子供のイヤイヤ期がない!イヤイヤ期がなくても大丈夫?

言葉も出始め、活発に動くようになる2歳児。この頃から子供には自意識が芽生え、自分の意見を主張する「第一次反抗期」、イヤイヤ期と呼ばれる大切な成長段階に入ります。

一般的に2歳でピークを迎えるイヤイヤ期ですが、なぜか我が子は「イヤイヤ言わない」「イヤイヤ期がない」と悩むママも少なくありません。

そこで今回はイヤイヤ期がない子の特徴、イヤイヤ期がなくても大丈夫?といったママの疑問にお答えしましょう。

イヤイヤ期とは?2歳くらいから始まる

イヤイヤ期の子

まずは、イヤイヤ期について詳しく解説します。

イヤイヤ期についてはコチラの記事でも詳しくお伝えしていますので、ご覧ください。

イヤイヤ期はいつからいつまで?【公認心理師】ママがお伝えするイヤイヤ期の期間とママの関わり方

子供の「自我」が形成される時期

イヤイヤ期とは、子供の「自我」が形成される時期です。
生まれてすぐの赤ちゃんは、泣くことで自己主張をします。「お腹が空いた」「なんだか気分が落ち着かない」など、具体的に自分で説明できないため泣いてママやパパに自分の感情を伝えているのです。

このとき、赤ちゃんは「自分がどうしたいか」は要求しません。例えば服の着心地が悪くて泣いていても「赤い服はイヤ!青がいい」とは言わないでしょう。

成長し、言葉を覚えて自分が「何を」したいかが自覚できるようになると、子供の中で「自分の主張」が目覚めるのです。例として挙げると、服の着心地に加えて「どうしても青い服じゃないとイヤだ」と自意識が働きます。

これがイヤイヤ期の始まりです。子供の中で「やりたいこと」「やりたくないこと」が明確に分かれる時期がイヤイヤ期と言えそうですね。

何歳くらいから現れる?

子供の自己主張は、多くが2歳ごろから現れます。
厚生労働省が発表している、保育所保育指針解説を見てみましょう。

生活や遊びの中で、自分のことを自分でしようとする意欲が高まっていくことや、自分の意思や欲求を言葉で表そうとすることなどにより、子どもの自我が育ちます。そして、「自分で」、「いや」と強く自己主張することも多くなり、思い通りにいかないと、泣いたり、かんしゃくをおこしたりする場面も現れます。
引用元:厚生労働省 保育所保育指針解説 p.44

ただ、イヤイヤ期には個人差があるため2歳よりも早くイヤイヤが見られる子や、2歳になっても嫌がる素振りのない子ももちろんいます。

育児中に感じる「イヤイヤ期」の大変さ

イヤイヤ期は初めてママが体験する、子供の反抗期。イヤイヤ期があると知っていても、いざ直面するとどう扱ってよいのか悩みますよね。

  • お出かけ先で「帰らない」と駄々をこねて動かなくなったり
  • ごはんを「食べない」と嫌がって食事に時間がかかったり
  • 洋服を着替えない、お風呂に入らない、と毎日の暮らしがやりにくくなったり

こうした経験をしたママもたくさんいるのではないでしょうか。

しかし、以上で挙げたイヤイヤ期の子供の様子に心当たりがないママもいます。次は、イヤイヤ期がない子の特徴について見ていきましょう。

「うちの子イヤイヤ期がない…」考えられる4つの理由

イヤイヤしない子

普通なら2歳ごろにやってくるイヤイヤ期。けれども自己主張がないと、「うちの子は大丈夫なのかしら」と心配になりますよね。

「イヤイヤ期がない」のは4つの理由が考えられるため、当てはまることがないかチェックしてみてください。

自己主張がうまくできているから

繰り返しになりますが、イヤイヤ期とは「自分のやりたいこと」「自分でやりたいこと」など子供の中で自己主張が激しくなることから始まります。

また、自己主張を「ごはんは食べたくない。まだ遊びたいから」と理由付けて説明できればよいのですが、2歳ごろの子供には難しく、すべて「イヤイヤ」になってしまうのです。

しかし、中には「そうなんだ。いやなら○○しようね」とパパ、ママが納得できる選択肢を常に与えてくれたり、子供が「○○したい」と上手に主張できたりする場合もあります。すると、イヤイヤする理由がなくなりますよね。

子供の言葉が早かったり育児の環境がイヤイヤ期に対応した形で整っていたりすると、自然にイヤイヤ期を乗り切れます。このとき、「イヤイヤ期がない」と感じるのかもしれません。

