【公認心理師監修】子どもの「考える力」を育もう!今を生きる子に大切な思考力をグングン引き出す方法

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小学校の学習指導要領にも盛り込まれた「考える力」。今、複雑で変化の激しい社会を生きる子どもには、考える力・思考力・哲学思考が求められるといいます。

これまでは「教えられた通り」に生きることが正しいという見方が強かったかもしれません。しかし、移り変わる国際情勢や多数の情報が飛び交う現代社会、この中から自分で「どう生きるのか」を思考できることこそ、子どもの生きる力だと考えられます。

この考える力とは何かを、スタンフォード・オンラインハイスクールの校長を務める、哲学博士の星 友啓先生著『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』はわかりやすく解説しています。

今回はこの本を参考に、子どもを持つママに向けて「考える力とは何か」「子どもの考える力を引き出す方法」をご紹介。親子でできる思考力を育む方法を、一緒に試してみましょう。

『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』著:星 友啓

「考える力」を育てるために。ママが意識したい4つのポイント

母親失格 怒ってばかり

自己肯定感を高める、非認知能力を養う。どれも、「子どもの学力を上げたい」「学校の成績を上げたい」という単純な目的ではないはずです。

複雑でママの目も届かない社会の中を生きていく子どもに対して、自分で幸せな道を選べるように、「考える力」を育みたいですよね。

まずは考える力を身につけることを考えて、基礎的なことをチェックしておきましょう。知っておきたい4つのポイントをご紹介します。

考えてもらうための「ご褒美」はNG?

考える力を育もう!と意気込むと、なんだか「ちゃんと考えなさい」「自分で選ばないと」と子どもに強要する印象を持つママもいるかもしれません。もちろん考える力のある子と、大人の理想通りに育ったよい子は別物。とはいえ、学んで欲しいと願うママの気持ちは、「テストで100点をとったら好きなものを買ってあげる」のように、ご褒美を設定して子どもに学ばせているかもしれません。

まず、考える力とは言われたからやる能力とは真逆です。そして、何事も「何かをさせるためのご褒美」を設定すると逆効果になるのです。

  • 報酬や物品など、ご褒美を得るためのモチベーション=外発的モチベーション
  • 感謝の気持ちややりがいなど、ご褒美以外を得るためのモチベーション=内発的モチベーション

物事を始めるとき、「この目的のためにやるぞ!」と意気込むのは大人でもよくあること。このとき、内発的モチベーションを基本としないと、身につかず継続できません。

子どもの考える力を育みたいと思ったら、「わかったら楽しいよね」「自分で考えたその行為がママはとても嬉しい」など、褒めることや体験によって得た感情をモチベーションにしましょう。

考える力の基本は「理解すること」

考えることとは、結果的に相手を理解することです。他者理解や相互理解ができなければ、考える力の基礎は身につけられません。

この理解することとは、学校教育などの教養でサポートされています。しかし、学校の教えや限られた人間関係だけでは不十分。もっと理解する子になって欲しいときは、

  • ママ自身が子どもを理解する
  • なぜ考える力が必要なのか、子どもの将来にどんな役に立つのかをママが理解する

この2つを意識することから始めてみましょう。

学力と感情コントロールは関連性が深い

考える力とは、学力と感情コントロールをバランスよく使います。「うちの子はお勉強が苦手だから考える力は身につかない」とあきらめてしまうママもいるかもしれませんが、これは見方によっては「勉強が苦手でも考える力を身につけると学力向上に役立つ」といえます。

一方で、考える力を育てたいから勉強漬けにする、というのも極端な考え。学力が上がるかもしれませんが、子どもの本当にやりたいことは考えることができず、感情=意思を無視しているのでどちらも中途半端になってしまいます。

