ハイリーセンシティブチャイルドであるHSC。このHSCとは、人よりも敏感で周囲からの影響を受けやすく、怖がりや不安が強い子どもを指します。
HSCは病気でもなく、生まれつき持った特性。今回はHSCの子によく見られる怖がりをどう解決すればよいのか、極度の怖がりをする子どもに対してママができることをご紹介します。
HSCとは?我が子はHSCかも…
まずはHSCとはどんな特徴があるのか、HSCについてご紹介します。
HSCは前提として子どもの生まれつき持った特性であり、5人に1人の割合と言われています。決して珍しくないため、なんだか育てにくさを感じる、周りの子とはかなり違うみたい…と悩むママは、心当たりがあるかもしれません。
人一倍敏感なHSC
HSCとは、心理学者であるエレイン・アーロン氏によって提唱されたものです。ハイリーセンシティブチャイルドの略称であり、大人で同じような特性を持つ場合はHSP(ハイリーセンシティブパーソン)と呼びます。HSCは特性なので直ることはなく、大人になると性格や行動パターンは変わるもののHSPとして悩みを持つ方も少なくありません。
HSCは人一倍敏感であり、周囲からの物音や光、匂いや言動などから大きな影響を受けます。怖がりや不安が強いのも特徴で、小さな子だと
- なかなか寝付けない
- 一度泣き始めると泣き止むまでが大変
- 公園や児童館など、人の多い場所を嫌う
などの行動が見られます。この敏感さは病気でも障害でもなく、生まれ持った気質であると言われています。
子どもが夜寝ない、夜泣きが激しい、周りのお友達となかなかうまく遊べないというのは実はよく見られることですが、頻繁に起こることでママが違和感を覚えたらHSCなのかもしれません。多くのママは育てづらさを感じ、子どもの特性とは分かっていてもイライラしてしまうと悩む方も少なくありません。
「怖がり」はHSCの特徴のひとつ
この記事で考えていくのは、そんなHSCの「怖がり」についてです。HSCの子を持つ親の中には
- 公園に行ってもどの遊具も怖がって遊ばない
- 小学生なのに「明日○○があったらどうしよう」と怖がって一晩中眠れなくなる
- 遊園地に遊びに来たのに、何も楽しくなさそう…
と怖がりを心配する声もあります。
怖がりでママがせっかく用意した体験の機会や、家族のひとときを楽しめないと残念に思いますよね。チャレンジする気持ちも少ないため、「うちの子はこの先大丈夫かな?これでいいのかしら?」と思うママも多いかと思います。
子どもの「怖がり」は悪いこと?
では、HSCの子どもに見られる怖がりについて、もう少し掘り下げて考えてみましょう。よく見られる怖がりが気になるシーンや、ママは子どもの怖がりとどう向き合えばよいのかをまとめました。
子どもの怖がりが気になるシーン
HSCによく見られる怖がりとして
- 公園で何も遊びたがらない
- 夜寝るのが怖い、暗闇が不安になる
- 怖くて挑戦できない、やる気になれない など
が挙げられます。子どもが夜寝ないと「睡眠不足になるのでは?」と不安に思いますし、公園は子どもが喜ぶイメージが強いため、周りの子と違う我が子にもどかしい気持ちを抱くかもしれません。
ただ、ここでご紹介したような怖がり、不安がりはどの子にも少なからずみられるものです。ある程度怖がってそのあと平気になるのならそれで良いですし、ママがサポートしてあげて怖がらないようにできるのであれば問題ありません。
怖がりはメリットもある
「怖がり」はなくさないと、と思うママもいるかもしれませんが、怖がりにはメリットもあります。適切に怖がれる子は危険を察知して避けることができますし、何か起きたときに大人にSOSを出せます。ママがひやひやしないというのも、その子の特性がなせる業ですよね。
このように、怖がりは決して悪いことではない点も頭に入れておきましょう。HSCは決して弱点だけではなく、考え方次第では子どもの個性や才能としても受け取れるのです。
本当に子どもにその経験は必要?
