母親として生活する中で、育児がうまくいかない、ママとして上手にできない…と自己肯定感の低さで生き辛さを感じることは多いです。育児や家事、家族のために暮らすママのやることはたくさんあるのに、認められるシーンが少ないのも原因でしょう。
今回はそんなママを苦しめてしまう「べき思考」とは何かを解説します。こうした「自分で自分を苦しめる行動」を変える認知行動療法とはどんなものか、心理学の視点からわかりやすくご紹介します。
ママが無意識に苦しむべき思考、認知のゆがみとは?

育児中のママにはよく起こりがちな「べき思考」。これは自分自身を苦しめてしまう思考のクセとも言われています。
まずはべき思考とは何か、わかりやすく解説するので一緒に考えてみましょう。
「すべき」と考えてしまう思考のクセ
簡単にいうと、べき思考とは語尾に「○○するべき」と付けてしまう思考のクセです。育児をする中で、
と無意識に思っていないでしょうか。
言い換えると「○○でなければならない」と言えますが、確かに正しいことはあるとはいえべき思考は行き過ぎると自分自身や他人に対するハードルを上げてしまい、理想と現実とのギャップが気になりストレスを溜める結果になります。
ママなんだからと自分を苦しめてしまう
なぜ育児中のママこそ「べき思考」を考えて欲しいのかというと、ママとは世間でのイメージが定着しているからです。例えば子どものいるママは、「食事の支度をする役目。育児や子どものしつけはママの係。ママ友やご近所付き合いをして、ママらしい格好をする」というイメージが少なからずあるかもしれません。この「ママとしての当たり前」はすべての母親ができるかというと、それは当然違います。
しかし、ママの中にも「ママ像」が定着しているために、自分の中で「ママだからこんなことをしたらいけない」と制限を作ってしまいます。べき思考に陥りやすいのは、育児に家事にと忙しく「しなければならない」という常識がママを苦しめているからです。
子どもは、家族はこうあるべきと周りに影響することも
べき思考がママ自身を苦しめてしまうこともありますが、行き過ぎると家族にも影響してしまいます。
子どもは「子どもはこうでなくてはならない」と育てられることで、本当に自分の好きなものを楽しめなくなるかもしれません。もちろん生活習慣に対する「べき」には正しいものもありますが、例えば「女の子はかわいい服装を着るべき」「男の子はスポーツをするべき」という決めつけは、子どもの自由な言動を奪ってしまいます。
パパにとっても、「家族はこうあるべき」とママが張り切ることで自分の本意ではないことばかりになり、疲れてしまうかもしれませんね。また、「食事の準備はママがやるべき」と認識を持っていたら、できない日は「どうして食事の準備ができていないの?手を抜いてるんじゃない?」とイライラしてしまうかもしれません。
このようにべき思考はクセになりやすい上に気づきにくく、さらにデメリットの多いものだと考えられます。
認知行動療法とは?

