子供の行いは親の責任といいますが、「子供をずっと見ておかないといけない」のは一体何歳までなのかご存じですか?
小さな子供は当然一人では生きていけません。ママやパパに衣食住をサポートしてもらい、言葉や振る舞いなどを教えてもらって、愛情をたっぷりもらいながら成長します。この子供に必要なものがひとつでも欠けると「育児放棄」になり、虐待です。
しかし、いつまでも親が面倒を見るわけにもいかず、いつかは子供も自立しなくてはなりません。すると「育児放棄何歳まで?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
今回は育児放棄何歳までなのか、また育児放棄と自立を促すしつけの違いについてご紹介します。
一体、「育児放棄」何歳まで?
子供には育児が必要です。しかし、ある程度成長すると親が口を出せることは限られてきますよね。そしていつかは、親元を離れて一人で生きていきます。
まずは育児放棄何歳までなのか、考えてみましょう。
国内の法律では18歳から成人とみなす
育児放棄何歳かの前に、子供に対する「育児」はいつまで必要なのでしょうか。多くの方が「成人したら自立する」「成人後には“育児”は必要ないかも」と感じるかもしれません。
法律では2022年4月以降18歳から成人しているとみなされます。育児や子供に対するケア・サポートが必要なのが「成人まで」と考えるなら、18歳以降と一応は決まっています。
しかし、18歳になって突然経済的にも自立し、親の力が必要なくなるかというとそうではないはずです。18歳だとほとんどの子供が高校卒業を迎えますが、大学に入ると「学生」なので親からのサポートが必要な場面はいくつもあるでしょう。例え就職し働いていたとしても、社会経験の少ない18歳からいきなり親の支援なしで生きていくのは難しいです。
一概に「○歳以上は子供へのケア・サポートが必要ない」とは言い切れません。その子の育った環境や現状を見て、何歳になっても子供に対する支援する気持ちは必要です。
育児放棄(ネグレクト)は18歳までの児童が対象
では、育児放棄であるネグレクトは何歳までが対象なのでしょうか。これは児童虐待防止法によって年齢が決められています。
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
厚生労働省 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)
つまり、18歳までの児童が育児放棄の対象です。18歳までは必ず親は子供の衣食住を整え、子供の生活を守らなければなりません。自分が育児できない状況であれば相談機関を利用し、子供の命と生活は確保するのが当然です。
育児放棄?しつけ?その境目とは
「18歳までは子供を育てる義務がある」のは法律で決められたことです。しかし、気を付けたいのは「何でも子供の面倒を見すぎてしまい、完璧主義に育てる」のはNGということ。みなさんの中には、「子供には自由に育ってほしいから、基本的には口を出さず放っている」という方もいるかもしれません。
確かに子供を信じて「放置する」のは時と場合によっては、子供の自立心を促すこともあります。ただし、行き過ぎると育児放棄に他なりません。
次は、育児放棄としつけの境目を解説します。
そもそもネグレクトとは
育児放棄(ネグレクト)とは、児童虐待のひとつであり子供を無視したり必要な育児を怠ったり、愛情をかけずに育てたりする行為を指します。
子供に加害するのが虐待というイメージが強いですが、ネグレクトはその反対で子供に必要なものを与えません。最近ではネグレクトの相談件数や発覚件数も増えてはいるものの、親子間でネグレクト状態が普通になっており、互いに「虐待している意識」「虐待されている意識」がなかなか芽生えないのも特徴です。
親は「しつけ」でも子供が「虐待」と思えば虐待に
では、子供に適切なケア・サポートを行わない育児放棄と自立を促すための子供へ行うしつけの違いは何でしょうか。
そもそも、しつけか虐待かどうかは子供が判断します。厚生労働省では、親から子への虐待があった場合に重要なポイントは「子供の立場になって判断するべき」としています。
「虐待をする親の中には、「しつけのつもりだった」と話す方が少なくありません。しかし、親がいくらしつけのつもりでも子供にとって虐待だと感じれば、不適切な育児と言えます。
2つのネグレクトとは
「もう育児を続ける自信がない」「子供と向き合えない」とママが感じたときに思い返される育児放棄。この育児放棄は状況によって2種類に分けられます。いずれも子供が悪いのではなく、親が「子供を育てられる状態」ではないと言えるでしょう。
積極的ネグレクト
経済的な問題もなく、周囲にもサポートやヘルプが出せる状況にもかかわらず、自分の考えで育児放棄するのが「積極的ネグレクト」です。
