子どもを育児している中で、私たちは「この時間には子どもは寝るべきだよね」「晩御飯はママが手作りするべきだと思う」といった思考を繰り返します。一見普通の考えに思えますが、ここには「べき思考」が隠れているのです。
べき思考とは、マイナス思考や自分を責める要因になる「問題点が多い考え方の癖」です。今回はママ達を苦しめるべき思考とは何か、べき思考の持つリスクや改善方法を解説します。
- 育児がやりにくい、難しいと感じるママ
- すべて完璧にやらないと許せないママ
- 子どもやパパにも厳しく当たってしまうママ
- べき思考とは何か、べき思考に陥ったときの状態を解説
- 公認心理師監修のもと、べき思考の改善方法をご紹介
- べき思考が持つリスク、育児中のママが気を付けたいこと
「べき思考」とは「〇〇すべき」に支配された思考

べき思考とは、「~~するべき」「~~してはならない」といった義務感、先入観や思考を指します。MUST思考とも呼ばれるこの考えはママに限らず誰しも持っているものですが、この記事で解説するのは「べき思考に陥って抜け出せない状態」です。
まずはべき思考について、詳しく知っておきましょう。
べき思考は「認知の歪み」?
心理学の世界では、「認知の歪み」という言葉があります。認知の歪みというのは、考え方の癖のようなもの。その考えを持ち続けると問題が起こりやすく、改善したほうが良い考え方を認知の歪みと呼びます。さらに、認知の歪みは無自覚に起こりやすいため、治すためには自覚することから始めなくてはなりません。
べき思考はまさに認知の歪みの1つです。「~~すべき」という考えを一切捨てなくてはならないというわけでもありませんし、1度も「~~すべき」と考えてはならないのかというとこれも極端な話です。しかし、続けていると癖づいてしまい、自分にも周囲にも影響が及ぶ点に注意しておきましょう。
育児でよく起こる「べき思考」
なぜ子育てママに「べき思考」をお伝えするのかというと、育児中はべき思考に陥りやすいからです。
- 育児書通りに子どもを育てるべき
- 母親なんだからこんな趣味を持ってはならない
- 子どもがいる家庭はこんな生活をするべき
など、子どもと暮らすことによってママの生活には制限が次々と生まれます。また、こうしたべき思考通りに行動すると「ストレスは多くなるものの、まっとうに育児している正しいママ」だと思い込んでしまうのです。
他人にもマイルールを押し付けてしまう
べき思考はママ自身に向かうだけでなく、一緒に暮らしているパパや子どもにも向かいます。
- 父親ならこれをやるべき
- 子どもは夜8時には寝るべき
- 休日は家族でお出かけをするべき
べき思考とは、「世間がママに強制しているもの」でも「他の誰かから命令されるもの」でもありません。極論を言えば、ママのマイルールがべき思考に潜んでいます。
このマイルールは続けるうちに子どもやパパ、ママ友など周囲にも向かってしまい、対人関係のトラブルに発展することも多いです。
「べき思考」が持つリスクとは

べき思考はたくさんのリスク、問題を持っています。一見すばらしいママ像、理想のママを目指すような考え方かもしれませんが、べき思考の持つリスクを今一度考えてみましょう。
そもそも「人間関係のトラブル」になりやすい
なぜ、べき思考が認知の歪みになるかというと、人間関係のトラブルになりやすいからです。べき思考に陥る人は他人に対しても厳しく、また「自分もそうだったのだから、周囲も苦労するべき」と考えてしまいます。そんな人が周囲にいると、どうしても良い関係を築けませんよね。
ママの場合だと、ご近所付き合いやママ友との関係性、学校や園とのやり取りでのトラブルなどになりやすくなります。
子どもやパパに対してべき思考で向き合ってしまう
家族以外の人との人間関係トラブルではなく、子どもやパパに対してもべき思考は向かいます。
パパが仕事で忙しくしているのに、ママは「子どもの面倒や家事の手伝いを、パパはやるべき。やって当たり前」と思い込んでいると、次第にパパはやる気をなくし感謝の気持ちを持たなくなります。夫婦関係の悪化につながるのも、べき思考の持つリスクです。
また、子どもはママのべき思考にがんじがらめになってしまい、自分の行動に自信が持てなくなるかもしれません。
べき思考に陥るママも自己肯定感の低さが指摘されますが、子どもにも厳しくしていると、自己肯定感に影響が出ます。子どもの自信を失ってしまうのも、リスクの1つです。
育児中のママのストレスの原因がべき思考に詰まっている
育児を続けるママは常にストレスフルな状態です。自分のことは後回し、家族の体調や予定次第で、自分のやりたいことが自由にできません。
こうした育児の持つストレスは「仕方のないこと」とはいえ、べき思考を持つとさらにストレスがかかる状態に。「~~すべき」という思考のすべてをクリアしようとすると、ママは自己犠牲をしてしまいますし我慢の限界はいずれやってきます。
ただでさえストレスの多い育児中、自分を責める考えであるべき思考は、より大きなストレスの原因になってしまうのもリスクです。
「べき思考」をゆっくり改善してみよう

