子どものやる気を最大限引き出す方法とは?モチベーションを正しく学ぶ

自己認知 子ども

子どもに意欲的な活動をして欲しい。勉強をもっと楽しく学んで欲しいし、さまざまなことに挑戦させたい!こう思うママがほとんどです。

しかし、ママ達の子どもに対する意欲はほとんどが空回り。なぜなら、子ども自身がやる気、モチベーションがないと物事は続かないからです。

今回はそんな子どもの「やる気」に注目します。子どものやる気の引き出し方、モチベーションを保つための要素、ママが今すぐ子どもにできることを解説します。

本記事は心理学者ウィリアム・スティクスラッドと教育者ネッド・ジョンソン著『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』を参考にしています。

この記事は以下の方におすすめです
  • あれこれ工夫するけれどいまいち子どものやる気が感じられないママ
  • 子どもがやる気になる条件が知りたいママ
  • 自分自身もモチベーションの維持が難しいママ
この記事では以下のことがわかります
  • 子どものやる気を引き出す方法
  • 正しい褒め方、やる気の出る声かけ
  • 大人にも役立つモチベーションの保ち方

子どものやる気、どうやって引き出す?

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いくらママが勉強を進めたりスポーツクラブに子どもを加入させても、子どものやる気がなければなかなかうまくいきません。子どもと一緒に過ごすママにとって、心当たりがある問題ですよね。

そこで、まずは子どものやる気をいつもどうやって引き出しているか私たちのやり方を振り返ってみましょう。その上で、モチベーションの種類を解説します。

褒める、おだてる

  • 「〇〇ちゃんはお兄さんだからきっとできるよ!」
  • 「すごく上手に絵が描けるからもっと上手に描いてみようよ!」

こうした褒め方は、無意識にやってしまうものです。

褒めると子どもはもちろん喜びます。ママが喜んでくれるから、とやる気を出してくれることでしょう。

しかし、「褒める」というのは実は怖い行為。褒め方によっては子どもは「もっと褒められるはず」「もっとママが喜んでくれるはず」と思うようになり、次第にやる気をなくしてしまうこともあります。

褒めるというのは子どものやる気を一時的には引き出せるのですが、やり方には注意が必要といえるでしょう。

ご褒美を用意する

次はご褒美を用意するやり方。「これができたらおやつをあげる」「できたらおもちゃを買ってあげるよ」といったご褒美、意外とやってしまうものですよね。

確かにこの方法も子どものやる気を一時的に高めます。大人でもご褒美があれば頑張れるもの。しかし、おもちゃやおやつなどのご褒美は限りがあるものであり、いつも用意することはできません。

このご褒美によってやる気を引き出すのが、かえって逆効果になる現象を心理学では「アンダーマイニング効果」と呼びます。

例えば「喜ばれるから絵を描いていた。その絵を仕事にして報酬をもらえるようになると、報酬の良し悪しで絵を描くかを決めてしまい、途端に楽しさを忘れて苦痛になる」という現象も含まれます。ご褒美は効果的とはいえ、こちらもやり方に気を付けないといけません。

内的モチベーション、外的モチベーションとは?

褒める、ご褒美を与えるというやる気の出し方は多くのママが採用する方法です。しかし、ここではモチベーションの仕組みを考える必要があります。

やる気を考えたときに、「内的モチベーション」「外的モチベーション」の2つを考えてみましょう。

<内的モチベーション>

何かをしたいからやる気を出すこと。前向きなモチベーション。

<外的モチベーション>

何かをしなければならないからやる気を出すこと。目的があれば引き起こるモチベーション。

褒めること、ご褒美をあげることはまさに外的モチベーション。この記事でお伝えしたいのは、外的モチベーションではなく内的モチベーションを高める方法です。

内的モチベーションは継続しやすく、さらに目的や報酬が必要ないためいつでもやる気が出せます。内的モチベーションに長けている子は自分でやりがいが見いだせるため、幸福度が高くなるのも特徴です。

モチベーションを高めるための4つの要素

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内的モチベーションを高めよう!と思っても、思いつくのは「褒めたりご褒美を与えたり」というやり方ですよね。理屈がわかっていても、この内的モチベーションはなかなか教えるのが難しいものです。

ここからはやる気を引き出すための内的モチベーションを高める4つの要素をご紹介します。

正しいマインドセット

まずは「マインドセット」です。マインドセットとは考え方、心がけという意味を持ち、モチベーションを高めるためには「成長型マインドセット」が必要といわれています。

この成長型マインドセットは、心理学者のキャロル・S・ドゥエックによると「子どもを褒めること」によって備わります。

褒めるのはNGでは?と思うかもしれませんが、ここでいう褒めるのは「結果を褒める」のではなく「子どもが見せた努力や方法を褒める」ことを指します。

  • ここまでできたことがすごいよ!
  • 頑張ったね!
  • このやり方があなたらしくて素敵だね

など、子どもの行動の結果ではなく過程や能力そのものを褒めるようにしましょう。

自律性、有能性、関係性

自律性、有能性、関係性はどの要素も大切ですが、特にモチベーションを高めるには「自律性」が必要です。簡単にいうと、自律性とは「自分自身をコントロールする力」のこと。例えば、