では、べき思考をやめたい、手放したいと思っていてもなかなか思考のクセは取れません。これは認知という「考えて行動する」という行為が正しくできなくなる「認知の歪み」が起きているからです。
歪みという名前が付いているからこそ、矯正して問題のない方向に持って行くことができますが、ここで「認知行動療法」が使われます。ママの中で心の病気にかかった、精神的に参ってしまって治し方を調べたという方は、聞いたことがあるかもしれません。
この認知行動療法とは何か、べき思考を止めるためにはどんな治療法があるのかをご紹介します。
産後、育児うつを治すための考え方
認知行動療法とは、
認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種
認知行動療法とは|認知行動療法センター
です。少し難しい表現なので分かりやすく言いなおすと、「悪い方向に考えてしまうので、良い考えができるようにサポートする」という形になります。
育児中のママにとっては、認知行動療法は産後うつや育児うつを治すために使われるでしょう。心が風邪を引いてしまうと、自分のすることなすことすべてに自信が持てなくなり、何もできないし考えられなくなります。症状はさまざまですがママにとってはこの状態は「育児をしなくてはならない」ためにとても危険であり、早くうつ状態から回復するために活用されます。
素直な自分の考えに目を向け、現実とどれほど食い違うかを検証する
認知行動療法とは、具体的にどんなことをするのでしょうか。認知行動療法の基本は「辛くなったときにどんな考えをするかを客観的に知り、現実とどう食い違っているのかを検証する」です。
精神科やカウンセリングでは認知行動療法として、患者と話し合ったりグループワークを行ったりして認知の歪みを治していきます。こうした「面接場面」はもちろんのこと、患者自身も日常生活の中で歪みを見つけて正していく意識が必要と言われています。
やり方は医師やカウンセラーによってさまざま。また患者によっても効果が出る方法は異なるため、一概には「認知行動療法はこう」とは言い切れません。
「べき思考」に効果的な認知行動療法とは?
では、べき思考を止めようと思っているのにとまらないという場合には、どのような認知行動療法が使われるのかというと、先ほどの「カウンセリングやグループワーク」がほとんどです。精神科やカウンセリングで認知行動療法が実施されますが、中には患者と話す中で「今べき思考になっていましたよ」と指摘するだけのこともあります。
たったこれだけですが、第三者から冷静な意見をもらえるのは大きな気づきになることも。認知行動療法は症状によって長い期間がかかることもありますが、根気強く自分の歪みを認めて受け入れることが大切と言われています。
家庭でもできる「べき思考」の直し方

認知行動療法でも治せるべき思考ですが、誰もが認知行動療法をすれば即治るというわけではありません。家庭や個人でもべき思考から少しずつ離れる意識は持てるため、家庭でできるべき思考の直し方を見ていきましょう。
「本当にこれをするべき?」と一度疑う
べき思考に気づくきっかけは、「疑う」ことです。本当にこれをするべきなの?これをしないと絶対にダメなの?と自分の常識を一度疑ってみましょう。
- 子どもは20時までにどうしても寝なきゃいけないの?
- この遊びを止めさせたら、本当に子どもは頭がよくなるの?
- ママだからって派手な格好をしたらいけないの?自分の趣味を持つのは悪いことではないのでは?
さまざまな反証ができますが、当たり前のことだからこそべき思考は簡単にやめられるものではありません。ただ、べき思考に気づくと「私はなんて自分を苦しめていたんだ」と理解できるかもしれません。
失敗やうまくいかないことを認めて許す
「○○すべき」と考えていると、できなかった場面や失敗に対して許せない感情が起こりやすいです。「子どもは早く寝るべきって考えていたのに、また遅くなってしまった…。私のせいだ」と自分を責めてしまうママがいるからこそ、この失敗も「たまにはそんな日もある」と認めて許してあげましょう。
もし失敗を自分で許すことができれば、そこにある「べき思考」に気づけます。「まあいっか」と思えることがうまくなると、自然とべき思考が少なくなりママの暮らしもずっと生きやすくなるかもしれません。
「べき思考」をゼロにするのではなく減らす意識を持つ
べき思考を止めようと思うと、ママはこう感じるのではないでしょうか。
「べき思考をやめるべき!」
真面目でしっかり者のママこそ、このように「悪い考え」を完全に排除しようとしてゼロに持って行く意識が働きます。しかし、当然ですがべき思考や認知の歪みはゼロにできるわけではありません。
何事も極端に考えすぎず、「あ、今べき思考になっていたな。次はやめておこう」と減らすようにしてみましょう。その方がずっと気楽になり思考にも余裕ができるため、べき思考を止めることができるのです。
まとめ
べき思考とはママの生活、子どもの生活から家族の生活まで、言動を制限してしまうあまりよくない思考のクセです。認知行動療法によって改善もできますが、何よりも自分自身で気づき意識を変えることで、ママのストレスは軽減できます。
毎日が生きづらい、うまくいかないと悩むママこそ、この記事を参考にもっと気楽に育児と向き合える環境を目指してみてくださいね。
【参考】
べき思考を手放すには?認知のゆがみを生む原因や具体例、改善方法を紹介 丨コグラボ- Cognitive Behavioral Therapy Lab
「母親なんだから○○するべき」「子どもは○○するべき」「家族とはこうであるべき」