みなさんは子供と向き合うのが忙しく時間が取れない時や、自分に余裕がない時、子供の呼びかけを無視したり泣いている子供と距離をとるために放置したりしたことがないでしょうか?
「本来はやってはいけないことだけど…」と自覚はあるものの、育児に向き合う時間や気持ちが持てない時は必ず起こります。この時思い起こされるのが「育児放棄」。しかし、育児放棄の意味を正しく理解していますか?
そこで今回は育児放棄意味や育児放棄が子供に与える影響をご紹介します。
育児放棄意味とは?詳しく解説
まずは育児放棄の意味を知っておきましょう。育児放棄(ネグレクト)とは何かを解説します。
育児放棄(ネグレクト)とは?
育児放棄とは英語でいうと「ネグレクト」。子供を育てるママなら一度は耳にしたことのある言葉かもしれません。
育児怠慢とも呼ばれているこの行為は、幼児虐待のひとつ。虐待というと暴力を振るったり子供に不適切な声掛けを繰り返したり、怒鳴ったりなどを思い浮かべる方は多いでしょう。
これらは子供に害を与える虐待のこと。しかし、育児放棄だけは子供に「与える」のではなく、子供が生きる上で必要となる育児や心のケアを「与えない」虐待です。
例えば、
- 外に出さない、家に閉じ込めたままにしている
- 食事を与えない
- ひどく不潔にし、その状態を改善しない
- 病気にかかっても受診させない、そのままにする
- 自動車の中に放置する など
これらはすべて育児放棄と言えるでしょう。
ネグレクトには4種類ある
先ほど一例を挙げましたが、一概に「これがあれば育児放棄である」と行為そのものが定められているわけではありません。ネグレクトに限って言えば、大きく4種類に分けられます。
身体的ネグレクト
子供は生きる中で、どうしても自分ひとりで衣食住を整えられません。小さな子が栄養バランスのとれた食事を購入し、作って、食べるのは不可能ですよね。また、季節に合わせた過ごしやすい衣服も重要ですし、住まいは基本的な部分です。
これらのどれかでも与えない、放置するのは身体的ネグレクトと呼ばれています。
情緒的ネグレクト
いくら生活の最低限は与えていたとしても、親として子供に贈るものはこれだけではありません。子供を愛している、大切に思っているという「愛情」も親が絶対に与えるものです。
情緒的ネグレクトは愛情を適切に子供に伝えない、子供の呼びかけをわざと無視するなどする行為です。
医療ネグレクト
言葉通り、医療ケアを行わないのが医療ネグレクトです。発熱していたり怪我を負っていたり、明らかに病院の必要性があるのに受診させないのも虐待のひとつ。ただし、ママの判断で「病院受診は様子を見よう」と一般的な判断をするのは、ネグレクトとは言えません。
例え医療ケアをしなくても、家庭で行えるケアは必要です。これらも放置しておくと、子供の命に危険が及びます。
教育的ネグレクト
例えば子供が「小学校に行きたい」と伝えているにもかかわらず、自宅に閉じ込めて通学させなかったり、在宅教育を怠ったりするのが教育的ネグレクトです。親には子供に教育を受けさせる義務があります。
SNSでのネグレクト体験談には「高校受験料を支払ってくれず、自分でお金を用意したが受験当日に行かせないよう阻止された」というものもありました。これももちろん虐待で、親が子供の望む教育環境を与えないのは、あってはならないことです。
育児放棄は子供にどんな影響が出るの?
