子供への虐待は、悲しいことに今でも存在します。また、いくら愛情深いママでも、子供が大好きでも大切に思っていても、何かをきっかけに子供虐待が起こってしまう可能性はゼロではありません。
時々、ママからは「これって虐待かも」と不安に感じる声が聞かれます。そこで今回は、子供虐待について詳しく解説。どこからが虐待なのか、しつけとの違いについてもしっかり考えてみましょう。
子供虐待とは?
子供への虐待とはどういったことを指すのでしょうか。子供を安全に育てるために、虐待とは何なのかを明確にしておきましょう。
虐待は大きく4つの種類に分けられます。ひとつずつ、詳しく解説します。
身体的虐待
身体的虐待とは、子供を叩いたり殴ったり、体罰を与えることを指します。子供の体に対する暴力や危害すべてを指す虐待であり、外に締め出したり意図的に病気にさせることも身体的虐待と言われています。
心理的虐待
身体的虐待が暴力に訴える虐待だとすると、心理的虐待とは体ではなく心への虐待を指します。心理的な外傷を伴う危害を加えることで、子供に「生むんじゃなかった」「どうして生まれてきたの」と存在を否定する言葉を投げかけたり、無視をしたりきょうだい間で差別する発言はすべて心理的虐待です。
また、子供の見ているところで配偶者にDVを行う、子供にも「次はお前だぞ」といった脅しを行うのも虐待のひとつ。例え暴力を振るわなくても、言葉や態度で子供の心を傷つけるのは、子供の健やかな成長の妨げとなります。
ネグレクト
ネグレクトとは、育児の放棄や怠慢と訳せる英語です。具体的には子供のお世話をしない、家に閉じ込めて外出させない、食べ物や飲み物を与えない虐待がネグレクト。ネグレクトによって起きた悲惨な事件も多数残っています。
よく「買い物をしたいけれど子供が寝ているから」と車に閉じ込めたまま用を済ませる親がいます。これはネグレクトの代表的な例で、決してやってはならないことです。見放した時間分子供の安全は確保されず、子供の心だけでなく身体的な問題、果ては子供が死んでしまう可能性もあります
性的虐待
子供に性的な行為を見せる、性器を見せる、性交を強要したり示唆したりする行為は性的虐待に当てはまります。子供にポルノの被写体になるよう強要することも、間接的な性的虐待として扱われるでしょう。
子供虐待につながる「マルトリートメント」
どんな行為が虐待に当てはまるのかご紹介しましたが、「どれもやっていない」と安心するママも多いかもしれません。ただし、「虐待ではないけれど虐待につながる可能性が非常に高い」育児があります。それが「マルトリートメント」です。
マルトリートメントは早めの対応が重要となり、放っておくと虐待に発展することも。不適切な育児を避けるために、どういった対応がマルトリートメントに当てはまるのか知っておきましょう。
こちらの記事でもマルトリートメントについて解説しています▼
避けるべき子育てのこと
マルトリートメントとは、「不適切な養育」「避けるべき子育て」という意味を持ちます。虐待といえば行き過ぎた叱責や怒鳴りつける行為、子供の見た目まで変える外傷を残す暴力を想像する方は多いのですが、マルトリートメントはその前段階。また、家庭でも比較的よく見られ、ママ自身の知識がなければ無意識で行われていることもあるので注意が必要です。
具体的な例を挙げると、
- 日常的に子供を怒鳴る、冷たい態度を取り続ける
- 外に出す、正座させるなど体罰を与える
- 夫婦喧嘩を見せる
- スマホを見続けて子供からの呼びかけやアクションに無視をする、適当にあしらう
こうした行為が日常的に行われるのがマルトリートメントです。
こうしたマルトリートメントは生活の中でよく見られ、親子の関係性や子供の成長を阻害することも。ただし、マルトリートメントのリスクを理解し子供との向き合い方を見直せば、より親子関係は良くなる可能性も十分にあります。
マルトリートメントが引き起こす子供への影響
マルトリートメントは子供にどんな影響を与えるのでしょうか。こうしたマルトリートメントを日常的に受けている子供の脳を調べてみると、少しずつ傷つき、萎縮するという研究結果が出ています。
暴力や食事を与えない分かりやすい虐待でなくても子供は傷つき、将来的に精神不安や子供が親になったときに適切な養育が分からないなど、問題が起こるかもしれません。しつけと思ってやっていることでもマルトリートメントに当てはまるかもしれないので、今一度子供への呼びかけ方を見直してみることも大切です。
子供虐待としつけの違いとは?
