昼寝にもネントレが必要?ネントレと昼寝の関係は?

子育てをしていると必ず直面する赤ちゃんの睡眠に関する悩み。夜の寝かしつけはもちろんですが、お昼寝もまた難しい問題。昼寝をさせすぎると、夜なかなか寝なかったり、昼寝が上手くいかないと1日中不機嫌だったり。

昼寝のタイミングや昼寝のねかしつけ方にお悩みのママパパも多いことでしょう。夜のネントレについてはよく聞くけれど、昼寝とネントレの関係について気になっているママパパもいるのではないでしょうか。

この記事では

  • お昼寝が上手くいかなくて悩んでいるママパパ
  • 昼寝のネントレもした方がよいのか悩んでいるママパパ

に向けて、お昼寝とネントレの関係について解説していきます。

昼寝のネントレは難しい?上手くいかない理由

ネントレ中寝ない赤ちゃん

昼寝のネントレは夜に比べて難しい

「ネントレ」は「ねんねトレーニング」の略で、赤ちゃんや子どもの寝る力を上達させるためにする練習のことを指します。ネントレの方法は、名前がついているジーナ式、ファーバー式等有名なものもあれば、様々な方法を組み合わせたネントレまであります。

しっかりとスケジュールに沿って行うものもあれば、大きな負担にならないように行うものもありますが、基本的には夜のネントレから始めます。

夜のネントレは、赤ちゃんに合っていって、上手くいけば定着することも多いですが、昼寝のネントレはなかなか上手くいかないと感じるママパパが多いです。その理由について説明します。

睡眠のサイクルが短い

月齢が低ければ低いほど、睡眠のサイクルは短いです。睡眠サイクルが短いということはその度に浅い眠りが現れ、環境の刺激や寝つき方の影響を受けやすくなります。

上手く眠れないと睡眠のサイクルがどんどん崩れ、疲れすぎて上手く眠れないことも多くなります。また、空腹やオムツ、温度による不快感でぐずっているのかの判断がつきにくくなります。

ヒトは昼動き、夜休息する生物

基本的に人は昼間に活動し、夜は寝る生き物です。新生児期は昼夜の区別はありませんが、成長に伴って調整されていきます。

日の光を浴びることによってメラトニンという睡眠を誘うホルモンの量が調整され、夜は眠るようになり、昼は活動するようになっていくのです。そのため、夜のネントレは比較的スムーズにいくことが多いのですが、昼のネントレはなかなか上手くいかないのです。

毎日同じスケジュールで動くのが難しい

ネントレで大切なことの1つに、生活リズムを整えることが関わってきます。特に入眠前のルーティンはできるだけ毎日同じにしたいところ。

夜はそれほど大きくリズムが変わることはありませんが、昼間は毎日同じように行動するのは難しいですよね。平日か土日か、お出かけするかしないか、訪問者があるかないかなど、毎日同じ環境というわけにはいかないものです。それに伴って、昼寝のネントレはなかなか思うように進まないものです。

昼寝のネントレを始める前に、睡眠のサイクルを知ろう

ネントレ用メリー

赤ちゃんの睡眠サイクルを知ろう

ネントレを成功させるポイントは、眠そうなサインがあったらスムーズに入眠させることです。

昼寝のネントレを始めるには、それぞれの月齢の睡眠サイクルやトータルで必要な睡眠時間を知っておく必要があります。もちろん、赤ちゃんの睡眠時間はそれぞれ個人差があります。育児本やネントレ本に書いてあるようにいかなくても、赤ちゃんに異常があったり、成長に影響がでたりするというわけではありません。リズムがつかめるまでは、育児ノートやアプリなので記録をとっておくと、ネントレをはじめる際に参考になりますよ。

誕生~生後1ヶ月頃の睡眠時間

生後1ヶ月までの赤ちゃんの睡眠時間は、約15時間~20時間。

1日のほとんどを寝て過ごします。睡眠のサイクルは2時間~3時間ごとに睡眠→授乳→排尿・排便を繰り返しています。

このころは、無理に生活リズムを整えようとする必要はなく、産後の体を休めつつ無理のない範囲で赤ちゃんのお世話をしていくことがおすすめです。

生後2ヶ月~3ヶ月の睡眠時間

生後2ヶ月~3ヶ月頃の赤ちゃんの睡眠時間は、約14時間~15時間。

一度に飲めるミルクの量が増えるので、その分長く寝られたり、ご機嫌に起きている時間が増えたりしていきます。

昼と夜の区別が少しずつついてくる赤ちゃんも多いようです。朝起きたらカーテンを開けて、「おはよう」と声をかけたり、夜寝る前に「おやすみ」と声をかけたりすることを意識すると、赤ちゃんの睡眠のリズムが整いやすくなります。

