育児において、最も避けたいのが「ママが口うるさく指示を出す育児」です。こう言われると、心当たりのあるママもいるかもしれませんね。
とはいえ「じゃあ、口出しするなってことはどう子どもを育てたらいいの?」と疑問も感じます。今回は、強制しない子育てをするために「コンサルタント育児」についてを詳しく解説します。
コンサルタントとは何か、親は子どもにどうしつけをすればよいのか、今一度子どもに適した子育てとは何かを一緒に考えていきましょう。
本記事は心理学者ウィリアム・スティクスラッドと教育者ネッド・ジョンソン著『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』を参考にしています。
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「これをしなさい!」子どもはどう受け取っている?

つい、ママがやってしまう子どもに「これしなさい!」という指示。特に宿題が始まる小学生以降では、毎日のように「宿題しなさい」「勉強しなさい」とあれこれ子どもに口出ししてしまうかもしれませんね。
ただ、ママ達も経験があるように、この口出しはほとんど効果が見えません。一体子どもはどう受け取っているのか、子どもの目線になって考えてみましょう。
「ママは正解を知っているけれど、あなたは未熟だから知らないだけよ」
「早く宿題済ませなさいよ」「この勉強をしないと先生に叱られるよ」「こんなテストの点数で大丈夫なの?」こういったママからの言葉は子どもにとってはどう映るでしょうか。
大人の世界に置き換えてみると、少しピンとくるかもしれません。例えば勤務先の上司から「まじめに働くことがどれほど大切かわかってる?昇進したら、選択肢が増えるんだよ?家族のためにもなるんだからね?」と言われるとどういう気持ちになるか、想像できますよね。
「あなたに私の何がわかるの?口出してこないで!」と思うかもしれません。同じように、子どもにとっても口出しはこういったストレスを感じるものなのです。
大人の口出しは、子どもにとって「大人は正解がわかるから言ってあげてるだけ。あなたは子どもだから知らないだけよ」と思われてしまうものだと考えましょう。
これでは、いくらママが口出ししても思い通りにならないわけです。
「大人が怒っているのだから、これは大人の問題だ」
次は口出しに対するストレスではなく、責任の問題です。ママが「こうしなさい!これをやりなさい!」と指示をするたび、子どもは一見言うことを聞くかもしれません。なぜなら、ママが怒っていて怖いから。ママの怒りを鎮めるためです。
例えば宿題をしなさいと叱られて、子どもはママに怒られないために学習したとしましょう。この時点で「宿題は子どもの学習能力を上げるためのもの」という目的を忘れています。
「大人がこれほど怒っているのだから、これは大人の問題だ」と宿題を口出ししてきたママの問題にすり替えてしまうのです。
ママとしても、宿題は結局誰の責任でしょうか?子どもが宿題を忘れると、ママが誰かから叱られてしまうのでしょうか?そうではないことに気付けるはずです。
「結局何を選んでも無駄だ」
何をしてもママの口出しが収まらない場合、次第に子どもは意欲をすべて失くしてしまいます。「言われた通りに宿題をやったら、次はテストで好成績をと求められた。テストでベストを尽くすと、まだできる、まだできる…と口出しは止まらない」。この悪循環が始まると、最初はママが「子どものためを思って口出し」したのに逆効果になることがわかります。
当ブログでは自己肯定感についてご紹介しましたが、
「結局何をしてもママの口出しは収まらない。無駄だ」と諦めてしまうために、子どもの自己肯定感を下げているのです。
強制しない子育て「コンサルタント育児」とは?

