このブログでも繰り返しお伝えしてきた、「子ども自身に選ばせよう」「子どもの意思を尊重しよう」という育て方。自律心を育む声かけやママの育児はとても大切です。
しかし、そう分かっていてもうまくいかないときもありますよね。子どもがなかなか決められない子だったり、選択に迷いが出たり、自己主張が苦手な子だっています。
こんなとき、ママはどのように接すればよいのでしょうか?今回は「決められる子」に育てるためには、ママ自身が変わる方法を解説します。
本記事は心理学者ウィリアム・スティクスラッドと教育者ネッド・ジョンソン著『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』を参考にしています。
- 子どもの行動に対しもどかしさを感じるママ
- 子育てに迷いがあるママ
- 子どもの自己主張、自然な自我を引き出したいママ
- 子どもに「決めてもらう」ためのママの振る舞い方
- 子どもの意見を大切にする方法
- 親が子どもに対してできること
子どもに「決定権」を与えられないママ

「ママがなんでも決めつけない。子どもに決めさせよう」と思っても、「とても不安で任せられない!」と思うことがほとんどです。なぜ子どもの行動が不安なのかというと、ママが子どものことを一番に気にかけていて心配しているからに違いありません。
ですが、今回ご紹介する『セルフドリブン・チャイルド』には、子どもに意思決定を委ねることが大切とあります。まずは、子どもに決定権を与えるために意識したいことをご紹介します。
「なんだか不安…」から解放される3つの合言葉
子どもに決定を任せるのはなんだか不安…と思うママに向けて、3つの合言葉があります。
『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』
- きみについていちばんくわしいのは、きみ自身だ
- きみの頭には脳がある
- きみは人生で成功したい
この前提を受け入れられると、親が子どもの行動を決定するのはどれほど的外れなことかがわかります。
子どもについて詳しいのは、子ども自身です。また、子どもには考えられる脳が備わっていますよね。そして、ママが子どもの成功を祈るように、子どもだって自分自身の成功に向けて日々歩んでいるのです。
子どもに決定権が譲れないものとは
ただし、子どもに決定権が譲れないものがあります。以下にまとめたので、チェックしてみましょう。
- 無限の選択肢、例えば幼い子に「将来の夢を具体的に決めなさい」と提案するなど
- うつ状態、自滅的なときの選択
- 子どもがまだ選択できないとき
例え子どもに決めさせるのであっても、小さな子に「何時まで遊ぶかはあなたが決めなさい」と言っても無駄です。それは1日の流れや育ててきた経験のあるママが判断することで、子どもに無限の選択や能力的に不可能な選択はさせてはなりません。
子どもが決めるべきものとは
一方で、子どもが決めるべきものは、先ほどの「子どもに決定権が譲れないもの」以外すべてだといえます。
具体的にいうと、「子どもが選択できるものは子どもが選ぶ」のが理想的です。ママは子どもが選びやすいように、アドバイスしたり選択肢を絞ったり、「こっちを選ぶとこうなる。でも、こっちを選ぶとこういうメリットがある」と提案するとよいでしょう。
ここをはき違えてしまうと、「自由放任主義」のママになってしまいます。自由に育てるというのは子どもを放置することではなく、子どもが「これを決めたい」と思っているのならその願いを受け入れることだと認識しておきましょう。
「決められる子」を育てるためにママが変わるべき理由6つ