生後3ヶ月~6歳頃の睡眠時間

生後3ヶ月~6ヶ月頃の赤ちゃんの睡眠時間は、約13時間~14時間。

よりまとまった時間睡眠をとれるようになり、昼夜の区別がついているのがはっきりと分かるようになってきます。

夜に5~6時間まとめて寝ることが増え、夜の授乳が必要なくなる赤ちゃんもいます。個人差はありますが、体内時計が整ってくるので、夜のネントレを開始するのは生後5~6か月ごろが目安と言われています。

生後6ヶ月~1歳頃の睡眠時間

生後6ヶ月~1歳頃の赤ちゃんの睡眠時間は、約11時間~13時間。

昼間はおもちゃで遊んだり、お散歩で景色を楽しんだりできるようになります。昼間の活動が活発になることにより、自然と夜長く寝られるようになります。しかし、同時に夜泣きや寝ぐずりが目立つようになることがあります。

はっきりとした原因が分かっていませんが、体の動きが活発になり、刺激が増えたことや、脳や身体の急激な発達によるものではないかと考えられています。夜のネントレが上手くいき始めた赤ちゃんは、入眠がスムーズになってくることもあります。

昼寝のネントレを成功させるポイント

ネントレ中の親子

生活リズムを整える

赤ちゃんのお世話の大前提ですが、できる限り生活リズムを整えることです。月齢と赤ちゃんのペースを見ながら、授乳、お昼寝、食事、入浴、お散歩等のリズムを整えていくのが理想的です。

しかし、実際には日中はなかなか同じように動くのは難しいことが多いでしょう。夜の睡眠の方が、リズムが整いやすく、眠りにつきやすいので、夜のネントレから始めるようにしましょう。

疲れすぎる前に寝かせる

赤ちゃんが寝ぐずりをしてから寝かしつけに入りがちですが、できるだけウトウトしていて、もうすぐ寝そうだというタイミングでベビーベットやお布団におろしてあげるのが理想的です。

「上手く寝付けない」→「泣く」→「抱っこや授乳」を繰り替えると、「眠る前に泣く」という習慣がついてしまいます。赤ちゃんが眠そうなタイミングを上手く見つけられるようにしましょう。

午前中体を動かす

体内時計が発達し始めた生後4か月ごろからは、午前中体を動かすことを意識しましょう。日中はなるべく明るくして、月齢に合わせた遊びを行うと、赤ちゃんの体内時計も整いやすくなります。

午前中しっかりと体を動かしちょうどよい時間に昼寝をすることで、夜の睡眠の質も高まります。逆に、お昼寝が夕方になりすぎると、夜になかなか眠れないことが多いので、時間帯も意識するとよいでしょう。

入眠儀式をルーティン化する

夜のネントレで上手くいっている入眠儀式があれば、それをお昼寝にも試してみるとよいでしょう。子どもの呼吸に合わせてトントンしたり、絵本を読んであげたり、心地よい音楽を聞かせてあげたり、安心する毛布にくるまったり。

入眠しやすい方法は、赤ちゃんの好みによって様々です。また、「今からねんねするよ」という声かけをするのも、低い月齢から意識しておきましょう。

睡眠環境を整える

昼寝をする場所を決めておくようにしましょう。ママパパの生活パターンにもよりますが、夜寝る場所と同じ場所の方が安心して眠れる赤ちゃんが多いようです。

できるだけ部屋は暗くし、静かな場所でお昼寝をすると、質のよい睡眠がとれます。夜に比べて、生活パターンが異なるため、なかなか習慣化しにくいですが、できる範囲で決めた場所で寝ることを意識しましょう。

冬や夏は、室温管理にも配慮するとよいです。また、お昼寝の間はインターホンや電話の着信音はoffか小にしておくのがおすすめです。

まとめ

ネントレで眠る子

赤ちゃんにとって欠かせないお昼寝。お昼寝がスムーズなことは、赤ちゃんの成長にとってよいのはもちろんですが、ママパパにとっても大切なことです。特に、産後の体に寝不足が続くママにとって、体を休めたり、自分の時間をとったりする貴重な時間です。夜のネントレが上手くいって、赤ちゃんの睡眠のサイクルがつかめてきたら、昼のネントレにもチャレンジしてみてくださいね。

ネントレについてはこちらのコラムでさらに詳しく解説しています▼

ネントレとは?いつから?【公認心理師】が睡眠と子どもの成長とネントレ(ねんねトレーニング)について解説

 

【参考資料】
岡田(有竹)清夏「乳幼児の睡眠と発達」心理学評論.2017. Vol. 60, No.3, p216-229

笹木 葉子 エビデンスに基づいた育児情報の検討 : 乳児期の 睡眠覚醒リズムの確立
2005.Vol. 12, p 69-74

中川 敦子,鋤柄 増根 乳幼児期の睡眠・覚醒と気質の 制御機能の関係について ―生後1ヵ月から3歳までの縦断研究―2016. Vol. 75, No.6, p775~781

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【監修】 公認心理師YUKA久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。