- 自分が遊びに行きたいので、子供を自宅に閉じ込めて出かける
- 子供がいうことを聞かないので、食事を抜く。お世話をしない
などが積極的ネグレクトに当てはまるでしょう。
消極的ネグレクト
積極的ネグレクトとは反対に、経済的に生活が困難だったり親が心身ともに育児できる状態でない場合に起こる育児放棄が「消極的ネグレクト」です。
- 仕事がなく経済的貧困で、子供のお世話ができない
- 自分自身がネグレクトを受けており、適切な育児というものがわからない
などが消極的ネグレクトに当てはまるもの。2種類の育児放棄はすべて親の責任とは言い難く、社会的な情勢や環境も影響するでしょう。しかし、経済的に困ったら相談機関を利用したり、経済支援を申し込んだりと手段を講じて育児を続けることはできます。
親になった以上、子供をネグレクト状態に陥れてはならず、大人が子供の養育環境は守っていかなければなりません。
育児放棄せず子供の自立を促すには
育児放棄はあってはならないこと。ですが、いつまでも子供の面倒を見て、自分の思うように子供に指示を出せば良いのかというとそうではありません。また、育児放棄になるまで放っておけば子供は自立するのかというと、これも違うことが分かります。放置すれば子供が自立するのであれば、どのママも「子供の自立心が育たない…」と悩まないからです。
過剰に子供のやることなすことに口を出すのはNGですが、子供の自立は促したいですよね。これは「子供を信じて、見守る」のがポイントです。
育児放棄せず、子供の自立を促すにはどう接していけばよいのかを考えてみましょう。
子供を信じて「先回りして」教えないようにする
子供を過剰に見るというのは、親が先回りして教えることを指します。まだ遊んでいないおもちゃに対して、「こうやって遊ぶんだよ」と遊んで見せたとしましょう。子供はおもちゃの正しい使い方は学びますが、それ以外の方法では遊ばなくなります。もちろん危険が迫っていたり、周りに迷惑をかけていたりする場合は先回りして教えても良いのですが、必要以上に子供に教え過ぎないように気を付けるのもポイントです。
- 雨が降りそうだな、と思ったら子供に遊び続けるか、家に帰るか決めてもらう
- 宿題を先にするのか、遊ぶのを先にするのか自分で選んでもらう
「何でどう遊ぶのか、その決定権は子供に託す」「選ばせるようにする」など、子供を信用して先回りして教えないように心がけてみましょう。すると、子供も「ママに言われたから」と責任転嫁することなく「自分が決めたことだから」と選択に自信が持てるようになります。
精神的に甘えてきた時は必ず答えてあげる
「突き放す」のが自立を促すのではありません。子供は何歳になっても、精神的に親に甘えて安心したいときがあります。「○歳になったのに、もう甘えないの」と拒絶するのではなく、素直に子供の気持ちを受け入れましょう。
時々、一人でお支度もできるようになった小さな子が「今日はママに手伝って欲しい」と言い出すときもあります。「一人でできるようになったでしょう」「一人でやらなきゃダメだよ」と否定する前に「今日は手伝って欲しい日なんだね」と気持ちを代弁して、サポートするのも重要です。
ルールやマナーを根気強く教える
子供の自立を促すためには、親が教えなければならないことがあります。それは社会に出ると「我慢する心」は必要で「ルールやマナー」は守らないといけないということ。周りの子に迷惑になるようなことや、周囲が嫌がることをさせてはいけません。「子供の自由な心を尊重して」と子供に敢えて注意しない方もいるかもしれませんが、将来子供が一人で社会を生きていくためには、ルールやマナーを知っておくのは必須です。
一度で聞く子はいません。時には何度も教えなければなりませんが、根気強く教えるようにしましょう。
失敗しても優しく受け入れる
子供の失敗は、人生経験が長いママから見ると「ほら失敗した!」「だからダメって言ったのに!」と歯がゆい思いをするかもしれません。しかし、その気持ちを声にして伝えるのではなく「挑戦したことが偉い」「次はうまくいくよ、よく頑張ったね」と過程を褒めてあげましょう。
失敗は子供にとって怖くて恐ろしいものです。ママは優しく受け入れてあげて、「失敗しても大丈夫」と子供を安心させてあげるとよいでしょう。
まとめ
育児放棄何歳から?これって育児放棄?と、気になる疑問を解説しました。育児を手放したくなるときや、子供との向き合い方に悩み正解が分からない、と立ち止る経験はママなら一度はあるかもしれません。
そんな時は子供の意見を尊重しながら、子供を見守りママ自身も自分を大切にしましょう。育児放棄は子供のことを考えているママなら、必要以上に怖がることはありません。ただし、リスクを正しく理解しておきましょう。
【参考】
児童虐待、過去最多の20万件 前年度より5.8%増:朝日新聞デジタル