怖がりを見せる子どもに対して、「怖がっているのに強制する必要はあるのかな?」と一度大人が立ち止って考えるのも大切です。例えば遊園地に家族と出かけて、ジェットコースターは絶対に乗らない!と子どもが怖がっているのに、無理に乗せるのはおすすめしません。「子どものために」と思ってやったことだからこそ、体験や経験を子どもに押し付けていないかはよく考えておきましょう。
最終的に子どもが喜べば、ママの目的は達成できるはずです。子どもが怖がらず安心して遊べる手段はないか、一度考えてみるのもおすすめです。
子どもの怖がりを克服するには?
HSCの怖がりはどれもデメリットだけではないのですが、とはいえ些細なことで怖がってばかりの我が子を見ると「安心させてあげたい」「少しでも怖がらないようにしたい」と思いますよね。
次は、こうした怖がりを克服する方法を考えてみましょう。もちろんHSCといってもすべての子どもが同じように怖がるわけではないため、我が子に合ったやり方で怖がりを和らげるのがおすすめです。
なぜ怖がるか原因を考えて解決する
子どもが怖がりを見せたとき、なぜ怖いのかな?と子どもに尋ねてみたり一緒に考えてみると良いでしょう。
- 曇りの日でも暗くて怖い→一緒に電気を付けようね
- ○○が不安で眠れない→大丈夫だよ、と安心させる
- パパが帰ってくるとき大きな音がして怖い→じゃあ静かに帰ってきてもらおう
このように、原因が分かれば解決できることもたくさんあります。ママとして大切なのは、この一つ一つに「大丈夫だよ」と安心させること。ママの声掛け次第で怖さは軽減できるため、子どもには優しく安心できる言葉を掛けてあげましょう。
「なんだ、こんなことだったんだ」と成功体験を積む
例えばスポーツが苦手で体育が怖いと感じる子には、簡単な体操や運動から始めて小さな「できた!」を積み重ねて安心させることもできます。この成功体験は何も完璧にできたり、難しいものでなくても構いません。ハードルがそれほど高くない目標を設定し、成功体験を積むようにしてみましょう。
子どもが怖がるようなら、ママから見て「これでいいのかな?」と思えるほど小さな目標でもOK。小さなステップを積み上げることで、臆病や怖がりが少しずつ緩和できるでしょう。さらに少し上の挑戦をしてみようと、次への意欲にもつながるかもしれません。
親は怖がらせない、安心させることに徹底して
子どもの怖がりに最も効果的なのは、ママが「大丈夫」とどっしり構えてくれることです。大人が怖がらなければ子どもにもその勇気や態度は伝わりますし、家族が安心できる存在なら、子どもは挑戦する意欲も育めます。
怖がりが強いHSCにイライラして、「そんなこともできないの?」と言いたくなるときもあるかもしれません。ですが、そもそも親と子どもは別の人間であり、同じ考えを持つとは限らないのです。変に怖がらせたりせず、安心して子どものペースで成長を見守りましょう。
まとめ
生まれつきのHSCは周りの子とは異なる特性を持つために、我が子の性格が「これでいいのかな?」と不安になることもあります。極端な怖がりや不安はHSCの特徴なので、いつもそばにいるママがしっかり理解してあげるとよいでしょう。
怖がりは決して悪いことだけではありません。ちょっとずつで良いので、怖がりな我が子も認めて、受け入れてくださいね。
【参考】
HSC(Highly Sensitive Child)ハイリー・センシティブ・チャイルド | 仙台の心療内科・精神科・美容内科マドレクリニック
【HSCの本】<子育てアドバイス>怖がりすぎを何とかしたい | よみもの.com | 誠文堂新光社
【パパは不審者!】ビックリさん、怖がりさんHSC子育てあるあるエピソード10選 #HSCあるある | 1万年堂ライフ