場数、根性論や精神論で「考える力」は育たない

考える力は、身につけるためのメカニズムが心理学や脳科学によって明らかになっています。

身につけたいからといって「常に考えろ!」と根性論では育まれません。また、大人になったらいずれできるようになる、という能力でもないのです。

では、早めに意識しないとダメ?と思うかもしれませんが、早ければ早いに越したことはないでしょう。ただし、いつ始めても遅くありません。

ママだってこれから考える力、思考力を引き出すことはできます。ぜひ親子で一緒に考える力について考えてみましょう。

「考える力」は楽しく伸ばす!好奇心とやる気を出す方法

分離不安 子ども

考える力は細かく分けるとどんなものからできているでしょうか。考える力の根本を支える要素のひとつに、「好奇心」があります。

何かに興味を持つ、好きだと思う。そんな好奇心からやる気は生まれ、より深く考えようと思えるようになるでしょう。そこで、好奇心とは何かを次は解説します。

好奇心には種類もあるし個性もある!

好奇心には、5つのタイプがあることが心理研究の結果わかっています。

  1. 知らないことに敏感:知らないことに対して物足りなさを感じる気持ち、実際に知ると満たされる気持ち
  2. 探求を楽しむ:新しいものや知らないものを探す、調べることを楽しむ気持ち
  3. 他者を知りたい:周りの人のことを知りたいと思う気持ち、人間の社会性や仕組みに対する好奇心
  4. 未知のストレスに耐える:不確定なことや起こると怖いものを探り、ストレスに耐えるための好奇心
  5. スリルを求める:新しいものに対する恐怖や不安に興奮し、ワクワクする気持ち

このタイプのうちどれに当てはまるか、ではなく、「①と③が強い傾向にある」「⑤は特に苦手」という風に、その子それぞれの個性があることに気づくでしょう。

苦手なものを敢えて取り入れることでは、好奇心は育ちません。好奇心といってもさまざまな種類があるし個性もあるため、「うちの子はどんな子かな?」とまずは子どもを観察してみましょう。

好奇心は勝手に生まれてこない。放任主義はNG

「なんでも自由に興味を持って欲しいから、何をやっても子どもを止めない」。こう考える教育方針のママももちろんいます。しかし、子どもを自由にさせるのと放置するのは意味が違います。

子どものすることに口を出さないというのは望ましい姿勢。しかし、大人の適切なサポートがないと、子どもの好奇心がうまく育たないのも事実です。

放任主義が良しとされると勘違いされがちですが、ママが意識したいのは「子どもの好きそうなものを見つけて、触れさせてあげる」ことです。

好奇心は勝手に生まれてきませんし、中にはストップをかけるべき好奇心もあります。親は見守る、応援するというスタンスで子どもと向き合いましょう。

子どもの「当たり前でしょ」を覆す「実はね…」

好奇心を持った子ども。では、この興味をどのように育てればよいのでしょうか?せっかく何かに興味を持ったとしても、「どう気分を乗せればよいのかわからない」と悩んでしまいますよね。

この好奇心は「実はね」という言葉で引き出せます。「実は、風は海から生まれるんだよ」「鮭は白身魚なんだって」など、子どもの持っている常識を少し揺らがせると興味がわいてくるのです。

「本当に?」と疑う子には、実際に調べてみたらいいんじゃない?と考えることを持ちかけてもよいかもしれませんね。興味を持った事柄を調べて、その解答が得られたときの「納得した気持ち」を一緒にわかちあい、好奇心を満たしてあげましょう。

大人も一緒に成長する、好奇心を見せる

「うちの子は何に対しても好奇心を見せない、わかりにくい…」そんなことももちろんあります。このとき、ママを含める周りの大人は「大人だって好奇心を持って楽しんでいる」という姿勢を見せてみましょう。

子どもが何かを取り組んでいるときや、考えているとき。そんな姿を見て「ここからどうなるのかな?」「こうなるんじゃない?」と一緒に興味を持って質問してみます。こうした予測させる尋ね方や質問は、子どもの興味をますます広げてくれるでしょう。

やる気や好奇心を生み出すための「自律心」って何?

