下の子を妊娠すると家族が増える喜びがある反面、「上の子が赤ちゃん返りしたらどうしよう?」と心配するママも多いのではないでしょうか。
赤ちゃん返りとは、きょうだいができたことで起こる上の子の変化です。すべての子に起きるわけではありませんが、ただでさえ大変な二人育児がもっと忙しくなったり、上の子にイライラしてしまったりと二人育児の悩みの種でもあります。
今回は「赤ちゃん返りってなに?」「どう対応すればいい?」と悩むママに向けて、赤ちゃん返りを詳しく解説。これから二人育児が始まるママや、下の子が生まれたことで上の子との向き合い方に悩んでいる方は参考にしてみてください。
上の子赤ちゃん返りとは?二人育児で起きる子供の変化
「上の子の赤ちゃん返り」は育児でもよく聞くワードです。この赤ちゃん返りではどんな変化がみられるのか、まずは知っておきましょう。
突然怒る、泣くようになった
下の子が生まれるとき、年齢差にもよりますが上の子の育児が少しだけ落ち着き、次第にコミュニケーションが取りやすくなる時期かもしれません。ところが、下の子が生まれると突然怒りだしたり泣き出したり、手がかかるようになる変化が起こる子もいます。
情緒が不安定になりママとしては心配ですが、下の子が乳児だと手が取られてしまうためうまく向き合えず困ってしまう方も多いです。
下の子に辛く当たる
下の子が生まれる前はきょうだいを楽しみにしていたのに、いざ一緒に暮らすと下の子を嫌ったり、いじめたりするのも赤ちゃん返りの一つです。
せっかくのきょうだいなので、できるなら仲良くして欲しいと思いますよね。上の子がある程度大きいのであれば下の子は「まだ赤ちゃんだから」と認識してくれますが、幼いと下の子に感情的になったり乱暴な扱いをしたりする場合があります。
ママとしては「どうして下の子が赤ちゃんだとわからないの?」と理解しづらく、上の子に怒ってしまうこともあるでしょう。
おねしょやトイトレ失敗が増える
態度には表れないけれど、これまで成功していたトイトレが失敗し始めたりおねしょが増えたりといった変化をみせることもあります。突然増えた家族と環境の変化についていけず、トイレの失敗が増えるのでしょう。
このとき「これまでできていたでしょ?」と上の子を責めるのはおすすめできません。トイトレ中ならいったん中断するなどして、上の子の不安を解消することとメンタル面のケアを優先させましょう。
頻繁にママやパパを呼ぶ
下の子の育児をしているのに、何度も「ママ!」と執拗に呼ぶ上の子。これも、赤ちゃん返りの一種です。
頻繁に呼び止められると、家事も育児も回らずママとしては大変さを強く感じますよね。これはママパパに甘えたい上の子の気持ちが強くなり、「自分を見て」と主張していると考えられます。
なぜ?上の子が赤ちゃん返りする理由とは
上の子の赤ちゃん返りはなぜ起こるのでしょうか。ここからは理由を考えていきます。
自分の話を聞いて欲しい年齢だから
上の子の年齢にもよりますが、赤ちゃん返りは2~5歳の小さな子どもによく見られます。特に2歳は自己主張が始まり、自分の話を聞いて欲しい年齢です。
生活や遊びの中で、自分のことを自分でしようとする意欲が高まっていくことや、自分の意思や欲求を言葉で表そうとすることなどにより、子どもの自我が育ちます。そして、「自分で」、「いや」と強く自己主張することも多くなり、思い通りにいかないと、泣いたり、かんしゃくをおこしたりする場面も現れます。
引用元:保育所保育指針解説 序章
ただ、下の子が生まれるとママは下の子の相手に手が取られますよね。自己主張したい年齢と赤ちゃん返りが重なり、いつも以上に不安定になる子もいるようです。
自分のママを取られたような気持ちになるから
これまで両親と自分だけの世界で育った上の子は、下の子が生まれると「ママを取られた」と感じることも多いです。ママを取った下の子に腹を立てるため、いじわるするなどの行動がみられるのでしょう。
子どもは環境の変化に敏感で、このような赤ちゃん返りがみられても心配することはありません。上の子が下の子をいじめていても「この子はおかしいのかな?」と不安に思わず、できる限り上の子をサポートするとよいでしょう。
