学区以外の小学校は選択できないケースも多いです。
繰り返しますが小学校そのものが悪いわけではなく、現状をすぐに良い方向に変えるのは現実的でなく、難しいのが実情といえます。
「昔」と「今」では違うことも多い
「じゃあ、就学前に子どもにとって良い教育をし続ける意味はない。小学校ですべてが無駄になる」と落ち込む方もいるかもしれません。しかし、そう決めつけるのはまだ早いのです。
昔と今では、小学校の在り方も変わっています。生活の仕方が変わることにより、小学校ではよりよいシステムを次々に取り入れているのも事実です。
- 夏休みの宿題をゼロにし、子どもの自律性を育てる小学校
- 自由課題、子ども自身が選んで学ぶ課題を取り入れる小学校
- PTAなどの在り方を見直し、保護者の負担を軽減する小学校
これらの変化は小学校側が子どもの自律性、自主性、個人を尊重する配慮を適応したからこそ。少しずつですが「良い方向に変わっている」のもママとしては受け入れておきましょう。
学校でコントロール感を養うには「家庭」で補おう

小学校も先生も、現状できることを遂行しています。このシステムが悪いわけではなく、「学校が子どもにできることには限界がある」のが課題です。
ではどうやって学校生活の中でもコントロール感を養うのかというと、家庭での過ごし方で補えます。家庭でできる3つのことをチェックしてみましょう。
子どもに小学校のことを聞いてみよう
まずは小学校生活について、ママが関心を向けていることを子どもに話しましょう。なんの授業が楽しかったのか、先生との会話がどうだったのか、難しいことやわからなくて困っていることも会話の中で尋ねてみても構いません。
親は「小学校のことは自分でやりなさい」と無関心を見せると、小学校と子どもの橋渡しが難しくなります。
ちなみに子どもがなかなか小学校のできごとを話してくれない、忘れているようであれば「今日給食で何食べた?」と聞くと、そこから驚くほど情報を話してくれます。ぜひ、試してみてください。
家庭では休息を増やそう
家庭でできることとは、第一に子どもの休息です。当ブログでも「子どもの休息」「子どもの睡眠」を取り上げましたが、学力向上や精神の安定、何よりもコントロール感を養うためには休息が重要な要素になります。
小学校に通うだけで、子どもはぐったりと疲れているもの。家庭でも小学校と同じカリキュラムを与えるのではなく、「ここなら安心して休んでもいいんだよ」と安全基地になるのが理想的です。
教室の外で自律性を与えよう
小学校生活の中で自律性を育むのではなく、教室の外で、つまり家庭で自律性を与えましょう。家庭ではいくら子どもが選択に悩んでも、集団では難しい要求をしても叶えられる場合がほとんどです。
「わがままを聞く」のではありません。例えば「今日の昼食はどちらがいい?」「宿題をするのに、相談相手は必要?」など、子どもに選んでもらうだけ。ポイントは「ママも子どもも一方的な要求を叶える」のではなく「話し合って自律性を高める」ことです。
ママが考えたい4つのこと

小学校ではコントロール感を失いがち。そう心当たりのあるママも多いかもしれません。
最後に学校に通う子どもの親が知っておきたい4つのマインドセット(心がけ)を見ていきましょう。
子どもの教育の責任は「子ども自身」にある
小学校に対してママはあれこれ子どもにやってあげたくなりますが、極論をいうと小学校で学習するのはママではなく、また困難に立ち向かうのもママではなく子どもです。
少し突き放すような言い方になりますが、子どもの教育の責任は最終的に「子ども自身」であることを認識しておきましょう。
つまり、ママが「この教え方は違う」と思っても、子どもが問題だと認識しなければそれで良いのです。一方で「この教え方ではわからない」と子どもが問題を感じたら、「どうやったらママが助けられるか」を考えると良いでしょう。
教師は悪くない、教え方を知らないだけ
小学校の在り方や子どもへの教え方が、現実的に間に合っていないのは本音の部分です。このやり方を教師の責任にし、子どもにも「先生が悪いから」と話してしまいたくなりますよね。
しかし、そうではないのです。「教師はベストを尽くしている。けれども、あなたにぴったりの教え方を知らないだけ」であるのが本当のところでしょう。
子どもが小学校に不満を持ったとき、この事実はきちんと大人として認め、その上で「じゃあどうやったら小学校が良りよくなるのか」を話し合うと建設的です。
学習意欲が沸くかを子ども自身に確認させる
「この教え方が悪いのでは?」「お友達に悪い影響をもらっているのでは?」と憶測で小学校生活を心配するよりも、子どもに対して「勉強をする気になる?」と聞いてみましょう。
もしする気になれない、意欲が湧かないのであればどうすれば意欲的な姿勢になるかを考えます。
わからない部分を復習してわかるようにする、漫画やゲームなど遊びの要素を学習に取り入れて勉強に対する苦手意識を克服する、疲れて集中できなければ思い切り休ませるなど、取れる手段がわかるようになります。
学べる準備が整ってから学習に取り組ませる
小学校ではみんなが揃って学習を進めるために、遅れた子へのリカバリーは不十分です。それなのに先取りして「次へ次へ」と勉強を進めても、子どもにとってはストレスになるだけでしょう。
まずは学べる準備が整ってから学習に取り組むべきです。成績を上げるために学習塾に通わせるのではなく、去年使っていた教科書を眺めるだけでもその子にとっては効果的かもしれません。
まとめ
小学校に通う子を持つママの中には、少なからず「小学校での生活が子どもに対して不安」と思うかもしれません。しかし、日本の小学校は少しずつ良い方向に動いていますし、家庭でもできることはたくさんあります。また、さまざまなことを身につける小学生の育児は「難しい」ことを小学校のせいにする場面も訪れるかもしれません。
ママが考えたいのは「小学校はベストを尽くしている。けれども、わが子にとって最適とは限らない」ということです。小学校で養えないコントロール感は家庭で十分に発揮させ、子どもの成長をサポートするようにしましょう。
【参考】
『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』 ネッド・ジョンソン、ウィリアム・スティクスラッド著