登園渋り 登園拒否 泣く

自律心」を高めようという言葉を、育児をするママなら目にしたことがあるかもしれません。自律心とは自ら進んで行う感情、行動を指す言葉であり、これまでご紹介した好奇心とやる気のきっかけになるための心です。

考える力を身につけるためにも、必要なのは自律心。次は、自律心とは何か、どうやって行動に移すのか、そのきっかけが生まれる瞬間を考えてみましょう。

自律心とは?

自律性や自発性、主体性、積極性などさまざまな呼ばれ方をする自律心。ここでは、その違いはさほど関係ありません。

広い意味での「自律性」とは、誰かに強制されたり、支配されたからではなく、自分の意志や判断に基づいて、自分からやり出そうとする心の働きのことです。

『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』著:星 友啓

この記事を読んでいるママも、恐らくこう考えているはずです。「子どものために何を教えたらいいんだろう?」「よい子に育つためには何が必要?」もちろん、こうした感情は大切なものであり、捨てるべきではありません。

ただ、子どもへの心配が行き過ぎると次は「押し付け」になってしまい、子どもに「考える力を鍛えなさい!」と強要してしまうのです。これでは、自律心が育たず、考える力の持つ自主性が損なわれてしまいます。

子どもの自律心を引き出す3つのポイント

では、子どもの自律心はどうやって引き出せばよいのでしょうか。『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』では、3つのポイントに絞って自律心を育てることを推奨しています。

  1. 共感「ああ、わかるな」「そうだよね」
  2. 説明「〇〇だからやっているんだよね」
  3. 決定「じゃあこうしてみたらどうかな?」「これから始めてみたらどう?」

この言葉を日常的に使えるようになると、子どもの気持ちを肯定しながら、けれどもやるべきことやママが学んで欲しいことには、納得して取り組むことができます。

つい忙しい毎日の中で、子どもに対して「早くやりなさい!つべこべ言わずに!」と強要してしまいがちです。しかし、可能な限り子どもの取り組むべきことに共感し、なぜやるべきなのかを言葉にして説明する、そのうえで取り組むハードルを下げる提案をしてあげると、子どもの自律心は少しずつ大きくなるはずです。

「嫌なことを克服する」ための5つのステップ

自律心は「やりたくないをやるための心」ともいえることがわかります。大人でもやりたくないことに対して興味ややる気を出すのは難しいのですが、5つのステップをたどると受け入れやすくなります。

  1. 目的や理由をはっきりさせる
  2. 少しずつやるべきことを増やす
  3. やる時間やタイミングを設定する
  4. スケジュールは長期的
  5. できるようになったら過去と比較して喜ぶ

簡単なことかもしれませんが、どれももれなくやってみると途端に「やりたくないこと、苦手なこと」のハードルが下がることがわかるでしょう。

就学前の子どもを持つママにとっては、「小学校が始まって宿題を嫌がったらどうしよう」と思ってしまうかもしれません。そんなときに使えるステップなので、ぜひ押さえておいてくださいね。

考える力の基本「理解力」、ママも子どもも身につける方法

さて、記事冒頭で「考える力とは理解する力」ということをお話しました。その通り、『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』では、理解するところから考えることは始まると提唱しています。

次は、この理解力について一緒にチェックしていきましょう。

アクティブ・リスニングで子どもの話をしっかり聞こう

「他者を理解する」というのは、どうすればよいのでしょうか?インターネットで調べる?好きな食べ物や趣味を聞いてみる?そんなことが思い浮かびますが、対話の際に使えるテクニックがあります。

それが、アクティブ・リスニング。この方法を使って、一度わが子を理解するために子どもの話をしっかり聞いてみましょう。

  • 相手の話したことを復唱する:「〇〇が面白かったんだね」
  • 話の中で疑問に思ったことを質問する:「これが好きなの?」
  • 会話を広げる対話をする:「ここの部分ママは気になるな。もっと教えて」