べき思考を改善するには、さまざまな方法があります。まずはママが自分の中にあるべき思考に気付き、考え方を改めてみることから始めましょう。
「明日すぐにべき思考を捨てる!」とはなりませんが、ここからはママが考えてみたい思考の改善方法をご紹介します。
「〇〇するべき!」→「〇〇しなくても良い」
ここまで記事を読み進めると、すぐにママの中にあるべき思考に気付くかもしれませんね。筆者も同じく育児をする母親であるため、ある晩「昨日の夜はカレーだったけれど、今日の夜を作るのが大変。残り物のカレーでもいいかな」と悩んだことがありました。
「先週もシチューだったし、似たようなメニューにするべきではないかも」「外食をしてもいいけれど、母親なら晩御飯を作るべきでは?」と考えが及んでしまいそうですが、ここで言い換えてみるとべき思考を改善できます。
- 似たような晩御飯は避けるべき→メニューを毎日変えなくても良い
- 晩御飯は手作りをするべき→手作りしなくても良い、外食もOK
こう考えてみると、日常的にも気持ちがずっと楽になるでしょう。
「〇〇すべきでない!」→「〇〇しても良い」
次は、〇〇すべきでないという考え。よくママが考えることと言えば、「母親なんだからこんな服装はするべきじゃないよね」「母親なんだから趣味を持ったらダメ」「ママなのに、あのママ友は1人で遊び歩いてるの?」などが挙げられます。
確かにママとしてやらなくてはならないことはありますが、「本当に強い言葉を使って強制することかな?」と考え直してみましょう。
母親だからといって、好きな格好を諦めなくてもOKです。ママも、好きな服装をしても良い。ママだって趣味を持っても良いですし、子どもをパパに預けて1人でお出かけしても構いません。
気付かないうちに~~すべきではない!という先入観は生まれてしまいます。他人に向かうこともあるため、少しずつ直したいべき思考です。
「〇〇はこうあるべき!」→「たまには〇〇でも良い」
最後は、「子どもはこうあるべき」「パパはこうあるべき」といった自分以外の家族や友人に向かうべき思考。この考えが強くなると、人間関係のトラブルにも発展します。
他人は絶対に自分の思い通りにはいきません。一緒に過ごしている子どもだってその通りで、ママの思うようにならなくて当然です。
「子どもはご飯を全部食べるべき!」確かにそうなると理想的ですが、「たまには嫌いなものを1口残したって良い」。「パパは家事を進んで変わるべき!」→「たまには私がやって、次はパパにお願いしたいな」と考え直してみると、周囲の人との付き合い方も各段に優しくなります。
まとめ
ママが陥りやすいべき思考。認知の歪みとも言われる思考ですが、特に育児中はこの考えを持ちやすいです。
今すぐ直す、絶対にべき思考をしない!と極端に考えずに、ゆっくりと自分の中の厳しい部分を労わって優しくできると良いですね。柔軟な考え方を持つ幸せなママになるために、ぜひ試してみてください。
【参考】
べき思考を手放すには?認知のゆがみを生む原因や具体例、改善方法を紹介 丨コグラボ- Cognitive Behavioral Therapy Lab