では、決められる子を育てるためには、まずはママが変わる必要があります。なぜ、「決定意思を持つのは子ども」なのに大人が変わらないといけないのでしょうか。具体的に想像するために、ママが変わるべき理由を6つご紹介します。
科学的な根拠があるから
「決められる子」とここではご紹介しましたが、実は大人だって正しい選択ができるかというとそうではありません。正しい決定ができるようになるのは、およそ20代~30代だと脳科学の研究によって解明されています。
では、その歳までは親が決めればよいのかというと、そうではありません。その年代までに「どれほど選択してきたか」が大切になるのです。
決定意思を持つ脳の働きは、これまでどう使われてきたかで変わる。これは科学的な根拠があるために、子どものそばにいるママが子どもに対して「決めてみて」と声かけをしなくてはならないのです。
子どもは親の言いなりにはなれないから
子どもの決定をすべて親が代わりにやっていたとしても、最終的に子どもの人生を生きるのは子ども自身です。
子どもは親の完全な言いなりにはなれません。そのために、決定できる子になるためにはママが一度距離を作るのも大切です。
子どもにコントロール感を与えるのはたくさんのメリットがあるから
子どもが自由に決められる、自分自身をコントロールできるようになると、こんなメリットがあります。
- ストレス耐性に強くなる、必要のないストレスを感じなくなる
- 自分の行動に責任が持てるようになる
- 自分のやりたいことが見つかる、自発性が発揮できる
ママは子どもに「良い子」になって欲しくて口出しをしますが、実はこの口出しを止めたほうがママの望む「幸せな良い子」に育つのです。
ママはいつでも正しい答えを与えられるわけがないから
大人だって、何度でも間違えることはあります。ママ自身も自分の人生に選択ミスがなかったと自信を持てるかというと、そうではないはずです。
大人が正しい決定ができない以上、子どもの決定権を握るわけにはいきません。「大人だって正しくない」と今一度認識しておきましょう。
子どもは絶対にやればできるから
「私が決めないとこの子は何もできない!」と思うママ、果たしてそうでしょうか?
何歳になっても、子どもはまだまだ手のかかる存在だと思いますか?確かに幼少期は大人の力が必要ですが、子どもは意外と早く成長するものです。
子どもは絶対にやればできます。子どもを「子ども扱い」するのではなく、一人の人間としてしっかりと見つめ直してみてください。
決められる子に育つためには学びが必要だから
なんでもママが決めてあげていると、子どもはそこから何も学びません。「学びの多い子になりなさい」とママが言う割には、決めた経験がないために学習が進まないのです。
子どもに任せるのは少し不安に思うかもしれません。けれども、決められる子になるためには、「大人の手を借りないで自分の行動に責任を持つ」という体験こそが重要です。
どうやって決定させる?

では、どうやって子どもに決定させればよいのでしょうか?「選択する体験」を身につけてもらうためのコツを年代別にご紹介します。
幼少期の頃の決定は「どっち?」がポイント
幼少期の頃は、当然最初から答えを選ぶのは難しいです。そのため、「こっちとこっち、どっちがいいかな?」と選んでもらいましょう。
「一番好きなのは〇〇!」と選べない選択肢をする場合もあります。そのときは、「じゃあ二番目に好きなのは?」と選択を誘導させるとよいでしょう。
小学生の決定はメリット・デメリットも考えて
小学生まで成長すると、決定するときに「こういうメリットがある。けれど、こういうことにも気を付けないといけないよね」と良い面と悪い面を提示しましょう。
例えデメリットがあったとしても子どもが決めると、そこに「責任感」が生まれます。完全に子どもに任せるわけではありませんが、自分の選択が自分の状況を決めるという体験は重要です。
中学生以降、ママはサポートに徹して
中学生以降になると、ママはサポートに徹しましょう。子どもが選べないようであれば、「どんなことを手伝ったらいい?」と聞いてみます。一緒に考えて欲しいと要望があれば、もちろん突き放さずに親身になって相談に乗りましょう。
まとめ
わかってはいるけれど…なかなか難しい子どもに決定権を委ねる育児。しかし、危なげな子どもの選択でも、実は将来的に役に立つ子どもの人格形成に大きく繋がります。
今子どもに口出しすることに夢中になっているママは、今一度この記事を参考に考えをまとめなおしてみましょう。必ずちょうどよい親子の向き合い方が見つかるはずです。
【参考】
『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』 ネッド・ジョンソン、ウィリアム・スティクスラッド著