アクティブ・リスニングはこのように、会話の中に質問を挟んで話題を広げる手法です。ママがこの姿勢を見せていると子どもも当然その姿を見て学ぶため、親子で理解力を高められるというのもポイントです。

4つのDOを使った向き合い方

4つのDOとは、理解を深めるためにとる行動を指します。

  • 繰り返す:「へえ~〇〇なんだね」
  • 掘り下げる:「〇〇って言ってたけど、それは〇〇っていうこと?」
  • 共感する:「それは〇〇だね」
  • 集中する:何かをしている手を止めて、相手のほうを見る、相槌を打つ

子どもが「ママ、ママ!」とお話してくれるとき、ママはほかのことを考えがち。小さな子だとどう会話してよいのかわからないこともありますよね。

ビジネスシーンでも活用できる手法なので、この4点を押さえて子どもと向き合ってみましょう。相手にも「理解してもらえている」と感じさせやすくなります。

「理解のないママ」とは?

次に、理解のないママも知っておきたいポイント。子どもは親の姿を見て育つため、理解のない姿勢を見せていると、子どもの理解力も養えません。

  • 決めつける:「男の子なんだからスポーツが好きに決まってる」
  • 話を中断する:「それよりも」「でも、だって」
  • アドバイスする:「こっちのほうがいいんじゃない?」
  • 否定する:「それは違うよ」

理解のない人は、こうした4つのアクションを取ります。このうち、「これをよくやっているかも…」と気づきを得たママもいるかもしれませんね。

変わることはいつからでもできます。考える力を身につけるのは何歳からでも遅くないように、今すぐ子どもを理解する、歩み寄る姿勢を始めてみましょう。

考える力には「安定したメンタル」が必要!メンタルを安定させるには?

自動思考 変える

考えるためには、いつも無意識にやっていた行動を少しだけ立ち止まって「これでいいのかな?」と思う時間が必要です。この「いったん立ち止まる」ができないのが、怒っているときや焦っているとき、悲しいときです。

考える力に必要なのは、心の余裕である「安定したメンタル」。次は、思考力と密接している「感情コントロール」についてみていきましょう。

ディスタンシング・エクササイズとは

メンタルに不調が現れたとき、そのネガティブな感情の近くにいると、どんどんネガティブが循環して負のサイクルにはまってしまいます。そのため、気持ちを切り替えるには自分の心と距離を置く(ディスタンシング)ことが大切です。

そのためのトレーニングが、ディスタンシング・エクササイズ。ネガティブな感情が生まれたとき、どう折り合いを付けるかを以下の4つから選んでみましょう。

  1. 自分を呼ぶ:心の中で過去の自分を呼んで慰める、声をかける。どんなことを言ってあげたい?と尋ねる
  2. 友達に声をかける:もし、仲のいいお友達が同じ状況になったら、と想像して声をかける。過去の自分に声をかける想像がしにくいときに、おすすめ。
  3. 心のタイムマシーンに乗る:「今から1か月後は夏休みだね。夏休みになったら、今の悲しいことはどう思うかな?」「入学式のときはどんな気持ちだった?そのころの自分は、今のことをどう思うかな?」など、未来と過去の視点を交えて今の感情を考える
  4. 気持ちと体の動きを特定する:嫌なことがあったとき、お腹や頭などに変わりはなかったかな?もし痛いなど動きがあったら、その部分に手を当ててゆっくり深呼吸。心と体のつながりを意識してセルフケアする

子どもに対して、ママもお手伝いしながら一緒にやってみるとベストです。ママ自身にもおすすめのエクササイズなので、親子でも取り組んでみましょう。

身近にできる認知行動療法(CBT)