とはいえ、子育てで一切子どもに口出しをしないというのは、現実的ではありません。
大人は適切なサポートをしながら、子どもの人生を豊かにするためのお手伝いをすることが重要です。このバランスが取れているのが「コンサルタント育児」といわれています。
「コンサルタントって何?」と思うママのために、この育児方法についてご紹介します。
優秀なコンサルタントって何?
コンサルタントとは、企業の営業成績を分析し「こんな事業を起こすとよいですよ」と提案したり、「この事業はこういう売り方をすると業績を伸ばせますよ」と指導したりする職業を指します。
優秀なコンサルタントは、お手伝いをする企業であるクライアントのことを隅から隅まで調べます。弱点から強みまで、どんな言葉で伝えると効果的かなどを分析する仕事です。
そして、コンサルタントの最大の特徴が「企業に対して正しいアドバイスはするけれど、決して強制はしません。困ったときは、全力で相談に乗ります」という立場であることです。
極端な話をすると、企業が倒産したとしてもコンサルタントは罰せられません。そして、優秀なコンサルタントは企業を倒産させず、強みを押し出して立派な会社へと育てます。
これって、親子関係に似ていますよね。だからこそ、本記事ではママに「優秀なコンサルタント」を目指して欲しいと提唱しています。
子ども(クライアント)を知ろう
優秀なコンサルタントになるためには、クライアントである子どもをよく知ることから始めます。
- どんな言葉で伝えると子どもはやる気を出す?
- 子どもにとっての強み、弱みとは?
- 子どもが抱える問題は、どうすれば子ども自身が乗り越えられる?
子どもを近くで見ているママだからこそ、気付ける視点は必ずあるはずです。
全力でサポートしよう
次に、優秀なコンサルタントのように子どもを全力でサポートしましょう。
- この子はスポーツが苦手なのだから、得意な絵画を伸ばしたらいいのでは?
- 宿題を午後にやると集中できない!じゃあ、午前中にやってみたら?と提案しよう
- 叱るよりも褒めるほうがずっとうまくいく。なら、もっと褒めるポイントを見つけよう
こう考えてみると、どんな優れたコンサルタントであっても「企業の社員」ではないために企業を完全にコントロールすることはできません。できることも限られていることに気付けますよね。
育児はビジネスではないという意見もありますが、「世界一クリエイティブな仕事」とも受け取れます。
今日からママができること

「コンサルタント育児」について何となく理解できたら、最後はこれからママが子どもにできることを考えてみましょう。
3つのポイントにまとめてご紹介します。
「これは誰の問題?」と一度考え直す
コンサルタントは確かに企業を助ける存在です。しかし、いくら親身になって向き合ってくれても、最終的に問題を解決し成功するのは「企業自身」です。
親子も当然それは一緒。子どもが宿題をせずに翌日先生に注意されるのは、子どもの責任です。まずは「これは誰の問題?」とママ自身も自分に尋ねてみましょう。
家庭が「安全基地」かを確認する
企業が新しい事業に参入したり、思い切った内部開発ができるのは、コンサルタントが分析し提案し、導いてくれるからこそです。また、倒産に陥った企業でも、優秀なコンサルタントは決して見捨てません。
ママもこれを参考に、子どもがいくら挫折を味わっても「家庭だけはあなたの味方。何があっても応援する」という意識で家庭が安全基地になっているかを確認してくださいね。
子どもは安心して帰れる場所があれば、よりチャレンジできます。子どもの可能性を広げるために、ママはしっかり見守ってあげましょう。
子どもにママは信じていることを伝える
最後に大切なのは「あなたはできる。ママは信じている」と声に出して伝えることです。
「宿題をしなさい」「勉強しなさい」「将来いい大学に入るために、今から励みなさい」と口うるさく言うよりも、「あなたはできる子。ママは絶対に信じている」と伝えたほうが効果的です。
子どもに口出ししたくなるのは、どんなママでも一緒です。口うるさくなってしまうのは決して珍しいことではないのですが、今一度コンサルタント能力を思い出し、本当にその子のためになるのはどんな行動なのかを見つめ直してみましょう。
まとめ
強制しない子育てである「コンサルタント育児」。常にできるかというとそうではありませんが、意識をするだけでも親子の関係はよりよい方向に向かうはずです。
この記事を参考に、今日から「勉強しなさい!」と子どもをコントロールするママから、子どもを成功に導くコンサルタント能力のあるママに変わってみましょう。
【参考】
『セルフドリブン・チャイルド 脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』 ネッド・ジョンソン、ウィリアム・スティクスラッド著