大人しく自己主張が少ない性格だから

個人差があるイヤイヤ期なので、子供によっては「イヤイヤしているけれど主張が弱い」こともあります。

大人しく、元々性格的に自己主張が少ない子なら、実はイヤイヤ期を迎えているけれどママにとっては「イヤイヤ期がない」と感じるのかもしれません。

まだイヤイヤ期がきていないから

多くの2歳児がイヤイヤ期を迎えますが、すべての子供が2歳でイヤイヤ期がくるとは言えません。「まだイヤイヤ期がこない」と心配している子供の中には、自己主張を発揮したい時期がまだきておらず3~4歳になってイヤイヤ期を迎えることもあります。

3~4歳のイヤイヤ期は当然2歳のイヤイヤ期とは異なり、「より多くの言葉を知っている」「体力が付いている」ために、ママにとっては自己主張を聞き入れやすかったり、反対に大変に思ったりするかもしれません。

必ずしも、2歳でイヤイヤ期がくるわけではないため、イメージするイヤイヤ期とは違っていると焦るママもいるかもしれませんが、ゆっくり子供を見守りましょう。

自己主張できる環境ではない

教育環境によっては、親が子供を厳しくしつけたりひどく怒ったりして、子供がイヤイヤできる状況ではないケースがあります。

親の顔色を伺うクセが付いている子や親に恐怖を感じている子だと、自己主張することが恐怖になり、結果としてイヤイヤ期がこないのです。

しかし「イヤイヤ期がくるはずなのに、ないから心配」というママには、この理由は当てはまらない場合がほとんど。育児環境を整えるのはもちろん大切ですが、過度に心配しなくてもよいでしょう。

一つ言えるのは少ない場合でも大変な場合でも、イヤイヤ期がくるのは親との愛着関係がはぐくまれている証拠です。

イヤイヤ期がない我が子。心配いらない?

イヤイヤ期がない子

少数ではありますが、「イヤイヤ期がない」と感じる子はいます。その理由にはもちろん心配のないケースと悪いケースがありますが、子供の様子を優しく見守ることが大切です。

イヤイヤ期は個人差が大きい

イヤイヤ期がないと心配するママに知ってもらいたいのは、イヤイヤ期は個人差が大きいこと。お伝えしたように、イヤイヤの度合いや何を嫌がるのかは、子供ひとりひとりで違います。

中にはひどい癇癪を起こし、どこへ連れて行っても泣いてしまい大変。激しく反抗するイヤイヤ期を迎える子もいるでしょう。一方で、イヤイヤをしているけれど周囲がサポートできる範囲の自己主張しかしない子だと、「イヤイヤ期がない」「イヤイヤが少ない」と感じるのです。

どちらも、子供にとって大切な成長過程である「イヤイヤ期」に変わりはありません。イヤイヤ期がないと思っても、それも個性のひとつと認めてあげましょう。

「イヤイヤ」だけがイヤイヤ期ではない

「イヤイヤ期」はよく言われる呼び方ですが、子供の自己主張は何も「イヤ」だけではありません。イヤイヤ期の言葉だけが広まっているため、ママの中には「何かを嫌がらない=イヤイヤ期がない」と考える方もいるでしょう。

例えば公園に遊びに行き「ブランコに乗りたい」と子供が自ら選択するのも、自己主張のひとつ。「今日はこの服を着たい」「まだ遊びたい」と、自分がやりたいことを伝えるのも自己主張です。

イヤイヤ期がないと思っていても、子供が成長していく中で自我の芽生えを感じる出来事に心当たりはありませんか?イヤイヤ期は「イヤ」だけがすべてではないため、心配に思う必要はありません。

「イヤイヤ期がない=思春期の反抗期が激しい」わけではない

イヤイヤ期がないことと同時に言われるのは、「イヤイヤ期がない分、第二次反抗期である思春期に大変な思いをする」というものです。

もちろんこれもすべて個人差があるので、イヤイヤ期がないからといって思春期の反抗が激しいわけではありません。また、イヤイヤ期がないから思春期の反抗もないことにも根拠はないのです。

大切なのは、その都度子供の成長を見守ること。育児中イヤイヤされるとママは大変に思うでしょう。「この子は今成長しているんだ」と子供の主張を聞き入れながら、自立を促してあげてください。

まとめ

個人差の大きいイヤイヤ期。一般的には「イヤイヤ期は大変」「何も手に付かない」など苦労するイメージが強いですが、中にはイヤイヤ期がない、少ないと感じる子もいます。

ただ、これは子供の個性です。子供一人ひとり、イヤイヤ期の様子は異なります。イヤイヤ期がないからといって、過度に心配することはありません。我が子の大切な成長と個性を見守りましょう。

【参考】
厚生労働省 保育所保育指針解説

ABOUT US
【監修】 公認心理師YUKA久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。