認知行動療法というと、病院や施設で行うなんだか難しいものだと思ってしまいますよね。しかし、実は手順さえ知っていれば家庭でもどこでも実行できます。

  1. 何が起きたのか、メンタルを不安にさせる気持ちを親子で話し合う
  2. なぜそうなったのか、思い込みを探し出す
  3. 思い込みを批判的に見つめ直す

例えば、お友達と意見が食い違って仲たがいしてしまった。なぜ、あのときひどい言葉を言ってしまったのか、言ったときにどんな気持ちになったのかを整理します。

振り返ってみると「〇〇だと勘違いしていた」「こういう言い方もあった」と、改善点が見つかるはず。こうして自分の勘違いや思い込みを少しずつ修正していくのが、CBTです。

子どもと一緒にマインドフルネス

瞑想とも呼ばれる集中力を高め、精神状態を落ち着けるマインドフルネス。働く大人のパフォーマンスを上げる目的でも、取り入れる企業があるほど注目されています。

安定したメンタルや感情コントロールにはぴったりなので、子どもと一緒にやってみましょう。

ただし、子どもは大人よりも集中力は持続しません。そのため、音叉やベルなどある程度長く音が響くものを用意し、「その音が鳴っている間だけ」瞑想するとよいとされています。

始めはうまくいかないかもしれませんがそのうち慣れてくるので、だんだんマインドフルネスの時間を長くして続けてみましょう。このとき、子どもにさせるだけでなく、親子で取り組むのが大切です。

子どもの柔軟なアイデア「クリエイティブさ」を引き出そう

考える力を支える要素、次はクリエイティブさです。考えるにあたって斬新で個性的なアイデアがあれば物事に取り組む姿勢も変わってきますよね。そんなクリエイティビティとは何か、引き出す方法も解説します。

正しく理解する「クリエイティビティ」

まずはクリエイティビティ、クリエイティブさとは何かを正しく理解しましょう。

クリエイティブなものとは、斬新でかつ役立つものであること

『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』著:星 友啓

星先生は著書の中でこのように定義づけています。

クリエイティブというと、個性にあふれ独創的なものだとイメージできますよね。ただ、単に変わったものや奇をてらったものではなく、役に立つものこそクリエイティブだといえます。

こうした個性が強く出る能力は「生まれつきの才能では?」と勘違いされがちですが、これもよくある間違い。生まれ持ったものや遺伝、環境も十分に左右されますが、クリエイティビティは7割が遺伝し、残りの3割は自分の力で伸ばすことができます。

つまり、どんな子でもクリエイティブさを持つことは可能です。

心のすき間、あそびがあるとクリエイティブさが育つ

クリエイティビティを伸ばすには、「ぼうっとする何でもない時間」が必要です。そもそも、クリエイティブさは脳の持つ3つの主要ネットワークをバランスよく働かせています。

  1. 中央実行ネットワーク:考えて動かす部分、集中したときに活躍するところ
  2. デフォルト・モード・ネットワーク:集中せずぼうっとした状態で動く部分、妄想や発想が生まれるところ
  3. 顕著性ネットワーク:集中モードとぼうっとしたモードを切り替えるところ

クリエイティブな子に育って欲しいからといって、勉強ばかりさせたり芸術などの文化に触れる機会を強要しても伸びないのです。集中しない時間を持つことで、自分の考えがまとまりクリエイティブに表現できます。

ごっこ遊び、真似事遊びは自由にやってみよう

クリエイティビティはどうやって養えばいいの?と疑問に思うママも多いのですが、特に難しいトレーニングや複雑な教育が必要なわけではありません。おままごとやごっこ遊びなど、子どもが普段やっている遊びそのものがクリエイティブさを育みます。

何かの役割になりきるおままごとも、自然にある木の枝や葉っぱ、木の実を見立てて遊ぶやり方も、子どもの想像力と発想力をぐんぐん鍛えるもの。こうした遊びは危険なものは止めるべきですが、そうでないなら自由に遊ばせてみましょう。