虐待の意味を知った上で悩むのは、子供に対してひどく叱りつけたり怒ったりしたとき、「これは虐待かも?」と思ってしまう瞬間です。毎日にこやかに子供と接するのがベストかもしれませんが、子供に家の中や外での振る舞いやルール、マナーを教える上で、どうしても「しつけ」するシーンは避けられないでしょう。
このとき、どこからが虐待でどこからがしつけになるのでしょうか。しつけと子供虐待の違いを解説します。
成長を妨げる行為が虐待、成長を助けるのはしつけ
繰り返しお伝えしているように、虐待は子供の成長を妨げる行為です。対してしつけとは、子供にルールやマナーを教える行為。子供のために行うものです。
- 虐待…親のイライラをぶつけるだけ、子供のことを考えない行為
- しつけ…子供の行動を改め正しい方向に導くこと、子供のための行為
二つの違いを挙げるなら、このように考えられるでしょう。
しつけの段階で子供を怒鳴ったり、思わず手が出てしまったりすることは、数回ならあるかもしれません。ですが、しつけと称して行き過ぎた暴力を日常的に繰り返すのは虐待です。子供を親の思い通りにさせるのではなく、本当に子供のためになるのか考えて対応の仕方を考えたいですね。
「怒る」と「叱る」の違いを認識する
虐待かも?と思った瞬間にママは間違いには気付いているかもしれませんが、どこからが虐待になるのかというと「怒る」と「叱る」をはき違えることです。怒ると叱るの違いはこちらのブログでも解説していますが、
育児で疲れているママだとしても、感情まかせに子供を怒鳴るのは「怒る」子供のためを思って語気を強め、言い聞かせさせるのは「叱る」です。
虐待になるからといって、子供の思い通り好きにさせるのが正しい。これは少し違います。親として時には子供に叱ることもあるでしょうし、その時に子供のことを思って正しい方向に導いてあげるのが良いしつけの方法です。
怒鳴らずしつけは可能
では、虐待にならずしつけをするにはどうすればよいのでしょうか。子供に強い言葉で言い聞かせしなくても、怒鳴らなくってもしつけは可能です。
まずは、ママの怒りの感情を押さえてから言葉に出すようにします。「今忙しいのに!」「疲れてるのに!」といった負の感情が強いときは、ママとしても感情的に怒鳴りつけてしまいがちです。子供と適切な距離を取り、その場を離れて一呼吸置いてもかまいません。そのあとで短く分かりやすい言葉にして、子供に言い聞かせしましょう。
しつけといっても、一度子供を叱っただけでは同じことを繰り返さないとは限りません。また同じことをするかもしれませんが、そのたびに繰り返してみましょう。根気強さが必要ではありますが、ひどく怒鳴って子供を怖がらせるよりもよっぽど効果があります。
怒鳴らずしつけする方法はこちらの記事でも詳しく解説しています▼
まとめ
子供虐待はどこから?毎日子供を怒っているけど、これって虐待になるかも。そう思うと怖くなってしまうママも多いと思いますが、子供の虐待としつけには明確な違いがあります。そして、時には子供に厳しくルールやマナーを教えるシーンもあるでしょう。
大切なのは、子供のためを思う気持ちです。ママ自身が「自分本位になっていないか」「度が過ぎていないか」を考えて、冷静に子供と向き合えばそれは虐待にはなりません。正しく子供に呼びかけできるよう、今一度接し方をよく考えてみると良いでしょう。
【参考】