育児をしていると感じるのが「考えることが多い」という点。子どものことやしつけのこと、家のこと、パパのことなどママたちは知らないうちに思考を巡らせ疲れてしまいます。
今回はそんな心が疲れたママ、考えすぎてしまうママに向けて自動思考とスキーマについて解説します。
認知とは何か、心の休め方を一緒に知っていきましょう。
この記事ではこんなことがわかります▼
- 自動思考とスキーマとは何か
- 自動思考とスキーマの違いを心理学の観点から解説
- ママを苦しめる価値観や心を病ませる原因を解説
自動思考とスキーマとは?
自動思考とスキーマとは、どちらも物事をとらえ考えるという「認知」にかかわる言葉です。特に考え方や心を休めるために行う心理療法では、「スキーマ療法」があり言葉だけは聞いたことがある方もいるかもしれません。
まずは自動思考とスキーマとは何か、チェックしてみましょう。
考え方、物事のとらえ方、認知のこと
心理学の中では、認知という「自分の考え、イメージ」を段階に分けて考えます。より深い部分が「自分の本質、大元の行動の原因」となりますが、段階の中で浅いレベルの認知が自動思考、深いレベルの認知がスキーマと呼ばれます。
自動思考とは言葉の通り、無意識的に、浅い認識の中で考える認知。この自動思考はとっさのイメージやひらめきなのでコントロールするのは難しいのですが、深い認知であるスキーマは「自分の価値観」「考えの根本」であるため、知識として知っておくと自分の考えをポジティブに持って行くことも、なぜネガティブ思考に陥るのかも仕組みがわかるようになります。
どうしてママが「認知」を知る必要があるの?
記事冒頭でもお伝えしたように、自動思考とスキーマは知ると「ママの心の疲れ」を癒すことができます。例えば、「もっと育児は手抜きをするべき」「深く考えすぎないで」という文言は育児を指南する書籍やネット上の情報でよく見るもの。
ですが、悩むママは「そうはいってもどうすればいいの?」と思ってしまうかもしれません。日頃ストレスが多く、どうしても自分を責めがち、自分を苦しめる考えに向かいがちなママ。スキーマと自動思考という「認知の仕組み」を知ると、その苦しめる自分の価値観や偏った考え方に気付き、自分に優しくできる方法が見つかるようになります。
また、普段意識しない認知は、子どもと接するママにとってとても大切な要素です。子どもにももちろん認知があり、「うちの子はどういう考えでこんな行動に出るのだろう?」といったことも理解できるようになります。
自動思考とは?わかりやすく解説
今一度、詳しく自動思考について解説します。簡単にわかりやすくまとめたので、一緒に見ていきましょう。
一瞬で思い浮かぶイメージのようなもの
自動思考とは、ある出来事や物事に遭遇したとき瞬間的に思いつく考えやイメージを指します。例えば赤い丸を見ると、「リンゴ!」ととっさに思いますよね。わざわざ「赤くて丸い、さらに食べ物のようだ」と考えてからリンゴを思い浮かべることはありません。
こうした浅いレベルの無意識な認知が、自動思考です。
その場限りの認知のこと
自動思考は認知の根本や人の行動原理というよりも、これまでの人生経験や出来事、生活環境によって形作られるものです。例えば先ほどの赤い丸を見て、リンゴと思う人もいれば梅干しと思う人もいるかもしれません。これは、その人の自動思考に影響する経験の違いです。
このように自動思考は同じ出来事や状況に陥っても、人によって異なる考えになるのが特徴。いくら親子だからといって、「子どもとママの考えは違う」のは当然ですよね。人それぞれ異なる認知を持っているため、違っていて当たり前です。
スキーマとは?わかりやすく解説
一方で深いレベルの認知であるスキーマ。こちらを詳しく解説します。
頭の中にすでに存在している思考のこと
スキーマとは、説明したように深い階層の認知を指します。限られた情報から理解するための枠組みであり、先ほどのリンゴを例に挙げると「赤い果物、食べるとシャキシャキするものとは?」という言葉だけからリンゴという答えを想像できるのが、スキーマの仕組みです。
物事には情報がいつでも足りているわけではありません。子どもが泣いているとき、その原因を「周りにおもちゃが落ちているから、もしかしておもちゃでうまく遊べなかったのかな?」「お兄ちゃんにおもちゃを取られたのかも」と想像して認知するには、スキーマの形成が必要です。
経験や価値観などによって考えは異なる
経験や価値観などによりスキーマは人それぞれ異なります。また、物事を深く考えるスキーマにこそ「極端な価値観」「偏った意見」が入り込みやすく、これがママの心を苦しめる原因にもなるでしょう。
先ほどの子どもが泣いているという場面も「私が見ていなかったから泣いてしまった」「子どもから一瞬でも目を離すなんて母親失格」ここまで飛躍すると、子育ての本質やママとしてこうあるべきといった思考に陥ってしまいます。
自動思考とスキーマを知ると育児に役立つ?
では、自動思考とスキーマはどのように育児に役立てられるのでしょうか。子育てと認知の関係性をご紹介します。
自分を苦しめる価値観に気づける
スキーマは自分の価値観や考えの根本となるため、自分を苦しめる価値観を一度持ってしまうとママのストレスになります。
- 母親はこうあるべき
- 子どもはこうであるべき
- 主婦なんだから家事は私がやるもの
上記の例を見てもわかるように、「本来そこまで頑張らなくてもいいのでは?」と思えることも、自分を形作る深い認知として思い込んでいるため、どんどん自分を追い詰めてしまうのです。
また、「べき思考」とはとても恐ろしいもの。今「なぜか育児が楽しくない。毎日が忙しくて余裕がない」と感じるママは、このような偏った価値観や思考に陥っていないかを今一度振り返ってみるのもよいかもしれません。
子どもに対しても柔軟な気持ちで肯定できる
人それぞれ認知の在り方は違うということを解説しました。凝り固まった価値観を少し柔軟に捉えてみると、「ママと子どもももちろん違う考えを持って当たり前」と気づけますよね。
自動思考とスキーマを理解すると、自分の認知の歪みに気付くだけでなく、子どもがどう考えているのかも理解できます。「そんな遊び、くだらない」「何が楽しくてその行動をしているのかしら」と大人はつい子どもの行動を大人の価値観から評価してしまいがちですが、実は子どもにとっては魅力的で興味深いものなのかもしれません。
この子どもに対しても理解できるのが、ママが自動思考とスキーマを学ぶメリットです。
まとめ
普段聞きなれない言葉であるため、難しい印象もある自動思考とスキーマ。簡単に言うと「無意識のうちに抱くイメージ」が自動思考で「考えや行動の根本になる深い思考」がスキーマです。
普段何気なく思考しているものにも、ママ自身が自分の価値観を縛り付けて、ママの生活を生きづらいものにしていないでしょうか。今一度自分の考え方に目を向けて、子どもと笑顔で過ごせるように自分の思いを少しずつ認めてみましょう。
【参考】
自分を苦しめている生き方・価値観に焦点を当ててみよう~深いレベルの“認知”=スキーマ~│うつ病・夫婦関係・お悩み相談|カウンセリングこころの羽・札幌中央店
自動思考とは?改善する方法も併せて解説 | 【公式】オンラインカウンセリングのTerapi
認知療法 cognitive therapy CT | 認知療法研究所
心理学におけるスキーマとは?具体例や改善法をわかりやすく解説 丨コグラボ- Cognitive Behavioral Therapy Lab
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