おもちゃを本来の使い方をしていなくても構いません。大人から見るとバカげたものでもありえないことでも、一緒になって子どもの独特の感性で遊んでみると理解できるかもしれませんね。

4歳からできる!子どもの哲学思考で考える力をどんどん伸ばす

自動思考 スキーマ

最後は、考える力の根本である「哲学思考」です。

哲学とは、まさに「考えること」。哲学的な思考を持つのは大人でも難しいイメージがありますが、実は4歳ごろから子どもも哲学に触れることができます。

子どもの哲学を一緒に考えてみましょう。

何だか難しい哲学思考…実は身近なもの?

哲学とは、

当たり前の常識や自分の考えの前提になっている枠組みを批判的に吟味して、新しい価値観や世界観を模索する心の営み

『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』著:星 友啓

を指します。

子どもにはまだ早いかも?と思われるかもしれませんが、実は最近の研究では、未就学児でも哲学的な思考ができるといわれています。ママが思うよりもはるかに、子どもは「自分の考え、哲学」を持っているのです。

周りに流されず、自分のペースと道をしっかり見据えられる子どもの哲学。その意識の芽があるのだとしたら、あとはママが日々の生活の中でサポートしてあげるだけで、考える力は身につきます。

4歳からできる哲学思考ゲーム

4歳からできる哲学思考ゲームをご紹介します。待ち時間や遊びの時間、毎日の会話でさりげなく取り入れてみましょう。

  • 例えば何?ゲーム:赤くて丸いものはなあに?足の速い動物ってだあれ?
  • 同じところどこだ?ゲーム:リンゴとメロンの同じところはどこだ?
  • ポップクイズ:桃太郎を読み聞かせしたあとで、「桃太郎はどこを流れてきたかな?」と質問する

このゲームは答えを素早く出すことを競うわけではありません。はっきりした答えが出なくても、考えたという過程こそが大切です。ママも一緒に楽しんでみてくださいね。

小学生からやってみたい哲学思考クイズ

小学生に上がると、生活の営みをずいぶん理解できるようになります。以下の思考クイズを試してみましょう。

  • 目的さがし:「信号機ってなんであるんだと思う?」
  • 証拠さがし:「今日の晩御飯は鳥のからあげです。証拠はどこでしょう?」
  • 定義と例外:リンゴの特徴を3つあげてもらい、他にも当てはまるものがないかを探す

子どもの想像力は大人が思うよりもはるかに発達していて、思考クイズをすると思わぬ回答が出るかもしれませんね。哲学に「正解」がないように、このクイズも想定できる答えはあるけれど、当たりを見つけるものではありません。

子どもの自由な回答をママもわくわくしながら促し、他にもどんな答えがあるかを探してみましょう。こうして考えることこそ、哲学だといえます。

「考える力」に一番大切なのはママの姿勢

考える力に大切なのは、ママの姿勢です。今回ご紹介した『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』には、幾度となく「ママの行動をロールモデルに見せる」とあります。

子どもの能力を伸ばしたいのなら、子どものやる気を待つのでもなく、ママが望むものを無理やり押し付けるのでもなく、まずは自ら考えることを始めてみましょう。ママの姿を見て、子どもはさまざまなことを学びます。親子の相互理解が進むと、よりよい育児のやり方も見えてくるかもしれませんね。

【参考】『子どもの「考える力を伸ばす」教科書』著:星 友啓

ABOUT US
【監修】久保田 由華久保田 由華
公認心理師、臨床心理士。
NY州立大学にてメンタルヘルスカウンセリングの修士号修得。NYCのNPOにてアシスタントサイコロジストとして勤務後帰国。
大学、クリニック、心理相談室等で勤務。7000ケース以上のご相談を担当。

心の相談室こころラボを設立し、カウンセリング以外にも子育てママのためのセミナーやスクール、ママのためのオンラインコミュニティを運営。