赤ちゃん返りで両親にSOSを出しているから
赤ちゃん返りのわがままや手のかかる行動は、「親に対する健全なSOS」とも言われています。ママとしては「もうお兄さん、お姉さんだからわがままを許してはいけない」と思ってしまいがちですが、赤ちゃん返りに限っては「甘えられる空間ができている証拠」でもあるのです。
下の子の育児でママが大変なのは、上の子にも伝わっています。ですが、まだまだ甘えたい幼い子どもだと「ママが忙しいのはわかるけれど、自分の感情をうまく伝えられない状態」になり、赤ちゃん返りとして現れるのです。
「赤ちゃん返り」がないケースもある
年齢差があったり「下の子が生まれる」という理解が早かったりすれば、赤ちゃん返りがないケースもあります。ご紹介したように、赤ちゃん返りは決しておかしい状態ではありません。かといって、「赤ちゃん返りがないから育児の環境が悪いのではないか」と心配しすぎるのも少し違います。
赤ちゃん返りの状況も子どもそれぞれで異なり、個性もあるので赤ちゃん返りがないことも当然あります。上の子に変化がみられないからといって、過度に心配する必要はないでしょう。
上の子赤ちゃん返りの対応法とは
きょうだいの育児はとても大変で、加えて上の子の赤ちゃん返りが始まるとより困難を覚えます。そこで、対応の仕方を知っておきましょう。
下の子が泣いていても「上の子優先」で育児する
前提としてまずは上の子優先で育児を進めるのをおすすめします。下の子が泣いていても、下の子に少し待ってもらって上の子と向き合うことを優先しましょう。もちろん下の子の安全を確保したうえで、上の子の対応をするのがポイントです。
赤ちゃん返りの理由は「ママにこっちを見て欲しい」という要求が大半を占めています。これが満たされると赤ちゃん返りが少なくなるかもしれません。
上の子と二人きりの時間を作る
下の子をパパや周囲に預けて、上の子と二人きりでお出かけしたり遊んだりと、二人きりの時間を作りましょう。
下の子がどうしても幼く手が離せないのであれば、周りの大人やパパに協力してもらい「上の子を優先して甘やかして欲しい」とお願いするのもひとつの手段。上の子にも注目して、「忘れていないよ」「パパとママの大切な子どもだよ」と繰り返し伝えるのが大切です。
上の子に下の子育児を手伝ってもらう
上の子と下の子の年齢がある程度離れていれば、育児を手伝ってもらうのもよいでしょう。赤ちゃん返りの原因として、「ママと下の子の世界が築かれていて、自分だけ疎外感を覚える」ことも考えられるからです。
中には上の子に育児を手伝ってもらってから、お兄ちゃん・お姉ちゃんとしての自覚が芽生えた気がする、と感じるママもいます。もし上の子が育児に興味を示していたら、それとなく協力をお願いしてみましょう。
「いつかは終わる」と開き直るのもひとつの手段
一人育児と異なり、きょうだいの育児はいろんなタスクを同時にこなす必要があり、ママは毎日大変です。赤ちゃん返りの対応として、もちろん上の子と真剣に向き合うのは大事ですが「いつかは終わるもの」と軽く受け止めるのもおすすめします。
赤ちゃん返りがどんなにひどくても、子どもは次第に成長するものです。ずっと大変な状態が続くわけではなく、いつかはきょうだい育児も「楽になった」と思える瞬間はきます。上の子にイライラしてひどく叱ってしまったとしても、「次は叱らないでおこう」と心に留めておき「たまにはこんな日もある」とママ自身を認めてあげてくださいね。
まとめ
きょうだい育児で忙しいところに、上の子の赤ちゃん返りが重なると育児は辛くなりがちです。産後で疲労が溜まっている時期にきょうだい育児の困難さを感じるママもたくさんいます。
赤ちゃん返りがみられたら、まずは上の子の精神的な不安を取りのぞくようにしましょう。同時に自分自身のケアも大切にし、きょうだい育児を乗り越えることをおすすめします。
赤ちゃん返りはいつまでも続くものではなく、いずれきょうだいが仲良く遊んでくれる日がくるはず。「今は育児が楽になった」と思えるときはやってくるので、育児とうまく向き合っていきましょう。
【参考】