育児放棄意味を知ると、ネグレクトは子供にどんな影響を与えるのか分かるママも多いかもしれません。育児放棄にはさまざまな種類があり、家庭環境によって内容も異なります。
一概には「こんな影響が出る」とは言い切れませんが、悪い影響しか与えないのは事実です。今一度、ネグレクトを受けると子供はどうなるのか考えてみましょう。
体が十分に成長できない、栄養失調になる
子供に適切な食事を与えなければ、体は十分に成長できません。免疫力が上がらないために風邪を引きやすくなりますし、栄養失調になる可能性も高いです。
ネグレクトを受けた子供の中には、平均身長・体重を大きく下回る子もいます。放っておくと大きな病気を引き起こしたり将来の健康にもかかわったりするため、子供の栄養状態には常に気を付けておかなければなりません。
好奇心ややる気の低下、自己肯定感が育まれない
愛情を与えられない子供は、「何をやっても認められない」と諦めがちでさまざまな意欲・好奇心を失います。
以下のブログでは自己肯定感の育み方をお伝えしました。みなさんも育児をするにあたって「自己肯定感を高めたい」と願う方も多いでしょう。
自己肯定感とは「自分自身はそのままでいい、自分が自分でいてもいい」という意識のことです。愛情を与えられず育つと、自分を認める力が弱くなり自己肯定感も育ちません。
教育不足による学力低下、言語発達の遅れなど
教育的ネグレクトがあれば、周りよりも学習が遅れ学力低下が気になることもあります。赤ちゃんはママやパパが話しかけることで言葉やコミュニケーションの仕方を覚えますが、育児放棄があれば言葉を学べず、言語発達の遅れも目立つように。
学習に対する意欲や集中力の低下も育児放棄が原因であることもあります。集中力がないと座学ができなかったり学習をしたいのにうまくいかなかったりと、子供にとって悪い影響が出るでしょう。
育児放棄ではなく「程よく手間抜き」して子供を見守る方法
育児放棄が子供に与える悪影響。そう思うと「よりしっかり子供を見ていないと!」と気持ちを新たにする方も多いでしょう。
もちろん子供と向き合う時間を増やしたり、子供との生活を見直すのは大切です。ただし、どんなママも経験があるように「育児放棄とまではいかないけれど、子供と十分に向き合えないとき」がありますよね。根詰めて育児をこなしていると、ママ自身の時間もなくなり気持ちの余裕がなくなり、結果として子供を強く怒ったり不適切な対応をしたりする可能性も考えられます。
そこで、最後に育児放棄ではなく程よく育児の手間抜きをする方法をご紹介しましょう。ポイントは以下の「3つの愛情」を意識することです。
支援する愛情
育児放棄はやってはならないことですが、いつか子供は自立しないといけません。ママの助けなく自分の生活が送れるよう、子供が成長するために最低限必要なことをサポートしてあげましょう。
これは過剰にケアし自分のコントロール下に置くのではなく、子供を助ける「支援する愛情」です。自立するためにはどんな声掛けが必要か、また子供が自分でできるようにするにはどうすればよいかを考えながら向き合うと良いでしょう。
理解する愛情
次は「理解する愛情」です。「まだまだ子供は小さいから」とママが何もかもやってあげるのは、子供を信じていない証拠です。もちろん危険が及んだり社会的・家庭的なルールやマナーに反することはきちんと教えるべきですが、子供の立場になり、子供を理解するのは大切なポイントと言えます。
また、子供を信じてよい意味で育児の手間抜きをするもの大事ですが、子供が精神的に甘えてきたりママを求めていたりする時は手放しで愛してあげましょう。このような適切な向き合い方は、子供を理解できると「今はこうしたらよいのかも」と分かるようになるかもしれません。
自分への愛情
最後は自分への愛情です。育児放棄は起こってはなりませんが、社会的な情勢や家庭内の状況によっては「防ぐのが難しい」側面もあるかもしれません。ママの気持ちに余裕がなかったり産後うつなど情緒不安定に陥っていれば、子供に適切な育児は与えられません。
まずは、子供を愛するために自分を愛して大切にしましょう。ママが笑顔でいることで、子供の笑顔も増えます。最近自分の時間が取れず、子供にもイライラしてしまうという方はパパや周囲のサポートを頼って子供との距離をとるのも大切。体調不良が続く方は、育児よりもまず自分へのケアを優先して、状態がよくなってから子供と向き合いましょう。
また、自分への愛情には「正しくSOSを出す」のも含まれます。どうしても子供がかわいいと思えない、育児放棄しそうになるのなら、早めにしかるべき相談場所・窓口に頼りましょう。
まとめ
育児放棄意味や育児放棄が子供に与える悪影響をお伝えしました。育児とずっと隣り合わせで過ごしているママにとって、自分に余裕がない時こそ「これって育児放棄かしら?」と不安になるものです。
まずは誰しも育児放棄してしまう可能性はあること、また育児放棄が子供に与える影響を正しく理解し、その上で子供とどう向き合えば良いかを考えてみましょう。子供のことだけでなく、ママは自分を大切にするのも忘れないでください。
【参考】