  • 子どもに選ばせる
  • 子どもの意見を取り入れる
  • ルールを作るとき、子どもと一緒に考える

などの行動で自律性は高まります。

自分の行動に自分で責任を持つ。これが身につくと、自律性を高めモチベーションにつながるといえます。

最適なドーパミン濃度

モチベーションを高めるためには、脳科学の視点で見ると「子どもにとってモチベーションが高まる最高の瞬間」があるといいます。その瞬間とは、「自分がやりたいことをやっているとき」なのだそう。このとき、脳の中ではやる気の元になるドーパミンが最適な状態で分泌されます。

子どものやる気を引き出すために、手段やルールでがんじがらめにしていないでしょうか。やりたがらないことを強要し、やる気を削いでいるかもしれませんね。

1度ママ自身の「やらせたい」という意見を押さえ、子どものやりたいようにさせてみましょう。最適なドーパミン濃度がわかると、より子どものモチベーションを長く保てます。

フロー

フローとは、「退屈でない程度に難しいことで、ストレスを感じるほどは難しくない」という絶妙なプレッシャーのある状態です。このフローの状態はやる気が最大限に発揮されるといい、子どもに取り組んでもらうことはフローを基本に考えるとモチベーションが保てます。

「なんだか子どものやる気がない…」というのは、子どもにとって退屈すぎることではないでしょうか。反対に、ストレスを感じるほど難しいものなのかもしれません。

こうした物事のレベルは、人それぞれ異なります。もしわが子がいまいちやる気が出ないと思うなら、1度フローについて考えてみるのもおすすめです。

「やる気」のためにママが今すぐ子どもにできること

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子どものやる気のために、ママが今すぐできることをまとめました。3つのポイントにまとめたので、一つずつ見ていきましょう。

「やりたい」と「やりたいはず」の違いを説明する

子どもにとってやりたくないものは、当然やる気が出ません。しかし、朝の支度や宿題、お片付けなどどうしても「やらなくてはならないもの」はありますよね。

子どもが理解できる年齢なら、頭ごなしに「やりなさい」ではなく「あなたはやる気が起こっていないけれど、でもそれをやらなくてはならないことを知っているはず。本当は早く終わらせたいんだよね?」と聞いてみましょう。

一概にはいえませんが、「本当はやりたいはず」と言い聞かせると子どもにとって効果的な場合があります。「早く終わらせたい」と子どもの意思が確認できたら、そのためにママが手伝ってあげるとやる気は成功するでしょう。

やる気を出したときは思い切り褒める

褒めることは慎重に行わなければならないと説明しましたが、子どもは「褒められて嫌がる子はいない」のも事実です。やる気を出したとき、子どもが一つでもアイデアを持ったとき、「その行動こそが素敵だと思う!」と思い切り褒めましょう。

やるべきことを「本当はやりたいはず」と思い直し、失敗しても挑戦してみたその瞬間が最も褒めるべきタイミングです。ここで褒めると結果はどうであれ子どもにとっては成功体験につながり、次にチャレンジする力が湧きます。

どんな分野でもお手本となる人を見つける

できればママ自身がお手本となり、やる気を出す方法やその姿勢を見せるとベストです。しかし、大人だってずっと完璧ではいられないし、やる気が起こらないことだってたくさんあります。

そんなときは、子どもが楽しんでいるYouTubeの動画でも構いません。ゲームのキャラクターでも漫画の登場人物でも、どんな分野でもひたむきに頑張る姿勢を見せ続ける人はたくさんいます。

分野に限らず、お手本となる人を見つけると子どもにとってもわかりやすいですよね。我が家でも親子でアニメを見て、「このキャラクターみたいに頑張りたいなあ」とママのほうから声を出すこともあります。

まとめ

なかなか難しい子どものやる気を引き出す方法。何をやってもうちの子はダメみたい…と諦める前に、ママのほうからぜひアクションをしてみましょう。

本来子どもは想像力豊かで、自由に行動し柔軟な考えを持っています。その子どもの能力を見極めて認めてあげられるのはママの特権。ぜひ親子でモチベーションの仕組みを知り、育児に活かしてみてくださいね。

【参考】

『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』 ネッド・ジョンソン、ウィリアム・スティクスラッド著

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。